【読書記録#34】 日本と台湾 なぜ、両国は運命共同体なのか 加瀬英明
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本書は昨年11月に逝去された加瀬英明氏が、2013年に書かれたものに、加筆・修正をして昨年文庫本化されたものである。
台湾人が選ぶ一番好きな国は毎年日本が1位で、アメリカが2位。そして、嫌いな国1位が中国で2位が韓国だそうだ。
日本にとって台湾は地政学的だけでなく、たくさんの価値観を最も共有する大切な隣国である。そして、安倍さんが生前仰っていたように、「台湾の有事は日本の有事」。本のタイトルにもあるように、両国は運命共同体である。
しかし、日本人は台湾のことをどのくらい知っているだろうか。本書では、台湾のことを民族的、歴史的、政治的な側面から深く知ることができる。
先住民族以外の台湾人は漢民族とは全く異なる台湾人のルーツであるということから始まり、(閩族、客家、先住民族) 同じ日本の統治下にあった朝鮮との比較もされている。
「長く中国の属国だった朝鮮が中華思想にどっぷりハマっていたのに対し、台湾の人々は大陸から渡ってきた先祖(閩族、客家)が難民だったために、中華思想を持っていなかったからだった。」
「中華思想では、日本や台湾のような島の民を未開な島夷として、蔑視してきた。朝鮮も中国を宗主国として慕い崇めてきたので、永いあいだ、中国人の目を通して日本を見てきた。」
この2点については、自らを小中華だと言って誇っていた「小中華思想」が大きな理由のにあると他から知識を得ていたが、本書を読んで理解が深まった。
朝鮮人は事大主義と言って強いものにおむねる民族性がある。「事」には仕える、奉仕するという意味がある。その民族性からひたすら中国の完全なコピーになろうと努めた。そのために、中国と同じように島の民を蔑んできたとある。百田尚樹氏も、先日朝鮮人の民族性について同じことを「あさ8」で仰っていた。
そのほかにも、日本人と台湾人が仲良く助け合って生活していたことや、内地に引き上げる日本人と別れを惜しむ台湾人のエピソードがいくつかあり、感動して涙が出た。
蒋介石率いる国民党による政府に反対する台湾人の度重なる大量虐殺のくだりには胸が痛くなった。
しかし、後藤新平や八田與一や新渡戸稲造のほかにも台湾に貢献した日本人がいることを知ることができたのはとてもよかった。そして驚いたのは、台湾の主要企業の奇美実業のオーナーである許文龍氏が、日本が台湾の近代化に大きく貢献したことを、新しい世代の台湾人に知ってもらいたいと願い、私財を投じて、後藤新平、八田與一、新渡戸稲造、羽鳥又男、浜野弥四郎、新井耕吉郎、鳥居信平、松本幹一郎、磯永吉、末永仁の10人の銅像を銅像を製作して、それぞれ台湾のなかのゆかりの地に建立していることである。
故李登輝元総統も、金美玲氏も、本書に出てくる台湾人の方々も口を揃えて仰るのが、「日本は素晴らしい国です。もっと胸をはってください」だ。
謙虚さを忘れずに日本人としての誇りを持って生きることをここでも教えられた。
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