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【読書感想】天才すぎて「人間のフリをした悪魔」と呼ばれた男の生涯
こんにちは、Yukiです。
今回ご紹介する本は、高橋昌一郎(著)『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』です。
本題に入る前に「ジョン・フォン・ノイマン」という人物をご存じでしょうか?彼は一言で言えば、超天才なのですが、それとは裏腹に日本ではあまり聞きなじみのない名前かもしれません。
かくいう僕も、この本を読むまで、彼の存在は知りませんでした。
しかし、彼は日本と関係の深い人物でもあります。というのも、日本に落とされた原爆の開発に彼が携わっていたからです。
もう少し詳しく言うと、原爆を開発する「マンハッタン計画」というものがあり、それを遂行する科学者集団の中心的存在だったのが、ノイマンでした。
もし彼がいなかったら、原爆は開発されていなかったのかもしれません。
今回は、そんな彼の天才ぶりを見ていきたいと思います。
本の内容
本書は、超天才のノイマンの生涯と思想を振り返り、彼の哲学に迫ることを目的としています。
ただ単純に彼の生涯を振り返るだけでなく、彼と親しい関係にあった人物、時代背景なども合わせて紹介されるため、より立体的にジョン・フォン・ノイマンという人物を見ることができます。
ここでは彼の天才ぶりを表すエピソードを2つご紹介します。
1つは彼の幼少期です。彼が10歳の時、ギムナジウムといわれる学校に通っていました。ギムナジウムとは日本で言うところの、中高一貫校で、10歳から17歳までの間、そこで過ごしました。
入学したノイマンでしたが、10歳クラスの数学の授業は簡単すぎて、先生は次第にレベルを上げていきました。ついには最終学年である17歳の最上級のクラスにいれましたが、それでもノイマンにとっては簡単すぎました。
ギムナジウムにいる他の数学の先生達も、彼に教えることはありませんでした。それどころか、反対に先生達がしらないような理論や定理を、ノイマンに教えてもらうという状態でした。
そんな彼を見た数学の先生であり校長先生でもあったラースロー・ラーツは、ノイマンの両親に彼に大学の数学を学ばせるべきだと強く主張します。その結果、大学の数学を学ぶことになりました。いわゆる飛び級ですが、飛び級過ぎます。
もう1つは彼の多岐にわたる業績についてです。彼は生涯にわたって、論理学・数学・物理学・科学・計算機科学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学に関する論文を150編以上発表しました。通常学者は、1つの学問を専門とします。もちろん彼も数学という専門分野を持っていました。
しかしながら、彼の天才ぶりは1つの分野にとどまることを知らず、多くの分野に影響を与えました。例えば、今僕たちはコンピューターを普通に使用していますが、現代コンピューターの基礎を作り上げたのはノイマンです。
ノイマン型コンピューターと呼ばれるコンピューターは、現在のPCのほとんどに採用されています。このことから「コンピューターの父」とも呼ばれています。
さらに、経済学にはゲーム理論という理論がありますが、その基礎となる重要な部分を作り上げたのは、ノイマンです。
これだけでも彼の多彩ぶりがわかるのではないでしょうか。もし彼がいなかったら、今僕たちが普通に使っているあらゆる技術は使えていなかったかも知れません。
このように、どの分野でも重要な業績を打ち立てたというのですから、凡人である僕はいろいろ通り越して、笑ってしまいます。
後年、彼の超人的な天才ぶりを見た人は、彼のことを「人間のフリをした悪魔」と呼んだそうです。
読んだ感想
読み始めは、正直楽しく読めるか心配でした。というのも、今まで偉人の伝記や生涯に関する本を読んだことがなかったからです。
しかし、読み進めるとそんな心配はすぐに消えました。
彼の天才エピソードがこれでもかと出てくるので、読んでいて非常に面白かったです。
また、彼のエピソード一つ一つがインパクト絶大で読む度に、圧倒され同時にワクワクさせられました。笑ってしまうくらいもの凄いエピソードもありました。
ちなみに僕は、彼が奥さんに「君も僕もワインが好きだ。さて結婚しようか!」と言ってプロポーズした、という話が大好きです。
そのプロポーズも驚きですが、それにOKした奥さんもなかなかの強者です。
僕は今まで、彼ほどの天才と出会ったことがないので、本越しにですが初めて「雲泥の差」というのを感じました。
「あ、この人にはどう頑張っても追いつけない」と心の底から思いました。そのくらいフォン・ノイマンは、圧倒的な存在なのです。
彼がいなければ冒頭にも書いたように、原爆は開発されず落とされなかったかも知れません。
一方でPCやスマホ、天気予報など、現代の僕たちにとって必要不可欠なものもなかったと思います。
現在にも彼の多大なる影響は及んでいます。
そのことにも気づかされました。
終りに
本書は今のところ、今年読んだ本の中で一番面白かったです。
ノイマンの天才ぶりが良くわかるエピソードや笑ってしまうエピソードがある一方で、挫折や苦労といったエピソードも紹介されます。
ぜひこの機会に、ノイマンのことを知っていただきたいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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