やっぱりアジア映画は熱い!!と、また家で一人、興奮してしまった。
20歳を過ぎてから、どんどんと一人でいることに抵抗がなくなってくる。
休みの日にベッドの中で映画を観ながらゴロゴロするのがここ数年の至福の時間だ。
“一人”映画を趣味にしているわたしが最近ハマっているジャンルが、タイトルにある通り「アジア映画」だ。
映画通の方々は「え、今更?」と思っているかもしれないが、「映画は好きなんだけど、年に100本とか200本とか見るレベルじゃないし…。でも映画はホントに好きなんだよなぁ」という人になら、需要があるのでは?と思って記事を書くことにした。
ちなみにわたしも映画好きと自分では言っているが、全く観ない時期もあれば、急にスイッチが入ったように1日に3本くらい立て続けに観る日もあるような、なんとも中途半端なタイプだ。
その独特の空気感にハマると沼
アジア映画でいうと近年は韓国映画が世界的にも注目されている。特にサスペンスやスリラーは引き込まれる魅力があると感じる。だけど、台湾・ベトナム・フィリピンなど、もちろん日本も含めて多くのアジアの国々でグッとくる映画がありすぎる。
例えばこんな感じ…
台湾:恋の病〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜(2020)
タイトルからしてザ・ラブコメかと思いきや、後味が良い新感覚のラブストーリー。人の価値観や考え方が永遠に変わらないことはないはず。仮に良い方向でも、好きになった相手が少しずつ付き合った当時と変わっていることが分かったときの、「置いていかれた感」。それをリアルに観せてくれる。
実は本国ベトナムでは公開後すぐに上映禁止となっている。その理由は主人公「メイ」を演じた女優の出演当時の年齢にあるのだが、一度それは横に置いておく。風景の美しさ、ともに生活している女性たちの心の繊細さ、そしてその動きを丁寧に描いている作品。こういう時代があった、と勉強にもなる。
タイトルだけを見ると想像しづらいかもしれないが、切ないフィリピンのラブストーリー。メインの女の子と男の子はどちらも売春でお金を稼いでいるという設定だが、それがまた日本だと想像しづらい。けれど、その設定だからこその切なさやそれぞれの心のすれ違いが描かれていて、心がぎゅーっとなる。
もちろん、グッとくる基準は人にもよるのであしからず。
そして「これは良い!」と思う作品があれば教えていただきたいです。
「バッド・ジーニアス-危険な天才たち-」
ずっと気になっていたにもかかわらず、Netflixのマイリストに入れたきり手を付けられていなかった作品をついに鑑賞してみた。「バッド・ジーニアス-危険な天才たち-」は、タイトルから勝手に激しいアクションがあるような作品かと思っていたため、マイリストのまま眠らせていたが、実際に観てみると考えさせられる人間ドラマだった。※NetflixとAmazonプライムビデオで配信されていることは確認済み(2022/2/20時点)
⇩以下あらすじ
裕福な家庭ではないが、成績優秀・スポーツ万能なリンは、特待生として新しい高校に転校してきた。そこで仲良くなったのはグレースやパットをはじめ、おバカだけどお金持ちの子たち。そんな“仲間”たちに頼まれて、リンの頭脳を使ったあるビジネスをはじめる。それが吉と出るか凶とでるか、最後の最後にリンがした選択とは…。
[映画]バッド・ジーニアス -危険な天才たち- 2018/9/22(土)、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー (maxam.jp)
自分も感じた格差の話
この作品では「経済格差」が大きなポイントになっていると感じ取った。
リンの頭脳を使ったあるビジネスとは“カンニング”なのだが、あまり裕福ではない彼女がカンニングの手助けをする代わりに、お金持ちの友人たちはリンに対価を支払うことになっている。
