メタ認知育成①「教えないレッスン」とは

こんにちは、辰巳です。


前回の記事で「思い込み」から解放されるには「メタ認知」が大切!とお話しました。


今日は、メタ認知についてもう少し詳しくお話します(^^)



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そもそもメタ認知とは


まずは、言葉の意味からいきましょう。

「メタ」とは「高次の」という意味です。

「メタ認知」とは、「認知を認知すること」

「メタ分析」とは、「分析を分析すること」



、、えっと、、つまりどゆこと?

、、ってなりますよね( *´艸`)


メタ分析は「分析を分析する」事で、もとの分析の分析項目•方法•対象などの妥当性を検証する事が出来ます。ですから、メタ分析を繰り返す事で、分析の精度が上がってゆくのですね(^^)


メタ認知はこんな感じです↓

「B君はA子ちゃんを好き」というのが認知、

「B君はA子ちゃんを好き、と分かっている」のがメタ認知です。

え?何がどう違うの??

と思われるかもしれませんね( *´艸`)

B君はA子ちゃんを好きだけど、その認識がない場合、意地悪してしまうかもしれません。何だこのモヤモヤはー!ってなるかもしれません。

でも、「好き」を認識していると別の行動が取れますよね。これが「感情に対するメタ認知」です。

メタ認知は、

「自分のちょっと上の方に、自分という名の親友がいつもいて、客観的に自分を見ている」

という感じです。

画像1

この「もう1人の自分=メタ認知」は、主観では気付きにくい事にたくさん気付いてくれるのです。


メタ認知についてもう一つ例を挙げましょう。

皆さまは「どうして月は満ち欠けするか」を、子供が分かるように説明出来ますか?


ちょっとチャレンジしてみてください( *´艸`)


、、、、

、、、、いかがでしょうか、

説明しながら、皆様は頭の中で「分かっている事」と「実はよく分かっていないこと」の選別作業をされているはずです。

この作業こそ、自分の「知識に対するメタ認知的作業」なのです。

知識の選別作業をする事で「自分の分かっている事」「曖昧な事」「分かっていない事」をきちんと自覚できるのですね。


これらの例から分かるように、

メタ認知の能力が高い人は、自己理解が深く、自分を客観視出来るのです。

そうすると、やるべき事が的確に分かったり(分からない事が分かっているから)、主観に飲み込まれる事なく適切な行動を取る事が出来るようになるのです。


さて、長くなりそうなのでメタ認知の説明はこの位にしまして、


どうですか、コレ、練習にも演奏にも役立ちそうなにおいがプンプンしませんか?( *´艸`)


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生徒のメタ認知を育てる方法


レッスンにおけるメタ認知の育成について、

「生徒さんのメタ認知能力を上げる事は、生徒さんの中に先生を育てるという事」

こう言えば分かりやすいと思います(^^)

メタ認知能力の高い生徒さんは、自分で自分をレッスン出来るのです(^^)

自分の課題や、それに対する練習方法が分かっている状態です(知識のメタ認知)

さらに自分の性格に対するメタ認知(やるべき事は先に済ます、ギリギリまでサボる、などなど)の知識も高ければ、その練習方法を、いつどのように遂行すれば良いのかという事まで分かるのです。


自分で自分をレッスン出来て、自分の性格に合わせてそれを遂行出来る、、!

講師の先生方、こんな生徒さんが育ってくれたら嬉しいと思いませんか(^^)?


それは嬉しいだろうけど、、、

でもどうすればその能力は育つの?


、、と思われるかもしれませんね( *´艸`)

レッスンですぐに使える具体例をご紹介します。


[シーン]レッスンで一曲弾き終わった生徒さん。良かった所はミスが無かった事。問題点は指使いの間違い、手の形、強弱を無視した弾き方等だが、、、

いつものレッスンの一コマですね。先生が「じゃあ通して弾いてみよっか」と言って、生徒さんが弾き終えたシーンです。

先生が伝えたいの点は先述のような内容。

さてこんな時、どのように伝えれば生徒さんのメタ認知能力は育つでしょうか?



