昨今のLGBT面接事情
僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。女から男に戸籍を変えて生きているFTM。41歳。
仕事は地元名古屋で同じLGBT当事者を雇用したBARを経営している。
LGBTを雇用して思う事
主に僕と同じFTMを雇用している。開業してこの15年で1000人ほどの子を面接してきた。
その中で思う事。
それは厳しい見方かもしれないが、性別違和、性同一性障害であることを「言い訳」にしている子が多いということ。
こんな風だから..水商売しかない
だとか、
親がLGBTであることを認めてくれないだとか..
心の病気だけど雇って欲しいだとか..
僕は面接官なのか人生相談を受ける人なのかよくわからなることばかりだった。
当事者同士。
僕が起業するときに求人募集のキャッチコピーとして掲げた「自分らしく生きる場所」というフレーズのせいか、「わかってくれますよね?」の気持ちが強いようだが、こちらは「仕事」であり この店Venusは、学校でも病院でもボランティアでもない。
心の病を責める気はない。
ただ、経営者として完治していない不安定な状態のままお酒を扱い、昼夜逆転の生活をさせるリスクは大きいことをわかって欲しい。
そして、働けないことをセクシャリティや親のせいにしている人には、「20歳超えたら自己責任」だということを伝えている。
過酷な環境に居ても、育っても、これからは自分で変えることが出来る。その為にきっと沢山考え悩み、僕の店の求人に応募してくれたのだろう。
だったら、もう一歩。このあと一歩でその後の人生が決まる。
セクシャリティなんか関係ない。
労働力として必要とされる「人材」になること。それが今の不安を消し去る最大の近道である。
みんなが寝る時間から働き、起きる時間に寝る生活。
水商売=
あまりイメージの良い業種ではないかもしれないが、たくさんの人との出逢いが魅力であると僕は考える。
その出会いによって世界が広がる。
普通に生きていたら出会えない方々とのお付き合いの中で貴重な経験をさせて頂ける。
誘惑も沢山あるがその分キラキラしたこの世界は僕にとっては居心地の良い場所である。
変わってきた最近の面接事情
このところ、Venusには求人の応募の波が来ている。
毎週のようにある面接の場で、沢山の若いFTM。LGBTQと会い話す機会は僕にとってもいい刺激となっている。
その中で最近思う事は、「こんな風だから..」というネガティブな子が少なくなってきたというこれまでとは明らかな違いだ。
自分らしく働いてみたい!
未経験だけどチャレンジしてみたい!
昼職をしているけど自分の経験の為にアルバイトをしたい。
自分の夢の為にお金を貯めたい!
などなど応募の動機がみんなポジティブであること。
これが今の時代の子たちなのかと目を輝かせて面接に来てくれる子たちが眩しい。
時代の移り変わりを感じながら、確実に僕たちLGBTQが生きやすい時代になって来ているんだと実感する毎日。
この子たちが僕の好きなこの仕事、この街を同じように魅力に感じてくれたらいいなと思っている。
※2022.6.11(土)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第9回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!
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鈴木優希のセミナー活動関連のお知らせ、性同一性障害のお子様を持つ親御さんへのメッセージなどLGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトもご覧いただけたら嬉しいです。そしてコメントもお気軽にお待ちしています。