染額の「物語的な」作品について
上写真のような物語的な作風のものは、独立する前ぐらいから少しずつ作り始めたもので、独立して5年めぐらいからは、フォリアの作風の柱の一つとして認識されているものかも知れません。
(紙を染める時←紙の作品についての解説です)
この作風のものは主に染額として制作しますが、時に「これを帯にして欲しい」「額裏に・・・」というご要望によって、染額をアレンジして制作することもありますし、最初からこういう文様を帯や着物として制作する事もあります。染額を元にする場合は、染額ほど重厚にはせず、和装として使えるように図案や仕上げを変えます。
技法的には「糸目友禅とロウケツ」で制作します。
この作風のものは「夜、人間が寝静まった頃に始まる、月と人間以外の生き物の物語」・・・と発想し、その風景を描いたものが始まりで、それからいろいろ発展させて行きました。強いて例えるなら宮沢賢治氏の小説(童話?)のような硬質で透明な宗教的世界のような世界観になるように意図しています。
「メルヘン的な何か」を制作している感覚は全く無く、作者としては「こういう風景が観えるので、その風景を描いたもの」という感覚で描いています。
染額の場合は、男女ともに自分自身は着物をお召にならないけども染仕事は好きという方々や、染物云々は関係なく、絵として好きだからとお求めになる事が多い感じです。
恐らく、このような作風のものを、日本的なメルヘンイラストのように制作したら、ちょっと甘すぎると思います。あくまで、風景画として描いているので、男性にも人気があるのかも知れません。
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