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死ぬほど臭いチーズと真剣に向き合ってみた結果、ほっぺが落ちた〜マロワールのタルト

美味しいワインとチーズとパンがあれば事足りる国、フランス。

ワインはもとより、チーズの種類がとっても多い。

かの名将、偉大なるシャルル・ド・ゴールが、

« Comment voulez-vous gouverner un pays où il existe 246 variétés de fromage ? » 246種ものチーズがある国をどうやって治めろっていうんだ?

と宣うたのは有名だが、たぶん246種にとどまらず、もっとある。各地域に特産のチーズがあって、勉強しようと思ったらキリがない。

ちなみにフレンチのコースでも、デザート前の一皿に立派に組み入れられていて、辛党(酒党)の私は、デザートの代わりにチーズをとってワインを最後まで楽しむことが多い。
こちらに来て最初の頃は、チーズをもりもり食べて、フォンダンショコラとかタルトタタンとかヘビーなデザートまで平らげるフランス人の胃袋に関心したものだ。

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バブル時代のよき思い出、リヨンのポールボキューズのチーズワゴン

死ぬほど臭いチーズ

例外にもれず、Otto氏の故郷、Nord地方にも特産のチーズがある。

それが、Maroilles(マロワール)だ。

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スーパーで2.5ユーロ(300円くらい)で購入

「ウォッシュ特有の茶褐色で濡れたような外観と強い個性的な匂い」

日本の販売サイト(高いな)では美しく表現されているが、正直に言おう。

衝撃的に臭い、臭すぎる。

汚い公衆トイレに更に不廃物を放置した感じの臭い。一体なんの罰ゲーム?と思ってしまう。

よくOtto氏は「Nattoみたいなもんだ」というが、日本人的にはまったくもって納豆に失礼な話だと思っている。きっと彼らも納豆に対して同じことを思っているにちがいないけれど。

結婚して移住してくるまでは、触らず嫌い食わず嫌いで意図的に避けていた。しかしマダムジョリとなった今、Otto氏の故郷でその土地の名産を使った料理を作ってみることは一興に値する。

ということで、義母宅のキッチンをお借りして、課外学習。不退転の覚悟でこの死ぬほど臭いチーズと真剣にむきあうことにした。なお、そのままではキツいので、Otto氏が幼少時からの好物らしいマロワールのタルトを作ってみることに。

おそらく日本に、わざわざこのくっさいチーズを大金はたいて買ってタルトにしてみようなんて物好きはなかなかいないと思うので、私の備忘録として記録してみることにする。

でも物好きさんは是非チャレンジを。もれなく物好きな私と仲良くなれると思う。

至ってシンプルなマロワールのタルトの材料

26cm底が取れるタルト型1台分 

<タルト生地(パート・ブリぜ)>

・小麦粉;240g (いつもは強力粉と薄力粉を1;2の割合で混ぜるが、薄力粉しかなかったので薄力粉のみで) 
・塩;2gちょっと  
・バター;100g(キューブ状に切って冷蔵庫で冷やしておく) 
・水;60g  
・卵黄;2個分

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〈中身(アパレイユ)〉

・マロワール;1パック(200g) 
・卵;タルト生地で余った卵液(余りの卵黄+卵白2個分)+1個
・生クリーム;200cc (液状)
・黒あらびき胡椒;大量(ボウルの卵液の表面積が埋まるくらい)
・ナツメグ;ナイフの先分。小さじ4分の1くらいだろうか。

タルト生地の作り方

まずはタルト生地から。

1、小麦粉と塩を手で混ぜて、そこにバターを投入。スケッパーやゴムベラなどで切るように混ぜる。 

2、ある程度バターの塊が小さくなってきたら、両手を使って砂をこするように混ぜる。数分すりすりして、パルメザンチーズのような状態にする。

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3、卵黄と水を混ぜた物を少しずつ加えて、生地をまとめていく。4分の3くらいでいい感じにまとまるはず。

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まとまった生地とあまった卵液

4、生地をまとめてラップで包み、冷蔵庫で1時間くらい寝かせる。その間にお昼寝したり、犬の散歩をしたり、勉強したり、ご自由に。

5、自由時間を過ごしたのち、そろそろ寝かせた生地を起こしにかかる。まずオーブンを180度に余熱スタンバイ。打ち粉をしながら生地を伸ばして、型にしきこむ。生地が余ったので、今日の編み師は2本バージョンの縁取りを。縁を付けたら、フォークなどで底部分に穴を空ける。

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6、先ほど余った卵液を型全体に刷毛などで塗る。なお、他家庭のキッチンで刷毛のありかがわからず、代用品も面倒なので、スプーンで伸ばした。

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卵液を塗ったところ。これでいい焼き色がつくはず。

7、180度のオーブンで15分くらい空焼きをする。そこまで膨らまなかったからよかったけど、本来は重石をした方がいいと思う。

中身(アパレイユ)の作り方、仕上げ

1、タルト生地を空焼きしている間に、タルト生地で余った卵液、元々使ってない卵白2個分と新たに卵1個をボウルで合わせ、生クリームを加えてよく混ぜる。 

2、ボウルの卵液の表面積が真っ黒になるくらいの黒胡椒と、ペティナイフの先っちょぶんくらいの粉末ナツメグを加え、さらに混ぜ合わせておく(ここ重要)。

3、空焼きしたタルト生地に、マロワールを適当な大きさに切って全体にくまなく並べる。なお、マロワールのカットはOtto氏にお任せした。

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縁にたてかけるようにして並べるのもポイント

4、アパレイユを生地に流し入れ、180度で40〜45分くらい焼く。表面がいい感じに焦げてきたら、完成。

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とっても素朴な感じ

さあお味のほどはいかに

こちらに、シンプルなグリーンサラダを合わせ、これまたビールの本場ベルギー国境近くならではなので、ビールで流し込む。

ん?あの強烈な臭さ、どこに行った・・・?

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チーズはどこへ消えた?とまではいかないけど、ほのかに香るチーズ臭。

きっと大量の黒胡椒とナツメグのおかげで、強烈すぎる個性がかなり丸くなったのだろう。

マロワール、なんて素直な子
美味しくて、どんどんビールが進む。

2人で2食にかけて、綺麗に平らげましたとさ。

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触らず食わず嫌いがひとつ減った 




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ユイじょり
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