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【本】セルフ・アウェアネス-誤った内省は、自己認識の妨げになる!?-

セルフ・アウェアネス、という言葉は聞いたことありますか?
心理学者であり、感情知性(Emotional Intelligence:EQ)に関する研究で知られているダニエル・ゴールマン氏の定義では、「自分の感情、長所、短所、欲求、衝動を深く理解すること」とされています。

セルフ・アウェアネスが高い人は、より自信があり、より創造的であり、より適切な判断を下し、より強い人間関係を築くともいわれている。

セルフ・アウェアネスについて、下記の本を元に紹介していきたいと思います。



セルフ・アウェアネスには2種類ある

組織心理学者のターシャ・ユーリックはセルフアウェアネスを2種類に分けています。

1つ目は「内面的自己認識」。これは、自分の価値観、情熱、願望、環境への適合、反応(思考、感情、態度、強み、弱みなど)、他者への影響力について、自身がいかに明確にとらえているかを表します。内面的自己認識は、仕事や人間関係への満足度、自己および社会的コントロール、幸福に相関する。不安、ストレス、憂うつとは負の関係にあります。

2つ目は「外面的自己認識」。先に挙げた諸要素について、他者が自分をどのように見ているかに関する理解のことです。ターシャ・ユーリックの研究によれば、自分が他者にどう見られているかがわかっている人は、共感力と、他者の視点に立つ能力に長けているそうです。リーダーの自己認識と、リーダーに対する部下の認識が近いほど両者の関係は良好で、部下はリーダーに満足を感じ、リーダーを有能視する傾向にあります。

ポイントなのは、両者が高くて初めて自己認識が高い、と定義したこと。リーダー育成においても、内面的自己認識を高めるだけでは不十分であり、外面的自己認識を高めることがリーダーシップの向上に欠かせないポイントとなっています。

「内省」が必ずしも自己認識を高める訳ではない

ターシャ・ユーリックの研究で面白いのが、内省する人は自己認識度がより低く、仕事の満足度も幸福度も低め、という結果が出ています。

えええええ!?内省している人の方が自分のことわかっていそうじゃない!?と思いますよね。私もそう思いました。

読み進めていると、内省が非効果的な訳ではなく、誤った方法で内省していることが問題、ということがわかりました。

誤った内省とは?

では、誤った内省とはどのような内省でしょうか。
それは「なぜ」という問いにありました。

実は自己認識において「なぜ」は非効率的な問いかけだといわれています。

研究によると、人は自分の無意識の思考、感情、動機を探ろうとしても、その大部分をそもそも知ることができない。そして、意識上で認識できないものが非常に多いため、人は真実だと感じられる答えをつくり出すことがあるがそれは往々にして間違っている、ということがわかっているそうです。

例えば、新任の女性マネージャーが部下に怒りをぶつけるなどいつもはしない振る舞いをしたとして、そのマネージャーは「なぜ怒りをぶつけるなんてことをしたんだろう。私は管理職に向いていないのではないか」という飛躍した結論になるかもしれないですが、本当の理由は重度のPMS(月経前症候群)だったりするかもしれません。

他にも、業績評価が悪かったスタッフが「なぜこんなに悪い評価を受けたのだろう」と自問したとすると、「自分のスキルが足りなかったからではないか」「自分の努力が足りないからではないか」など自分の恐れや欠陥、不安感に焦点を当てた解釈になることが考えられます。

このように、誤った内省は、自分の強みと弱みに関する理性的な評価がされなくなってしまいます。

理想的な内省の鍵は「What(何)」

では、理想的な内省はどのようなものなのでしょうか。
ターシャ・ユーリックの研究では、自己認識が高い人たちへのインタビューの記録を元に内省方法を調べました。結果、自己認識が高い人たちは「なぜ」よりも「何」を問いかけていることが判明しました。

「何」という問いは、客観性と未来志向を保つ一助となり、新たな洞察に基づいて行動を起こす後押しとなります。

例えば、自分にとって嫌だなと思う仕事があったとして、「なぜこんなに嫌な気持ちになるんだろう」と考えるのではなく、「自分を嫌な気持ちにさせる状況はなんだろうか」という問いに変えるなどが考えられます。

自己を正しく理解するために

自己をより明確に捉えるスキルを身につけるためには、内面と外面の両方を高めることと、「なぜ」ではなく「何」を問うこと。
この2つがポイントとなってきます。

単純にセルフアウェアネスを高めるために、内省をしよう!フィードバックをもらおう!と形から飛びつくのではなく、どのような内省だと効果的なのか?を調べてから取り掛かることは重要だなと思いました。

私も「なぜ」ではなく「何」に着目していくぞ。

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