、、、


とっても簡単です。



「先生何て言うと思う?」


これだけです( *´艸`)

すると生徒さんは、自分の演奏について、今まで教わった事の中から「出来ていた事」「出来ていなかった事」の選別作業を頭の中で始めます。

結果、自分で自分の課題を発見出来るのです。

この方法、先生は特に「正解」を準備して聞いているわけではないのですが、生徒さんには「クイズに正解したい」という心理が働き、真剣に考え、結果、的を得た回答をする傾向があります。


教えないレッスン


先述の方法を私は「教えないレッスン」と呼んでいます。

生徒さんが自分で自分の課題を見付けたら、先生はこう続けます。

「どうやったら良くなりそう?」

そこで生徒さんは、今まで習ってきた、自分の中にある練習方法を探索し始めます。

そして生徒さんが自分で思い出した、または思い付いた練習方法をベースに、先生はアドバイスや手直しを加えてゆくのです。

ここでは基本的に、先生が教えるのは質問された内容についてだけです。

生徒さんは、自分主導でレッスンが進んでいる感覚になるでしょう。

しかし、実はレッスンの主導権は先生にあるのがお分かり頂けると思います。

このスタイルは、レッスンを進めるにあたって大きなポイントなのです。


ところで、「質問された事だけに答えるスタンス」は、先生のストレスを大きく減らしてくれる効果もあります。

どれだけ大切な内容であっても相手が知りたがっている内容でなければ、こちらが一生懸命に説明してもほとんどスルーされているからです。

前にも言ったのに!何回説明させるの!

のイライラが無くなりますよ♪

教えた=伝わっている、ではありません。

同じ説明なら、相手が知りたがっているタイミングを見て。省エネモードでいきたいものです。

、、、話が脱線してきましたので元に戻りましょう。


先ほどご紹介した例(先生何て言うと思う?作戦)は、生徒さんにある程度の知識や思考力がある場合を想定しています。小学3.4年生位から中学生くらいまでに有効です。

これを参考にレベルや個人に合わせてアレンジしてゆくのが良いですね(^^)

また、おうちで宿題のやり方が分からないという生徒さんにも、全く同じ方法が使えます。

おうちで練習してみて、やり方が分からなかったら、

「こんな時、先生だったら何て言うかなぁ?」って想像してみてね♪

とお話すると、不思議な事に何かしらのアイディアを思いついてくれるものです。同じ人間なのに、別人目線になるだけでアイディアが生まれるって面白いですよね( *´艸`)

もちろんここでも、先生から家での練習方法は何も教えていませんね( *´艸`)

たとえ先生が相手でも、人から教わったやり方は長続きしないものですから。先生は生徒が自分で見付けるようサポートに徹します。

注意点としては、「教えない」タイミングと内容を間違えない事です。

何も知らない、まだ何も教えていない、思考力もまだ弱いような生徒さんに「教えない」をむやみに発動しても意味がありません。

この子は自分で考えられそうだな、と思う時にこそ発動しましょう♪



課題10個を出し合う方法

メタ認知の育成には他にも、こんな方法があります。


レッスンの最後に、

「自分で決めた課題10個、先生が決めた課題10個」

をそれぞれで書き出します。お互い、カンニング無しでやります。

コレを実践していると、生徒さんが決める課題の内容は先生に寄ってくるんです( *´艸`)

つまり、先生目線で自分を見られるようになっているというわけですね。

また、課題はいつも先生から言われる「受け身」でしか見付けられなかった人も、この方法を実践する事で「先生は気にしてないけど自分はすごく気になる事」も発掘できます。

ですから、

やれば出来るのに先生の言う事にそこまで真剣に取り組まない、「ハングリー精神少なめの生徒さん」に、特にオススメの方法です。


先生役をやらせる方法


この他にも、

生徒さんに先生になってもらい、その子の妹や弟に実際ピアノを教えさせるのも有効です。

物を教えるという行動は、イコール、先生のメタ認知育成と言っても過言ではありません。

タイミングとチャンスがあれば是非試してみてくださいね(^^)



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メタ認知育成の課題


メタ認知育成については、課題もあります。

例えば、知識のメタ認知能力を高めようと思うなら、そもそも自分の知識を判定できる能力が備わっていなければいけませんし、

また、メタ分析やメタ認知は、物事について集中してじっくり考える時間が必要ですから、その精神力も必要です。

根気強く取り組めばレッスンに大変有用な力ですが、ある程度の「能力」がベースにある事が前提でもあるのです。


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今日は、レッスンシーンでのメタ認知育成についてのお話でした。

次回はこの続き、舞台での演奏に有用なメタ認知の育成についてお話しようと思います♪


今日もお読みくださってありがとうございました♪



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