職人を救え!と社会や他人に支援要請する伝統系の人たちがSNSでセレブ生活を自慢しているのは社会からの信用を失う
・・・その誤解を広めている一部の伝統系業界人は分かっているのかいないのか・・・そんな事関係ないと思っているのか・・・
誤解されやすい話題ですから、丁寧に書かなければならないですね。がんばります。どうか「単語に反応せずに文章の内容を読み取っていただけたら」と思います。
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分野を問わず、いわゆる「業界人」というのは自分の属する業界内の、しかも同じ傾向を持つ人同士で行動しているので、一般の人々からそういう風に思われているのは想像の外の出来事かも知れませんが・・・
もちろん、経済勝者の方々で職人を救え!と社会に発信し、その人たちの生活水準で自然に高度文化生活をし、かつ潤沢な資金や人脈を利用して伝統工芸系の良さを社会に周知させ、支援する活動をされている方々に文句がある人はいないでしょう。それは支援の欲しい側からすれば本当にありがたい事です。
また、経済勝者階層の方々同士のお付き合いがあるゆえに、例えば高額な伝統工芸品を知らしめたり、販売したり出来るという事がありますから、今回の記事は経済勝者が高度文化生活をしている事を問題にしているのではありません。それに文句を言うのはただの嫉妬や言いがかりです。
上記を前提として
今回は
という話題です。
「そういう間違った仕草は一般社会から変だと思われているよ、気をつけましょうよ」という事です。
ある時、私は伝統工芸系とは関係ない知人にこう聴いてみました。
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「伝統工芸の業界はどんどん縮小しているわけだけど、そうなると当然、仕事が減り、職人の加工賃は下げられ、耐えられなくなり廃業するわけだから、界隈の人々は減って行くし、若い人たちも入ってこない状況なわけですよ。縮小の勢いが加速している状態」
「それは外から観ていてもそう観えるね」
「で、そこで『職人を救え!』なんてプロジェクトが立ち上がったり、職人を救うためにご支援を!なんて職人救済をネタにした商売が活発化するわけなんだけどね。その声掛けしている人たちのSNSが、ゴルフコースからの投稿、高級ジム通いマッチョ自慢、海外旅行、高級グルメ、高級ワイン、色々な夜の遊び、豪華なホテルの宿泊、高級マンション住み自慢、高級ブランド所有自慢・・・あるいは代々やっているところなら、豪邸と庭自慢、高級車所有、有名人との人脈自慢だったりしたら、どう感じる?」
「そんな生活してるなら、自分で職人を支援すればいいじゃん。それでどうしても足りない部分を社会に支援を求めろよ…って思うな」
「・・・だよなあ・・・もちろん、その伝統文化に関わる学習をしていたり、保護や保存、支援をしている有言実行の人もいるけども、そういう人は少ないんだよ」
「そもそも、そんな人が目立っている業界を支援しても、現実的に職人に支援が届かないんじゃないの?と疑うな。そういうものを支援しても、よくある募金詐欺とかセミナー詐欺みたいな結果になるんじゃないかと警戒するなあ・・・」
「だよなあ」
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・・・数人に聴いてみましたが、みな同じ感想です。当たり前ですよね。
有名スポーツ選手や芸能人、その他有名人に、一般社会の人々に伝統工芸に興味を持ってもらうための旗振り役になってもらい広報する方式・・・という事なら話は別なのですが「業界の内側の人たち=当事者」が良くあるセミナー詐欺みたいな感じの、あまり文化を感じられない浮ついた感じの下品なセレブ志向で、それを能天気にSNSで自慢していながら職人を救え、なんてやっていると、やはり社会は「警戒」しますし「不信感」を持ちます。当然過ぎる話です。
もちろん、業界が苦しいから皆で貧乏しようぜ!と言っているのではありません。別に「そんな余裕があるなら“私財の全てを投げ売って”職人を救えよ!」という事ではないのです。
世襲であるなら引き継いだ文化的資産を維持するのは良い事ですし、土地や金融資産を現金として直接的に使い、一過性の効果で終わらせるのではなく、それらを運用して資産が資産を産む永続性を持たせ、支援を続けていただいた方が良いわけですから。
しかし、一部のセンスの無いセレブ自慢をする人たちのせいで、
・・・なんですね。
そうなると社会からは「はぁ?んなゲスいセレブ自慢してるぐらいなら自分でやれよ。そんなんだから伝統工芸がダメになったんじゃん?」となるわけです。
社会に支援を求める場合は、対外的な「イメージ戦略」をキチンとしないと誤解されます。
しかし、どうも特に伝統系はそういう所が雑な気がします。
また、社会に「私たちは職人に良い仕事をしてもらうために素晴らしい取り組みをしております」なんて古いメディアにウケそうなキレイゴトばかり言っている業者やお店程、実際には搾取が酷いというのは良くある話です。もちろん私もたくさん直接体験しました。
また、困っているとされている職人側も色々問題があるのです。職人側からの色々な取り組みはあれど、それがあまりに的外れであったり、助成金が無いと成り立たないものばかりだったり、自分で立ち上げたプロジェクトを途中で投げ出し放置するのを繰り返したり・・・BtoBでしか商売した事が無い職人が、BtoCに乗り出すも通常の社会常識が無くトラブルになる事が多いのも問題です。
今で言えばSNSでのオラオラ投稿や、他人のあら捜し投稿ばかり繰り返して、一般の人たちから引かれているのも良く目にします。そういう投稿を目にした人たちは「この業界の職人さんって、こういう人たちなんだ・・・」と感じてしまうわけですから益々「伝統系の職人さんって近寄り難いと思っていたけど、やっぱり怖いんだ」となるのは当然ですよね。
昭和と令和の現代では「人々が憧れるポイント」が違います。しかし、その価値観が変わった事を認識出来ていない人が伝統系では多いのかな、と感じます。
伝統系のものでも現代の若い人たちから「ああいう人になりたい・ああいう人生を送りたい」と憧れられるような文化的な格好良さが必要だと思うのですが、どうも逆を行っている気がしてなりません。