
クレープを巡る「クレープ」「ギャレット」「プーリ」、フランスとインド。
20250216 一知半解なる外来語「クレープ」「ギャレット」「プーリ」、フランスとインド。
フランスのお菓子と言えば、誰もがクレープ(crêpe)を思い起こしますが、表面に細かい縮みがある肌着などに使われる生地もクレープ(crêpe)です。お菓子のクレープは、焼いた際に表面に皺の様なものが出来るので、縮みのある生地と似ている事から、お菓子もクレープと名付けられた様です。ただし、我々は、クレープと言うと甘いデザートを想像しますが、実際には、ハム、チーズなどを用いたボリュームのある軽食、と言った意味合いもあります。
クレープを売る店をクレペリー(crêperie)と言いますが、クレープの生地、肌着などを売る店は、クレペリーとは言わず、magasin de lingerie や boutique de lingerieとなります。
ブルターニュでは小麦粉より蕎麦粉を使ったクレープの一種で、ギャレットがあり、galetteと綴られます。味は、甘くはありません。これは、昔、ブルターニュの土地が痩せていたので小麦の生産には向かなかったため、蕎麦粉が使われた、と言われています。ちなみにここで言う蕎麦粉は、farine de sarrasinで、文字通りには「サラセン人の小麦粉」ですが、中央アジア方面から来た穀物のイメージの様です。
ブルターニュでは古くから蕎麦粉のお粥が食べられていた様です。その後、現在のギャレットの形になったそうです。ですので、小麦粉を使ったクレープの方が後の時代に発達した物と推察されます。
そこで思い出されるのは、インドの蕎麦粉です。Kutte ka attaと呼ばれ、 食料品市場の中にある粉屋さんで売っています。写真中央にある茶色いものは、断食の期間が終わった後、人々は好んで食べる蕎麦粉のプーリーです。パリッとして美味しい物です。素朴さがギャレットに似てなくはない。筆者は、インドにいた頃、この粉を使って、麺を造ろうとしましたが、失敗しました。
日本でも断食明けの僧侶は、消化の良い、胃に負担のかからない「そば」や「粥」から食べ始めるそうですね。
クレープ、ギャレット、プーリーなど、蕎麦粉と小麦粉の文化の歴史は長い。この様な言葉を通して知る事が出来るプロセスを、大言語モデル(LLM)内で、クロスボーダーにAI同士が学び合うのでしょうか。テキスト・データ、画像データの積み重ねに、意味の変化の歴史的データなどの価値が付加される事を期待します。文系的人間の必要性を感じました。