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炭水化物(糖質)の弊害4.「逆流性食道炎の原因」

 私の医療は、患者さんから始まります。患者さんの問診は、とても
大切で いろいろな事、教科書に合わないことを教えてもらえます。

 低糖質食を指導した患者さんが、胃薬(制酸薬)を飲まなくても
逆流性食道炎が良くなったり、胃腸の不快感がなくなることに
気づきました。

 そこで、今回は、逆流性食道炎と炭水化物(糖質)の関係をいろいろ
調べて学習したことを発信します。

1)逆流性食道炎の疫学

 成人の10%から20%が逆流性食道炎と言われています。症状は,
胸やけと思っていいでしょう。高齢になるにつれて増加傾向があります。
最近では、若い人や子供にも起こっているようで増加しています。
また、胃がんの原因と言われヘリコバクターピロリ菌の除菌が勧められて
いますが、ピロリ菌を除菌すると胃酸の分泌が亢進するため逆流性食道炎に
なりやすくなるそうです。そして、日本人の若い人たちは、ピロリ菌を持っている人が少ないようで、若くても逆流性食道炎になりやすいそうです。

2)逆流性食道炎が起こる機序

 簡単に言ってしまえば、胃酸を分泌する胃と食道を分けている下部食道
括約筋が緩み、食べたものが小腸の方に流れていかないため胃酸が食道に
逆流しやすくなる下段:下部食道括約筋が緩み、胃食道接合部が閉じていません。

その為に胃酸や食べ物の逆流が起こりやすくなっています。

 上記のように内視鏡検査で下部食道括約筋が緩んでいるのは、間違いがないようです。低糖質食にすると逆流性食道炎が良くなると言う事は、間違いないのですが、低糖質食にした患者さんの胃食道接合部の穴が、小さく
なるかどうかは、私は、脳神経外科医なので確認していません。

 低糖質食にするとただ単に胃酸の酸度が下がるだけかもしれません。

3)胃液(胃酸)は何のために分泌されているのだろうか?

 

1)食べたものを消化しやすくするため。

 充分口の中で、歯で小さくできなかった物を強烈な胃酸で
溶かすという役割があります。糖質過多の食事をすると
インスリン値が高くなります。そして高いインスリン値は、その結果
胃酸の分泌を亢進させるようです。
 だから、低糖質食にすることでインスリンの分泌が下がり
胃酸が減るために、逆流性食道炎が良くなる可能性があります。
 私のバカな想像ですが、炭水化物(糖質)を取ると食べたものが
逆流すると言う事は、あたかも体が炭水化物(糖質)を取るなと言っている
ようです。

2)胃酸には、殺菌作用がある。

 胃酸は、強酸です。そのためヘリコバクターピロリ菌が発見されるまで
胃には細菌は、住めないと考えられていました。
 つまり、胃酸には口腔内の悪玉菌や食べ物に付いた細菌やウイルスを殺し
体の中に侵入するのを防ぐ作用があるようです。
 このような強酸である胃酸が逆流すれば、食道に炎症を起こし胸焼けがするのです。

3)胃酸は、年齢とともに低下する

年をとるにつれて胃酸の分泌量は低下している。

 高齢者の内服薬を見ると必ずと言っていいほど、制酸薬(H2ブロッカーや
プロトンポンプ阻害薬)を飲んでいます。まるで、おまけとして付いている
かのようです。胃酸は、歳をとるにつれ減っていっているのにも関わらず です。困ったものだと思います。

 高齢者の逆流性食道炎の原因は、胃酸の分泌が増加する事ではないと
いえます。


4)タンパク消化酵素(ペプシン)を分泌する。

 胃液の中には、ペプシンというタンパク質を消化する酵素が分泌されて
います。炭水化物(糖質)を消化する酵素は、アミラーゼですが、唾液の中に含まれていますが、胃液には含まれていません。
 
 また、脂肪を分解する酵素リパーゼは、すい臓から分泌されますし
胆汁酸も脂肪の消化にかかわっています。

 タンパク質を消化する酵素、脂肪を消化する酵素は、ちゃんとあるのに
糖質を消化する酵素があまりありません。人間の体は、炭水化物(糖質)を
多量に取るようにはできていないように思います。

5)ピロリ菌の役目は?

 ピロリ菌を除菌すると胃がんが減少するのかもしれませんが、除菌により
胃酸の酸度が上昇し逆流性食道炎を起こしやすくなります。

 ピロリ菌は、アルカリ性の物質を分泌することにより、胃酸の酸度を
下げる役割があるのです。共生なのか寄生なのか?
どうなんでしょう?

ピロリ菌と胃がんの関係を見たものです。
血糖が低いとピロリ菌がいてもいなくても胃がんにあまりなりません。

 上記のスライドから、ピロリ菌の感染者は、空腹時血糖が高いほど胃がんにないやすい事が分かります。逆に低糖質食をして、空腹時血糖が低く
なるとピロリ菌がいてもいなくても胃がんに関係が無いことが分かります。
 
 他の病気の原因になる糖質過多の食事を止めることの方が、ピロリ菌の
除去よりも大切な事のように思えますね。

4)血糖値の急激に変化する食事は、消化管の運動を抑制する。

 いろいろ述べてきましたが、逆流性食道炎の原因があまり腑(ふ)に
落ちていないのではないでしょうか?
 いちばん、腑に落ちる説を紹介します。
1)顕著な高血糖は、食道 胃 小腸 胆のう 大腸 肛門の運動を
 低下させる。

2)糖尿病でない人でも高血糖は、下部食道括約筋の収縮を低下させ
 その持続時間を長くし、食道の蠕動運動を低下させる。
(清水泰行先生の本より)

 つまり、糖質過多の食事で高血糖状態が持続することが、逆流性食道炎の
原因のひとつだと言えます。

 胃酸の分泌の減った高齢者に、逆流性食道炎に対して強力な制酸剤を
処方する前に糖質過多の食事を改めさせるべきです。

 若い人や子供に制酸剤を飲ます前に、甘い飲み物や食べ物をひかえさす
ことが大切です。

 低糖質食にすると、多くの人の逆流性食道炎が良くなってくるのは、
経験上間違いありません。ありがとう。

※2型糖尿病の患者さんで、教科書的な糖尿病の治療をされている方。
肝硬変の方。低糖質食は、低血糖をおこし死亡する可能性がありますので
決してしないでください。よろしくお願いします。


 

 

 



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