不倫が発覚するとどんな心理状態になる?<まずパニックに>
第一回目の今回は、パートナーの不倫が発覚したときどのような心理状態になるかをお話します。そこでまず、夫に不倫をされて傷ついたA子さん(40代、会社員)の事例を使って考えてみましょう。
A子さんのように、不倫を知った直後はパニック状態に陥るため、「どうしたらよいか分からない」という状態でカウンセリングにいらっしゃる方が多いです。そして怒りや悲しみの感情が非常に強く出てくるため、涙が止まらない等、理性的に話すことが難しくなるものです。
不倫が発覚したばかりのカップルとのカウンセリングでは、感情的にヒートアップした状態のセッションが最初の数週間続くものです。最近パートナーの不倫が発覚して現在パニック状態にある方は、多くの人がそのように反応することを理解し、理性的になれないご自身を批判したりせずに受け入れましょう。普段は怒りや悲しみをあまり表に出さない方が「自分がこんなに怒り狂うことができるなんて信じられない」とご自身の反応に驚かれたり、ショックを受けたりすることもよくあることです。
そして不倫をしてパートナーをパニック状態にしてしまった方は、相手がパニックになって当然であるということを認め、謝罪や状況の説明をしても冷静に聞いてもらえない状態がしばらく続くことを理解しましょう。まずはパニック状態から抜け出さなければ話し合いは難しいので、逆切れや相手を責めたりすることによって状況を悪化させないようにしましょう。
さて、当然の反応ではありますが、なぜこのようにパニックの状態になるのでしょうか。それは、不倫発覚によって非常に強いさまざまな感情がひとかたまりになって津波のように押し寄せ、大きな心理的ダメージになるからだと考えられます。感情が複雑に絡み合っている状態では、ご自身がどんな気持ちを感じているのかを認識し、言葉で表現することが難しくなるものです。しかし、過去の記事『感情に振り回されない方法<気持ちを言葉にする>』でご紹介したように、感情を言葉にすることで気持ちが落ち着き、パニック状態から抜け出しやすくなるといわれています。
非常に強い心理的ダメージを受けたとき、感情に向き合い言葉にするのを辛く感じる方も多いと思います。それに、不倫が発覚したら傷つくのは当然なので、「わざわざ話す必要ないだろう!」という声も聞こえてきそうです。しかし、感情を話すことで次のようなメリットが考えられます。
不倫発覚後には、別れるか別れないか等、カップルにとって大切な決断をしなければならない場面がたくさん出てきます。そうした決断をパニック状態のままするのではなく、お互いに冷静に話し合える状態になってからすることで、新しいチャプターに進みやすくなるはずです。
次回の記事では、パートナーに不倫をされた方が具体的にどのような点で深く傷つきがちかをご紹介します。
長谷川由紀
☆おことわり☆
本ブログ内の記事は、精神科・心療内科等での治療を代替するものではありません。必要に応じて医師・心理カウンセラー等に直接ご相談ください。また本ブログの事例にて紹介されている人物や状況は、全て架空のものです。セッションを通して伺ったお話をブログにて公開することはありません。