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ブリコ改めブチコ

秋田県人ならほぼ100%知っている歌。それが秋田音頭だ。

秋田名物~八森ハタハタ~男鹿で男鹿ぶりこ~ア~ソレソレ♪

男鹿ブリコというのはハタハタのメスの卵の名前で、食感がブリッとしているところからブリコと呼ばれるようになったそう。

11月末ころから産卵のために秋田沖にくるメスたち。ということで男鹿ブリコちゃんは秋田の冬の風物詩といってもいい。

とはいえ、ハタハタの漁獲量は下降の一途をたどり、今では高級魚となり、正月でさえ手が出ない魚となった。

ただ、財布の紐をゆるませざるを得ないことがある。遠方からわざわざ秋田に遊びにきてくれる友人が来た時だ。

「秋田ではおいしいお酒にいぶりがっこ、きりたんぽが食べたい」

酒、発酵食品、米が秋田の三種の神器だ。

さて、今回はどんなおもてなしをしようかと探していたところ、ドンピシャなディナーコースを見つけてしまった。

その名も「男鹿丸ごと会席」。

男鹿産真鯛、蟹、鮑ほか、秋田県産錦牛など、海や山などの自然に恵まれた秋田県男鹿市の食材を中心とした珠玉の日本料理会席。

HPより

観光客のみならず、秋田県人も気になるメニューの数々。なにかのお祝い事のときにもいいかもしれない。

ということで早速いただいてきた。

食事の前にまずは乾杯。

コース料理予約時に秋田の日本酒はいかなるものがあるか?と問い合わせ、雪の茅舎、福小町、飛良泉、出羽鶴、太平山、刈穂などなど目ぼしいものがあるとのこと。

ただ、男鹿市の食材を中心としたコース料理であれば、男鹿のお酒を飲みたいではないか。男鹿のお酒といえば、今話題の稲とアガベ

30~40代(たぶん)の若手が男鹿を中心にクラフトサケという新しいジャンルに取り組み、さまざまな珍しいお酒を展開しているのだ。

稲とアガベとの出会いはどぶろく。ホップが入ったどぶろくは今までのようなザ・酒という味わいではなく、まろやかな口当たりでとっても飲みやすい。

そこからクラフトサケとはなんぞや?の探求が始まり、さまざまな新しい手法、製造、素材の酒を飲み比べては、ほほお、そうきたか!と楽しませてもらっている。

「あのう、稲とアガベはあるっすべが?」←秋田弁でしゃべって親近感をもたせる。

「はい、予約時点でおっしゃっていただければ取り寄せておきます」

ひゃっほ~い!これで友達にうんちくをたれられる。

そして、当日。なんとこのラインナップ。

前述したように必ずあるものではないので、予約時に要確認を。

今回は「RICE&HOP交酒 花風(はなかぜ)」をチョイス。

RICE&HOP交酒(ホップ酒)とは、クラフトビールの香りを日本酒に取り入れたもの。注ぐと、まるで白ワインのよう。注いだ瞬間から芳醇な香りをただよわせ、一口含むと日本酒の甘味がす~っと喉を伝う。これぞ新時代の吟醸酒という味わい。

一杯飲んだところで、早速ディナーコーススタート!

先付け:男鹿産蟹とうるい、鮟肝の黄身酢ヨーグルト掛け、男鹿産鮑の秋田名産白神ねぎみそ焼き

先付けから日本酒のお供にぴったりのものが目の前に。
まずは、鮑の柔らかさにノックアウト。新鮮だからなんでしょうね、この甘味とやわらかさは。ネギの甘味と味噌の塩味が味に彩りを添えている。

秋田の伝統工芸品「曲げわっぱ」にのせて食べるスタイルも秋田らしい。

お椀:男鹿産ホウボウ 秋田県産比内地鶏、占地、梅人参、奈の花、柚子

シンプルに比内地鶏の出汁を活かしたお椀。うまみが凝縮されていて、雑味は一切なし。味付けもなし。ストレートに比内地鶏ががつんと体当たりしてくる味。最後に柚子の余韻を感じさせる感動の一品。

お造り:日本海直送 鮮魚盛り合わせ 中トロ鮪 平目(北浦産) 鯛(男鹿産) 歯鰹

秋田県産ではないが、歯鰹の食感とうまみが忘れられない斬新さ。これは日本酒が進みますな。

焼き物:男鹿産鮑の雲丹衣焼き 秋田県産錦牛の炙り寿司 海胆乗せ

ちょっと小腹がすいてきたなというタイミングで炙り寿司。しかも、秋田が誇るブランド牛の錦牛ですよ!

