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フォリア工房のムラ染系の仕事について・3
*ムラ雲絞り*
当工房では、工房内の通称でそう呼んでおりますが、絞り染業界で言われている「群雲絞り」は違う手法と、仕上がりです。
この記事で「ムラ雲絞り」というのはあくまで、当工房の手法と仕上がりである事を前提に話を進めさせていただきます。
晴れではあるけども、雲がモヤモヤと出ている空の感じに似ているので「ムラ雲絞り」と呼ぶようになりました。
ヘッダー写真のものは、強めにニュアンスを出した、白大島の着物生地に染めた当工房の「ムラ雲絞り」です。(草木染)
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似たニュアンスのもので「カゴ絞り」という技法があります。
いくつか方法があるようです。
1)せいろそばの蒸籠のようなものに、良い感じのムラになるように、生地をくしゃくしゃに、かつ、平たく整えて入れ、漏斗で熱い染料をかけて染める。望む仕上がりになるまで、その工程を繰り返す
2)かごに生地を詰めて、染料に浸けて染める。望む仕上がりになるまで、その工程を繰り返す
上記の、特に(1)のような染め方だと繊細にムラを作る事が出来、しっとりした、バックスキンの皮の風合いのような感じも出せます。(もちろん、見た目がそれっぽくなるという意味で、皮のような質感になるわけではありません)
当工房では、一般的な「カゴ絞り」よりもっと激しい感じに仕上げます。
手法としては、上記の(1)の方法に似ています。
着物の場合は、袖、見頃×2、衽+衿、と切り分けます。
名古屋帯の場合は、一本そのまま加工します。
「生地を濡らし、生地をクシャクシャにしながら、平たいお饅頭のようにし、糸で程良く固定」→「浸け染め」を繰り返し、加工します。
その「生地の平たいお饅頭」の、表面に出ている部分が染まり、その他は染料が滲んで少し染まったり、染まらない部分があったり、となります。それで滲みが出来るわけです。
白大島系の平滑な生地は、後染めすると、キズが付きやすい欠点があるのですが、当工房ではそれを逆手に取り、あえて折れ目や擦れた感じを残して風合いに変化を付ける場合があります。以前、ファッション業界で流行った「シュリンク加工」のような感じを作るわけです。
(後染め=生地になっているものを染める)(先染め=糸を染める)
![](https://assets.st-note.com/img/1666147337962-VMJOWTi2i4.jpg?width=1200)
一見、激しいニュアンスに感じられますが、以下の写真のように、古典文様の西陣織の帯にも合わせられ、エレガントな取り合わせにも展開可能です。
このようなものはモダンに観えますが、昔の工芸品のエレガントさにも通ずる感覚だと思います。昔のエレガントさは「豪放かつエレガント」なものです。おすまししたようなものではありません・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1666147464316-r1IIV2a2Qw.jpg?width=1200)
もちろん、下画像のようなカジュアル系にも展開出来ます。
![](https://assets.st-note.com/img/1666147914318-dviOcBcz0c.jpg?width=1200)
フォリアの「ムラ雲絞り加工」の後は、シワが強く残りますが、あえてそのまま納品し、お好みの状態にシワを伸ばし、仕立てていただく、という事もあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1666148069291-mN1B0uUVX7.jpg?width=1200)
以下は、着物の裏地の「八掛」(パレス生地)に「フォリアのムラ雲絞り」を施したものです。このような使い方をしても良いですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1666165650497-942sT7f8fn.jpg?width=1200)
薄物の生地に加工をしてもキレイです。
![](https://assets.st-note.com/img/1666148123083-umTckAoYVB.jpg?width=1200)
このように、絞りによるムラ染加工でも、他のフォリア製ムラ染加工系と同じく「手染めする事によって、生地の風合いを可視化する、染める前には出ていなかった生地の魅力を可視化する」事を目的として加工します。
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