香川・丸亀名物「骨付鶏」が飯テロすぎてノックアウトされた件
久しぶりに「人生で最高にうまいもん」
の記録を塗り替える食べ物に出会った。
香川の名店「一鶴(いっかく)」の
「骨付鶏」である。
大塚国際美術館がメインの目的で訪れた四国。
土地勘もないのでとりあえず高松から帰ることだけ決めたが、グルメはノーマーク。調べずに行った。
ゲストハウスに宿泊したので、
地元に詳しい宿の主人に聞けばいいやと思い、
「讃岐うどん以外で美味しいものは何がある?」
と聞いたら
「骨付鶏」知ってますか?と聞かれた。
そういえば、一応買ったガイドブックに載っていたような気がするが、
「骨付き鶏」って、ただのチキンじゃん。と思って見向きもしなかった。
なので宿の主人に聞いたときも、
あんまり反応しなかったのだが、
それまでに、すでにうどんを二回食べ、朝は先日紹介した、とんでもなくレアな朝ラーメンを食べた。
そろそろ麺じゃないもんが食べたいと思って、
その骨付き鶏を食べに行くことにした。
雨だったし、
観光バリバリって気分でもないし。
聞けば、丸亀市にある「一鶴」というお店が美味しいらしい。
全くノーマークだったので、
じゃあ食べに行ってやるか、な程度だった。
完全に上から目線だ。
地図も見ずに電話番号からカーナビを入力し、
カーナビを頼りに行くと、やけにごちゃごちゃした場所に着いた。
丸亀駅前だった。
国道沿いの大型店かと思いきや、ずいぶんせせこましい。
駅前なので駐車場も見つからず、
小さいコインパーキングに車を停めてお店へ。
雑居ビルの隙間にある、間口が狭いビルが
その「一鶴」本店だった。
中を覗くと、外観からは想像できないほど広々した店内に、めちゃくちゃスパイシーなお肉の香りが立ち込めている。
この香りだけで、ごはん3杯いける感じ。
朝のラーメンのことがすっかり上書きされ、
一瞬でお腹がグーグー鳴り出した。
食べる前から、絶対うまいと確信したその「一鶴本店」。
1階も相当広々していたが、どうやら2階席もあるので、かなり広さはありそうだ。なのに、わたしが到着した11時半ごろ、すでに満席。
数組待ちが出ていた。
後から調べたら、通常なら2時間待ちも当たり前なほど人気店らしい。
例のウィルス宣言で少し控えめだったのか、15分も待たずに入れたのはラッキーだったかもしれない。
待ち時間も店内に充満するスパイシーな香りでワクワク期待が高まる。
ひとりだったのもあり、割とすぐにカウンター席に案内された。
メインメニューは、骨付鶏の「おやどり」と「ひなどり」
店員さんに聞くと、「おやどり」は旨味が強いが、かなり固いらしいので、わたしは柔らかくてジューシーな「ひなどり」をオーダー。
一緒に鶏めしも注文。
ビールは車なので我慢するしかなかった。でもこの香りはビール欲しいーというスパイシーでパンチがある香り。
オーダーを済ませ、活気のある店内で、今か今かと待っていると、
きたきた骨付鶏の「ひなどり」!!
もう絶対ウマイやつ!!
待ち時間で空腹の準備は万端だったので、
メニューにあった食べ方を参考にかぶりつく。
食べ方と言っても、
ペーパーナフキンで持ち手をくるんでかぶりつくだけなんだけど。
パリパリの皮に、ジューシーで柔らかいひなどりのお肉。
胡椒が効いて、甘ったるさがなく、シンプルなスパイスの味付け。
でもインパクトがあって、パンチも効いている。
まず一口、かぶりつく。
口に広がるジューシーさとスパイシーな味に思わず
「うまっ!」
と叫んでしまった。
うますぎるので、それからも一口食べるごとに
「うまっ!」
とか
「いやぁ・・・うまい」
っとつぶやいてしまう。
結局全部食べ切るまで、ひとくちごとに
「うまっ」
を繰り返しながら完食した。
上から目線で「食べてやってもいい」な感じで行ったことをお詫びする。
まじで「ごちそうさまでした」だ。
ちなみに一緒に頼んだ鶏めしが置き去りになっているが、
とても美味しかったのだが、骨付鶏「ひなどり」のおいしさとパンチの強さで、実はあまり覚えてない。
骨付鶏の食べ方に、油をおにぎりにつけて食べるのがオススメとあったので
やっぱりこの骨付鶏をメインに持ってくる方がいい感じがする。
あまりの美味しさに衝撃を受けて、この日の夜に帰宅するので家族にお土産を買って帰ろうと思った。この衝撃のおいしさを、誰かと共有したい、と強く思った。我が家の旦那は感情表現が少なく、息子は食に興味がないと、どちらも共有できる期待値は低いのだが、わたしの人生を覆しそうなこのおいしさをぜひ食べてもらいたいと思ったのだ。
メニューに「持ち帰り用」の案内がある。
その日の夜に帰るが、羽田に着くのが遅いので
