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遠い夕焼けが水平線の彼方へ暮れなずむ。 花火の残り香は風に流され、再び潮の香りが辺り…
——あなたは信じないかもしれないわね、こんな話。 私が祖母の部屋を訪れたのは、穏やか…
2029年12月16日の早朝、ヒューマンズリンク ~ H&TW ~ というアプリ運営会社から、1通の…
・・・もう疲れた、もう限界だ、何もかも嫌だ 溶けた泥人形の様に重い体を横たえた僕は、六…
僕は高校の三年間、不登校だった。 正確に言うならば『別室登校』と言った方が正しいかも…
「・・・助けて」 そんな声に僕はゆっくりと目を覚ました。気付けば小さな電灯が明かりを降…
記憶を遡っていって最後に突き当たる行き止まりで、私はいつも祖母に出会う。 近所の小さな遊園地にある赤い観覧車に乗って、当時4歳だった私は自分達の住む小さな街を高い所から見下ろすのが好きだった。向かい側の席には祖母が乗っていて、ゴンドラの窓に張り付いている私をいつも優し気な顔で見つめていてくれた。 「祖母ちゃん、登り始めたよ」 と私が言うと、祖母は、 「まだまだこれからよ」 と笑っていた。私は乗り込んだばかりにも関わらず、早速ゴンドラの透明なガラスに張り付いて離