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メディチ家ご贔屓の白ワイン
先日、白ワインを勧めるバッカスの作品について取り上げながら、メディチ家や教皇に愛された白ワインのことを思い出しました。
フィレンツェから南に70キロ離れた所にある、サン・ジミニャーノという町のヴェルナッチャです。トスカーナ州と言えばキャンティ始めとした赤で有名ですが、白も生産しています。
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ヴェルナッチャは13世紀に起源を持つとされ、ダンテの「神曲」にも出てきます。
サン・ジミニャーノは今でこそ人口7500人ほどの小さな町ですが、12、13世紀は巡礼の旅人や商人が行き交い、かなり豊かでした。そのため、嗜好品であったワインも需要があったのだと思います。側にはガラスの製造で知られた町もありましたし、経済の相乗効果もありました。
14世紀半ばにフィレンツェの支配下に入った後、メディチ家のロレンツォ・デ・メディチ豪華王の眼鏡にかないます。余りにも彼が買い占めていたため、フィレンツェ政府から少し控えるようにと諌められますが、ロレンツォは全く聞く耳を持ちませんでした。寧ろ、ワインは病気の母のために買っているので欠かせないと、開き直ったのです。
世界初のソムリエとも言われるサンテ・ランチェリオも教皇に推していましたし、当時の人気ぶりが伺えます。
町の衰退と共に生産も廃れた時期がありましたが、1900年代に入ってから見直され始め、戦後に現在の製造基準が定められます。
1993年にDOCG(原産地呼称保証付き統制ワイン。特定の地域で生産され、その地域の伝統的な製法に従い、味や香りなどに対しても厳しい審査を合格したワイン)に認定されました。
辛口ですが、グラスに注いでしばらく経つとサフランやリンゴなどの香りが立ちます。個人的にウサギの煮込みと合わせるのが好きです。
現地で味わうのが一番ですけど、フィレンツェのレストランでも扱いが多いです。
トスカーナにいらした時の参考になさってみてください。
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