内向型・HSPの自己肯定感が低い理由
私はこれまで、自分の強みを知りたい、自分らしさを活かした働き方をしたい、という方の相談に乗る仕事を3年続けてきました。
内向型だから、HSPだから、というわけでもないのですが、内向型のみなさんの悩みを聞く中で、自分に自信が持てなくて悩んでいる方が多い印象を受けます。
そこで今回は、どうして自信がなくなってしまったのか、これからどうしていけばいいのかを書こうと思います。
内向型やHSPの人が自己肯定感が低くなる理由
内向型だから、HSPだから…気質のせいでもありません。思慮深さなどといった性格や、自己分析力の低さなどの能力もあまり関係ありません。
自己肯定感が低くなる理由は、気質、性格、才能や能力ではなく、「環境」だと考えています。
私たちは、歳を重ねる中で家族・親戚・地域のコミュニティ・学校などで、他人と関わっていきます。また、テレビや雑誌・動画など、メディアからの情報も耳に入ってきます。
自然と、他人の価値観や考え方、一般常識と呼ばれるものを吸収する環境に身を置くことになります。
そうすると、「○○ちゃんは物静かな子なのね」とか「○○くんもお姉ちゃんみたいにもうすこし愛想良くなったらいいのにね」など周りの人に言われる経験や、大人同士が自分について話しているのを耳にすることがあります。
このように、他人(特に大人)と関わると、「あなたはこういう人間です」と評価されたり、「あの子みたいにならないと」と比較されることがあります。
あるいは、周りの人に怒られたり注意された経験がある人も多いと思います。「はい、と大きな声で答えなさい」「習い事、また途中でやめるの?続けなさい」などと、できない部分や苦手なことを指摘されて悲しい思いや嫌な気持ちになったこと、ないでしょうか?
もちろん個人差はありますが、周りの人からの悲観的な評価や比較を間に受けて、それがあたかも揺るがない事実だと思い込んで、「私はこういう人間なんだ」と自己評価を下している人、けっこう多いと思います。
考えてみてください。もし、その周りの評価や比較が、否定的・攻撃的なものだったとしたら…自分に対してネガティブな印象を貼り付けてしまいますよね。
たとえば、「私は暗い性格なんだ」「お姉ちゃんみたいになれない私はダメなんだ」「愛想良くないといけないんだ」「物事が続かず飽き性なところは直さなきゃいけない」といった具合です。
外野の声、つまり周りから植え付けられた「あなた像」がネガティブなものだったとしたら。
禁止されたり改善・克服を命じられたことが、自分の人間性を否定されたように感じて心の傷になっていたとしたら。
自分に自信を持つのが難しく感じますし、自己肯定感は低くなります。
たとえ相手にとっては深い意味はなく、話の流れでなんとなく言ったことだったとしても、それを間に受けてそのまま受け取ってしまう人の心には「あの人の言うように私はこういう人間なんだ」と刻み込まれて、その傷がずっと痛むように何をしても自信が持てない状況が生まれるのです。
自己肯定感が低くなる原因は環境。他人から植え付けられたネガティブな「あなた像」です。
自己肯定感の育て方
じゃあどうすれば自己肯定感を高められるのか、自己肯定感の育て方を今回は3つお伝えします。
ひとりでも取り組めるものですが、つい自分のこととなると後回しにして時間を取らなかったり、最後までやりきれず中途半端な状態になってしまう人もいるかもしれません。
かといって身近な人だと心の内を話しにくかったりもするので、お金を払って専門家に相談するなど第三者に協力してもらうのもおすすめです!
1.心地良さを感じる時間を意識的に増やす
自分に自信がないと、いつも人と比べて落ち込んだり、同じことでぐるぐる悩み続けたり、慢性的にストレスを感じていたり、とにかく心が不健康な状態が続きやすいです。
心が疲れていては、仕事を頑張ろうと無理に気合いを入れたり何かを学ぼうとしても、スタミナが続かずすぐに挫けてしまいます。
そんな自分をまた責めて…という負のループに入らないためにも、心地よさを感じてほっとするような時間を少しずつでいいので増やしていきましょう。
あなたが心地よさを感じるのはどんな時間ですか?
何をするとほっとしますか?
どんな人といると安心しますか?