家族が食べるのは翌日の夜だ。
冷蔵のものもあるが、味はどうなのか。
迷ってしまったので、
支配人風の方を呼んで相談する。
すると、華麗な答えが返ってきた。
・出来たてがMAXに美味しいので、
このパリパリ感はテイクアウトでは再現できない。
・持ち帰り時間が長ければ長いほど味は落ちる。
しかも日をまたぐと賞味期限上おすすめできない。
・だからといって冷蔵のものは日持ちはするが、
当店で召し上がっていただいたものと「まるで別物」と考えていただいたほうがよろしい。
と、華麗にハッキリと答えてくださったので、
ここで家族に買って帰るのはあきらめた。
めちゃくちゃ美味しかったものが、あまり美味しくなく伝わるのは本意ではない。わたしが味わったこの感動をなるべくリアルに伝えたいのだ。
ふとお店のパンフレットを見ると、けっこうな大型店で、香川県内にも店舗がある。よくよく見たら、横浜にも店舗があった。
だったら、横浜に行った際には家族に買って帰って、ぜひこの味を体験してもらおう。と思い、席を立った。
香川から帰ってしばらくしても、この骨付鶏のことは忘れられなかった。
次に横浜を通ることがあれば絶対に買って帰ろうと誓っていた。
ついにその日が訪れた。
今日は築地の病院に乳ガン治療後の定期健診の結果を聞きに行く日だ。
帰りは横浜駅を通るので、骨付鶏を買って帰れる。
検査結果は問題なし。ガンの予後4年目もクリア。めでたい。
さあ、予定通り骨付鶏を買って帰ろう。
事前に場所を調べてあったが、横浜駅から徒歩5分程度のところにあった。
オープンの17時にあわせてテイクアウトを注文。
20分程度で焼きあがるというのでワクワクしながら待つ。
横浜店は居酒屋の入る雑居ビルの上階にあるので、やはり雰囲気は本店のそれとはかなり違う感じで、なんか質素だ。
でもあのとき体験したスパイシーな香りが店内に充満していて、焼き上がりを待つ間もワクワクしながら待っていた。
ひなどり3つです!熱いのでお気をつけて!
と丁寧に渡していただいたそれは、
その場でかぶりつきたいようなおいしすぎる香りを放っていた。
開封。
持ち帰り途中の電車は、おなかをすかせた人だらけ。
あまりの良い香りが車内に立ち込めて、
「飯テロ状態」になっていただろう。みんなごめん。
帰宅してすぐに、鶏肉好きの息子に香りをかがせようとしたら
わたしが帰った瞬間に、息子がめちゃ臭いエナジードリンクをこぼしやがり、タオルを出したり拭いたりなんだりで、骨付鶏の香りがかき消されるわ、鶏どころではなくてキレそうになったが、気を取り直して
晩ごはんは「骨付鶏」である。
うふふ。うれしい。
余った脂にキャベツをつけて食べるので、キャベツ付き。
なんかつけてくれたキャベツが少ないので、お願いして増量してもらった。
本店で食べたときのパリパリ感はないが、
この香りと味、ジューシーな鶏がたまらない。
この前は車だったのでビールが飲めなかったが
今回は家なので、ビールと骨付鶏を堪能できる。
ひとくちかじると、よみがえる美味しさ。
香川でビールなしでこれが食べられたのが不思議なくらい、
ビールのお供にあう。
なんで香川では大丈夫だったのかな?と思ったら、
おそらくだが、横浜店のほうが味付けが濃く、
ごはんのおかず、というよりは、ビールのアテ感が強いのだと思う。
結構塩気が強かったので、
多めに頂いたキャベツを完食。
我が家はわたし以外飲まないので、
次にテイクアウトするときには、味薄め、
でオーダーしてみようと思う。
しかしこの骨付鶏は、
わたしの人生で食べたものの中でかなり上位に入った。
クリスマスに食べる骨付きチキンなんかも
たれが甘くてあまり美味しく感じなかったのだが、
このスパイシーだけどくどくない味付けは大好きだ。
きっとこれから、何かにつけて、
この鶏をテイクアウトすると思う。
ただし、持ち帰るときに
マクドナルドのポテトや、ケンタッキーと同じくらい
「おいしいニオイ」が充満しちゃうので
それは申し訳ないが。
やっぱり雰囲気を含め本店が一番だとは思うが
関東でもお店があるので、気になる方はぜひ一度食べてみてほしい。
ちなみにこの「骨付鶏」とは、
なんと一鶴さんの「登録商標」だった。
香川名物として「骨付きどり」などと
ガイドブックに紹介されているが、
骨付鶏、と送り仮名なしに書くときは
すなわち「一鶴」の骨付鶏のことらしい。
ご注意を。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました!
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