マガジンのカバー画像

短編小説集

25
短編小説をまとめています。
運営しているクリエイター

#毎日更新

短編小説「線路の上」

 ——あなたは信じないかもしれないわね、こんな話。  私が祖母の部屋を訪れたのは、穏やか…

湯川 葉介
3年前
111

短編小説「猫ふたつ」

 庭先に根を下ろした梅が満開に花を綻ばせ、香しい梅の花の香りが家中を満たしていた3月初旬…

湯川 葉介
3年前
43

短編小説「永遠の紙飛行機」

 年に一度、或る二つの国同士で不思議なイベントが行われる。  その二つの国は非常に友好的…

湯川 葉介
3年前
36

短編小説「祭囃子に候」

 からんころんと下駄が鳴る。  白地に紫の撫子模様が咲き乱れる艶やかな浴衣に身を包んだ年…

湯川 葉介
3年前
34

短編小説「ボクノカプセル」

 珍しく温かい一月の陽光にウトウトしていると、僕の左胸辺りでざっくざっくと土を掘る音が聞…

湯川 葉介
3年前
44

短編小説「海辺の番人」

 その日は空に厚い雲が垂れ込め、真夏の八月にしては珍しく薄暗い、妙に肌寒い日だった。夏休…

湯川 葉介
3年前
54

短編小説「流れ星の願い」

 虹色の若草が果てしなく広がる草原で、星々の母は、微笑みを浮かべつつ遠く美しい空を見上げていた。そこには幾つもの流れ星が舞い降りて来て、止めどなく光の雨を降らせている。ある流れ星の一団が、星々の母の前に降り立つと、それらは小さな子供達に姿を変え、一斉に「ただいま!」と母の胸に飛び込んでいった。星々の母も両手をいっぱいに広げ、優しく子供達を抱きしめる。 「おかえり、私の可愛い子供達。地球への旅はどうだった?」  星々の母が子供達にそう訊ねると、「楽しかったよ」と皆が同時に答