ホットコーヒーを飲みながら読書をする、入浴剤を入れてゆっくりお風呂に入る、などささいなことで構いません。
心地よさを感じる好きなことを書き出して、日常生活に取り入れてみてください。
自分に心地良さをプレゼントしている自分のことを、好意的に感じられると思います。「私も自分に優しくできるじゃん」と思う気持ちが、自己肯定感の芽に水を注ぐ最初の一歩になります。
2.「私ってどんな人?」を書き出す
あなた自身が今感じているあなたのイメージを、言葉にして書き出しましょう。
「私は人見知りです」
「私はコツコツ取り組むのが得意です」
「私はコミュニケーションが苦手です」
「私はよく考えてから話すタイプです」
といった感じに、一言でいいのでどんどん箇条書きにしていきます。
「私は○○な性格です」
「私は○○という人間です」
「○○が得意です」
「○○が不得意です」
など、性格や能力に関することを書いてみてください。
一通り書いたら、そのリストを眺めながらこうつぶやいてみてください。
「これって全部、周りの人が勝手に決めつけたこと。本当の私じゃないかもしれない」。
自分のことを知りたくて真面目な人ほど、「私はこういう人間だ」と無意識に強く思い込んでいることがあります。でもそれはもしかしたら、他人から植え付けられたネガティブな「あなた像」を採用してしまっているだけかもしれません。
自己評価と、一旦距離を取ってみる。「それって本当?」と疑ってみる。
完全には難しいかもしれませんが、これまでに築き上げた自分像をリセットできるか、一度試してみてください。
チャレンジするだけでも、自分のことを悲観的に評価する癖が和らいで、冷静な気持ちで自分を観察できるようになります。
「周りの声の影響で、私は自己肯定感が低くならざるを得なかったんだ」と自分を責める気持ちを手放すことが、自己肯定感を育てることにつながります。
3.過去の記憶を辿り当時の情景や気持ちを思い出す
自己肯定感が低くなる理由、覚えていますか?
そう、他人が植え付けたネガティブな「あなた像」です。
過去に誰かに言われたことや空気的に伝わってきた評価が、自己肯定感の程度に大きな影響を与えています。つまり、根本的な原因と向き合うために必要なのは、過去を丁寧に思い出していくことです。
さきほどの「私ってどんな人?」を書き出して出てきたワードは、実は外からの評価や決めつけを信じ込んでいるだけではないか、探っていきます。過去の記憶を辿って、「その評価はそもそも本当に妥当なのか?」と純粋な疑問を投げかけていきましょう。
例えば、「私は社交的ではない」。もし、社交的でない自分はダメだ、とマイナス評価を与えている場合は、「社交的」というワードをヒントに回想します。
「社交的ではないとダメ」あるいは「社交的であるべき」と言われたエピソードはありませんか?社交性を発揮しなくて嫌な思いをしたことはありませんか?
そのとき、あなたはどこにいますか?
周りに誰がいますか?
何が見えて何が聞こえていますか?
何があって誰にどんなことを言われましたか?
そのとき、あなたはどんな反応をして、どんな気持ちになりましたか?
ゆっくりでいいので、五感を使って当時の自分を思い出してみましょう。
出来事とその時の気持ちや感情をセットで思い出すことで、自己肯定感を傷つけられたことをあなた自身が自覚することができます。
また、それは過去の出来事であり、誰かから植え付けられたものでしかなかったんだと心から気づくことができれば、これから先はどんな自分でありたいか、今の自分にとって何が必要なのか、といったように、能動的に現在と未来に目を向けられるようになります。
ただ、あなたにとって辛い経験であるほど、無意識に思い出したくないと感じたり、たいしたエピソードじゃないと判断して思い出すのを中断してしまうことも多いので、自分一人で過去を辿るのが難しいと感じる人も大勢いらっしゃいます。
私からの質問や投げかけを通じて過去の経験を深堀して、自己肯定感の低さの根本的な原因にアプローチするオンライン体験セッションを行っているので、ひとりで考えるのが難しいと感じた方はぜひ気軽に利用してみてください。
まとめ
・内向型やHSPが自己肯定感が低くなる原因は環境。他人から植え付けられたネガティブな「あなた像」である。
・自己肯定感の育て方1. 心地良さを感じる時間を意識的に増やす
・自己肯定感の育て方2.「私ってどんな人?」を書き出す
・自己肯定感の育て方3. 過去の記憶を辿り当時の情景や気持ちを思い出す