ちなみに、海胆と雲丹の違いは知っているだろうか。実はわたくしめは数年前に取材で初めて知ったのだ。と仰々しく書いているが、簡単にいえばどちらも「ウニ」と読み、同じ生き物。よく見る「雲丹」は加工品、「海胆」は生ウニをさすのだそう。知らなかった方はぜひ今日からマウントとってくださいませね。

牛と雲丹の組み合わせってどうでっしゃろと思いつつ、口の中に一緒にほおりこんだら、これまたびっくりのコラボレーション。牛の肉汁と雲丹のとろっとした甘味のバランスが最高で牛をかむごとに旨味がアップ。これも忘れられない斬新さ。

貝料理:男鹿産天然帆立のバター醤油焼き

帆立のボリュームをみよ!貝柱のコリコリ具合もまあたまりません。これまた日本酒が進む進む。

お肉料理:秋田県産錦牛のステーキ 山葵 和風ソース ~オガーレ直送野菜添え~山独活 タラの芽 こごみ

調理前に焼き方を聞かれ、ミディアムレアをオーダー。というかミディアムレアしか頼んだことがないという。よくわからない場合は真ん中をとっておけという方針だからだ。結果、大正解。あ~この滴る肉汁。よだれが止まらない。これは言葉はいらんでしょ。

山菜は春というイメージだが、今はハウス栽培で年中食べられる山菜類。肉料理を食べた後は、山菜独特の苦みが口をさっぱりさせてくれるから、この組み合わせは黄金比といってもいい。

鍋料理:男鹿産ハタハタしょっつる鍋

これですよ。これ。今回の目玉。しょっつる鍋。

しょっつるとはいわゆる魚醤。ハタハタなどの魚を塩漬けして1年以上熟成させて作るもので、これがまた鍋にいれると旨味があふれるあふれる。

そして、冒頭に記述したぶりこちゃん。

ブリコたっぷり

高級魚になったハタハタなもんだから超久しぶりに口にした。

さて、ブリッブリとしますかなと、一口。

ものすごい弾力。昔からゴムっぽいなと思っていたが、弾力の強度があがったように思う。ブリっというより、一つずつ食べるごとにブチッブチッという音がする。

ハタハタの卵の味も温暖化で変わったのだろうか。昔はもうちょっとブリッとしてちょっぴりネパッとしていたような気がしないでもない。

そのうち、秋田名物青森ハタハタ、男鹿で男鹿ブチコ♪と歌詞が変わっちゃうんじゃないかと思うほどブッチブチ。

それが嫌というわけではなく、それはそれで食べ応えがあっておいしい。

そろそろお腹にたまるもので〆ですなと思ったときに出てきたこれまた秋田を代表する稲庭うどん。

相変わらずのつるんつるんののど越し。この透き通った出汁がおいしいのなんの。

デザート:秋田こまちアイス

女子にうれしいデザートまで。一見、甘そうに見えるがそうでもない。酒飲みの〆にもいい塩梅なのだ。

特に、秋田こまちアイス。米の風味が感じられるさっぱりとした後味。これはもうワンスプーン食べたいと思うほどの味わい。

イチゴがのったタルトのカスタードクリームもさっぱり後味で、しょっつる鍋の味の余韻を壊さないように考えられているんじゃないかと思うほど計算しつくされている。

秋田県人も大満足する秋田の旬を堪能できるディナーコースは、JR秋田駅前のANAクラウンプラザ秋田の最上階12階にある「空桜(SORA)」で。個室で食べられるので、ゆっくりと周りを気にせず、おしゃべりしながら食べられる。

きりたんぽ鍋は意外とどこでも食べられるようになったが、しょっつる鍋のしかもブチコ、あ、ブリコ入りはなかなかお目にかかれない。

秋田で秋田グルメを堪能したい人に秋田県人がおススメしたいディナーコースでございます。もう一回行きたいけど、貧乏性なもんで、なにかお祝い事、もしくは誰か秋田に来てくれないとなかなかえいや!と予約ができないのである。

ということで、秋田においでませ!もれなくわたしも一緒にいきます!




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ゆきんこ
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