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工房で制作する染色品の色彩について

フォリア(当工房)で制作している染色品の色味は、非常に渋い色調から、草木染のようなナチュラル系の色調、西洋系ハイファッション系の色から、ケミカルな色まで幅広く使いこなしますので、業界の詳しい方々は「色に困るとフォリアへ」ということでご注文をいただくことが多いです。(他所では断られるような変わった素材なども良くご相談いただきます)

染料も、化学染料、天然染料どちらも使いますし、顔料や墨も使います。

フォリアでは、いろいろな色を使いますが、私が常に気をつけていることは「その色味が日本的であること」です。

日本の色には、独自の「湿度による“にごり”」があります。湿度の多い空気を通して風景を観る時に感じる「湿気のゆらぎ」があるのです。その「湿度がある色」というのは「微妙なにごりの使い方」によって出します。

色というのは、いろいろな調整をして「感覚的にそうである」という風に作り上げて行く必要があります。

例えば「美しくキレイな色」というのは、原色の染料を溶いたままの色、ということではありません。美しい真っ赤な花の色から受ける「イメージは真っ赤」であっても、実際には実にいろいろな色味の要素が絡み合っているからこそ「感覚的には純粋に赤い色と認識される」わけです。その微細な「ゆらぎ・にごり」の扱いが「色に生命を与えること」なのです。赤い染料や顔料そのままの色は、むしろ純粋な色に感じられないのです。

日本の色においては「ゆらぎ・にごり」が必要と上に説明しましたが、特に日本の色においては「茶色成分の使い方」が重要です。どんな色をつくるにしても、茶色や黄色成分を上手く使うと、原色のような色でも浮かず、いろいろなものと合わせやすい色になります。また「補色」(例えば紫←→黄色のような関係)を積極的に混ぜて使います。

例えば、紫に補色である黄色を混ぜると色は濁ります。その「にごりをコントロールする」のです。補色を沢山入れれば「渋み」が出ます(ちなみに「渋み」は「地味」とは全く違います)薄く入れれば「色の深み」が出ます。その色のノイズは「必要なにごり」なのです。

それは、高品質な酒やお茶のようなもので、渋味、苦味、酸味、ミネラル分など、それだけを味わったら「不味い味」が、酒やお茶には必要なわけです。

そのマイナスの味があるから、主体の味の輪郭が立ち、複雑でありながら奥行きのある色になるわけです。ただキレイな色は「単純な色」であり、奥行きが無く、幼稚な印象になります。

日本の色では、特にそのような「ゆらぎ・にごり」が必要になります。

それと重要なのは、その「にごり」によって「いろいろなものと取り合わせやすくなる」ということが起こります。

純粋なただキレイな色、というのは実は取り合わせにくい、取り合わせによる増幅が起こりにくい色なのです。

私は日本文化の精髄は「取り合わせによる増幅・常に緊張感のある調和」と考えていますので、作品単体のみで良くても増幅が起こらないのではいけないと考えるのです。ただキレイな色ではそれは起こらないのです。

フォリアの染色品は、一見ケミカルな色であったり、西洋風の配色であっても、必ずそのような「日本の湿度を入れ込んである」のです。

そのような理由によって「個性的だけども、いろいろなものに合わせられる着物・帯」と言われることになるわけです。

もちろん、色だけでなく、文様の形や間も日本化します。

その「日本化フィルター」そのものが、人それぞれで、日本人としての個性にもつながります。

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色についてのこと、日本文化の精髄とは?などの話題は、以下のリンクにも書いてありますので、ご覧下されば幸いです。

*色についての話題1

*色についての話題2

*日本文化の特徴とは


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