ここで自分の話を入れてしまうが、なんとなくこの格差をわたし自身も感じたことがあったので勝手に共感してしまった。
わたしが田舎から上京し、東京の大学に入学してみて感じたことは、同級生たちはみんなお金持ちで金銭感覚が全く合わないかもしれない、という不安だった。多くの同級生は中学校から私立校(小学校から有名私立校出身の子もちらほら)で、奨学金をもらって通っていたわたしはとにかく圧倒されて、金銭感覚も遊び方も全く違う!と衝撃を受けたことがある。
私が育ってきた田舎の常識と、大都会東京の常識はこうも違うのか…、と上京したての最初の4か月は毎日泣いていた。実際のところ、大学の友達と鳥貴族で飲んだりもしたので、ふたを開けてみるとそこまで悩むことはなかったのだけど。
リンが最初に仲良くなる友人たちも、彼女の家庭環境とは逆に裕福な家庭の子たちだった。
最初に話しかけてくるグレースは、天真爛漫な憎めないキャラクターで、とにかく笑顔が可愛い。その彼氏のパットは御曹司で超豪邸に住んでいる。こちらもおバカだが周りを巻き込んでいくカリスマ性を備えたとても魅力的なキャラクターだと個人的には思っている。
この「格差」を軸にして、仲間内でのビジネスがどんどんと大きくなっていく。
それが見どころだ。
スパイ映画のようなスリル、だけどリアル
この作品、カンニングの手口が結構リアルで面白い。
実際に真似する人たちがいたりするのでは…。
ぜひその鮮やかな手口を観てほしい。
ビジネスの規模はクラス内から、世界共通テストにまで広がっていく。
世界共通テストの会場に持ち込めるものは筆記用具のみ、携帯電話は絶対にNGだ。
その状況下でどうやってリンたちはその“ビジネス”をやり遂げるのか。
見つかるのか、見つからないのか。
捕まるのか、逃げ切るのか。
観ている側も一緒になってハラハラするだろう。
劇場で観ていたら…と何度も後悔した。
わたしのような勘違い人間は、すぐに主人公の立場に自分をすり替えてしまうので、心の中で「どうしよう…!」と一緒になって考えている自分に気づいてしまい、一人で恥ずかしくなった。
家に自分しかいないにもかかわらず、なぜか周りをキョロキョロして誰にも見られていないか確認してしまった。
リンはヒロインではなく、ヒーローだった
テスト終わり、迎えに来た父親に、何も言わずに泣いて抱き着いたリンの気持ち。
冷静沈着で、常にグレースたちの味方でいたリンだが、10代の少女なことに違いはなかった。天才肌でクールなキャラクター、それでも根本的な部分に持っている優しさや人間らしさがにじみ出ている。
この作品のキャラクターは、それぞれの個性が光っていて魅力的すぎる。
彼女は単純にお金のためだけにやっているようには思えない。
彼女の思うお金のため=決して裕福な家庭ではないが有名校に進学させ、海外留学まで出来るチャンスをリンに作ってあげようとしている「父親」のため、だと感じるからだ。
彼女は作戦を語っているときが、とにかくかっこいい。
なんというか、TED Talk みたい、と言ったら伝わるのだろうか…。
相手を圧倒する説得力と「この人がいればなんとかなる」と思える安心感。10代の少女らしい繊細さも持ち合わせているが、表にでているのは肝の据わった姿だ。その繊細さを周りの友人たちには気づかせない強さもある。
まさにこの作品のヒロインではなく、ヒーローだ。
同級生に「バレたら親父さんが悲しむぞ」と言われてでも、ある決意をしたリン。
きっと、「これでよかった」と思える。
appendix-ストーリーに全く関係なくてごめんなさい-
ストーリーに全く関係ない部分で注目してしまったところが、リンのスタイルとファッションだ。といっても、そこまでファッションセンスのないわたしが「おしゃれ!」と思ったという話なので、それこそおまけ程度に見ていただければ幸いです。
日本以外のアジア圏でよく見る気がする、こういうシンプル感。