着なけりゃほどけばいいんじゃないの?〜エコなスプリング・ドロップセーター
2021年の冬。義母の影響で出会い、2本の針と糸と手指の動きだけでいろんな面ができていく過程が面白すぎて、それはもう海底2万マイルもびっくりどっぷりハマった編み物。
ハマると強い私は、独学を重ね、みるみる間に腕は上達し、着たいものは自分で編めるようになった。
必然的に、四季なんて関係ねぇ、春夏秋冬ニット生活を送ることになる。
今住んでいる街で唯一あったZARAもサクッと閉店したし、服なんてここ数年ほぼ買ってない。それなのにクローゼットの収納可能スペースがどんどんなくなるのはどうしてだろう?答えはカンタン、編みまくってるからですねー。
この2枚に収まりきらないものはこちらに。
どのニットにも、生みの親である私との物語がある。
ああこの白いやつは、初めての服編みでフラ語の説明が全然わからなくて、何度もやり直しながら半泣きで夜な夜なロゼ飲みながら編んでいたなーとか、サーモンピンクのやつは真夏のルトゥケのビーチで太陽に焼かれつつビール飲みながら編んでたなーとか、ベージュのやつは北欧旅の飛行機内で横揺れに耐えつつシャンパン飲みながら編んでいたなーとか。
ひとつひとつのニットが思い入れのあるお気に入りだけれども、残念なことに、中には極端に着る機会が少ない子がいるのも事実。
例えばこの子なんかが当てはまる。
2023年春に編んだ、パステルグリーンのシルクモヘアニット。
ほわほわ&レースの軽くて春らしいニット。裏を返せば、着てるか着てないかわかんないレベルの軽さで、防寒のためヒートテックという名のババシャツを下に着るともれなく透けてしまう。中途半端な季節ってのがあまりない北フランス的気候において、元来寒がりな私はほとんど活用できないことが判明した。実に悲しい。せっかく編んでも、着なければタンスのこやしだ。
そんな悩める子羊に天から降り注ぐは、アニメちびまる子ちゃんより、まるちゃんの声でどうぞ。
「着なけりゃほどけばいいんじゃないの〜?」
(謹んでお悔やみ申し上げます、TARAKOさん)
いざ、ほどくよ!
編むのは時間がかかるけど、ほどくのは矢の如くピュッと進む。
あっという間に、パステルグリーンのほわほわニットは、シルクモヘア2本どりのでっかい毛玉へと姿を変えた。
さあ、この毛玉をどう調理しようか。
時はちょうどマグノリアセーターを編み終わったあたり、ローゲージのトップダウンセーターならサクッとオリジナルパトロンを作って編めるかもしれない。
全体はシンプルにジャージー編みで、ラグラン部分はちょい飾り入れて、袖に大好きぽんぽんを編み込んでみよう。使うのはこのシルクモヘア2本と、ホワイトのアクリルウールモヘア1本で、計3本どり。7mm針でザクザク編めばそんなに時間もかからない。
写真だとかぎりなく白っぽく見えるけど、実際のところはパステルミントグリーン。
襟部分があめたら、目を増やしながらボトムに向かって編んでいく。まずは袖と胴体部分に分けるところまで。
大好きボンボンが好きすぎて若干存在感大きすぎるような気がしないでもないが、まあこれはこれでオリジナリティということでね。
胴体部分を毛糸のキリがいいところまで編んだら、片腕へ。
何度も試着しながら長さが決まったら、胴部分と腕部分のリブでとじて、フィニッシュ!
最後の仕上げ。水通しをして、平置きで乾くのをまつこと数日。
できあがり!
着るとこんな感じでしてね。下にヒートテック着てるけどほぼ透けないし、襟も詰まり気味にしたからインナーなんでも着れる(喜)
このニットを着用しているときに母とビデオ通話をしていたら、「(実家の)犬が食べそう」と言われた(笑)たしかに何かと勘違いされるかもしれない。
このニット、まだ肌寒いけれども、すでに3回以上は登板機会があるのですでに元を取った(?)気がしている。こうやって糸に新しい命を吹き込むことができるのって編み物のいいところよねえ、まるちゃん。
さて、それでもさらに余ってしまったパステルグリーンのシルクモヘア2本どり。人間用の小物にするにしても中途半端そうだし・・・。
こんな時は、わたくしのお家芸。俺とオソロ化作戦、始動!🐶
この3色ルンルンおべべのスプリングバージョンといこう。
ほどなくして、完成。パステルチョコミントっぽい配色が申し分のないかわいさ優勝。
あれま、並べてみると今回のは着丈短めでタイトな仕上がり。まだ修行が足りないな。
ここからは恒例、俺の新作着用フォトギャラリーをしばしご覧ください。
ああやっぱり、ヒト用と同じ素材で編んだものだから俺うつりが一段とイイね!(ただの犬バカ発言🐶)
とにもかくにも、思い出のあるニットたちは着なけりゃほどけばよくって、また自分好みに編め直せばよくって、さらに小さいバージョンにも転化させればよくって、それが私なりのささやかな編みエコ活だったりするのである。