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フランスの美味しい人参でつくる、ローズベーカリーの絶品キャロットケーキ
「フランスの野菜は味が濃い。」
パリにいるとき、知り合いのシェフやパティシエたちがよく言っていた。日本で出しているものをそのままの配合でつくると味が変わるから、フランスで出す場合は配合を変えている、とも。
シェフたちがおっしゃるように、常日頃から私もフランスの野菜はとても美味しいと思っている。野生味が強くて、広い大地でのびのび育ったんだねえと撫でて愛でたくなるような。そりゃいいブイヨンが取れるわけだよ。
万歳農業大国。ビバ地産地消。ラブマルシェ。
フランス北部をベースに生活する者として、フランスのじゃがいも愛はnoteで幾度となく語ってきた。なぜ北フランスでじゃがいもか?というのは、この記事のリンク先を参考に。
じゃがいものほかにも、「ああ、これは絶対フランスのものが美味しい」と毎度毎度確信する野菜がある。それが、今日の主役である、にんじん。フランス語でもCarotte(キャロット)。
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あらかじめ洗われてパックされているやつよりも、葉っぱ付きのものか、土付きのものを買うようにしている。土であちらこちらがどろっどろになるけど、いいんだよ。
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フランスのにんじんは生でかじっても美味しい。うちのOtto氏なんて、にんじんをおやつに丸ごと持参しますから。お馬さんかよ。まあ、ダイエット中に限りますがね。
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巷ではよく、キャロットラペが「フレンチの定番惣菜」などと銘打たれているけれども、そりゃーあなた、フランスのにんじんが美味しいからでしょう!というのが個人的見解。
うちでもよく、付け合わせや箸休め要員としてキャロットラペを作る。いろんなレシピを試したり、ドライクランベリーやナッツを加えたりクミンをかけてみたりとアレンジを色々してみたけれども、行き着いた先は実にシンプル。
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オリーブオイルとホワイトバルサミコを3:1で合わせて塩とピンクペッパーで調味。あれば彩りにパセリを散らす。
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食卓に彩りも加わって一石二鳥
余計なものは加えないシンプルレシピが、一番素材本来の味を活かす。これぞフランスの美味にんじんのなせる技といえよう。
「キャロットケーキ、つくろう。」
そう思い立ったのは、おとといのこと。
にんじんが大量にあって(ありがち)、美味しいニンジンで作るキャロットケーキって、一体全体どうなっちゃうの?という好奇心がむくむくと芽生えたから。
さらに、うちのOtto氏(海外ナウ)が、シナモン嫌い&クルミアレルギーかつ、たとえクルミを加えずとも絶対食べないことが予想されていた。ひとり生活にもってこいのスイーツといえよう。
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キャロットケーキって、あの上にのっかってる白いクリームがめちゃくちゃ美味しいのよね。絶対カロリー高そうだけれども。つまりカロリーは美味しいということだな?わかっちゃいるけど。
食べて記憶に残っているのはパリのローズベーカリー(Rose Bakery)のものしかない。というかローズベーカリーのキャロットケーキしか食べたことがないかもしれない。そして美味しかった記憶しかない。
レシピないかな〜と検索してみたら、発見。幸先よし。
レシピは8人分、油300cc、小麦粉300gというとんでもない量で構成されているので、いつもレシピ分量2倍とか平気でやってしまう私にしては珍しく分量を半分にして作ってみることにした。ひとりで食べ切る予定ですからね。へへへ。
2 oeufs (卵)
125.5g de sucre en poudre très fin (微細グラニュー糖)
150 ml d’huile de tournesol (ひまわり油)
4-5 carottes (にんじん)
150g de farine blanche (薄力粉)
½ petite cuillère de cannelle en poudre (シナモン)
½ petite cuillère de levure (ベーキングパウダー)
1/4 petite cuillère de bicarbonate de soude (重曹)
1/4 petite cuillère de sel (塩)
75g de noix hachées (砕いたクルミ)
Pour le glaçage : (グラサージュ)
62.5g de beurre non-salé (無塩バター)
125g de cream cheese (ou du carré frais) (クリームチーズ)
1/4 petite cuillère d’extrait de vanille (バニラエッセンス)
25 à 37.5g de sucre glace (selon votre goût). (粉砂糖)
分量半分にしたもの(4人分)
このレシピ、ドライフルーツ(我苦手)とか使わずクルミオンリーだし、スパイスもシナモンだけだし、ただ混ぜていくだけっぽいのも好印象。
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にんじんはオレンジのみならず、カラフルにいこう
まずは主役のにんじんを粉砕するところから始めよう。いでよ、文明の利器、フープロ。
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次、クルミもくだいておこう。ここは適当に包丁でざっくりと。
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あとはひたすら材料を混ぜていくだけ。卵と砂糖を軽いメレンゲ状になるくらい空気を含みながら泡立てたら、油系を加えてさらに攪拌。そこに、先ほど粉砕したにんじんを加えて、粉類、クルミを加えたら生地の完成。
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今日はちゃんと覚えていた、よかった
パウンド型に流し入れて、180度で40分ほど焼いたら完成。
・・・なのだけど、生地を全量流し入れてみたところで蘇る、溶岩なガトー・マルブレの記憶。1年半前のことなのに昨日のことのように鮮明に覚えているから、よほどの衝撃だったのだろう。
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これは絶対、ガトー・マルブレのように溶岩となって溢れ出る画しか浮かばなかったので、事前応急処置をとる必要がある。急遽マフィン型を引っ張り出してきて、容量を減らす作戦決行。
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失敗は成功のもとである。キャロットケーキは溶岩となって溢れ出ることもなく、いい感じの膨れ具合でフィニッシュ。さらに、オーブンに入れっぱなしで一晩置いたらかなり落ち着いていた。フィリングが塗りやすそうで、イイね!
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さて、ここからがお楽しみの白いクリームのせという名の白いカロリーのせである。レシピによれば、クリームチーズにバター、バニラエッセンス。さらに粉糖をお好みで、とある。
クリームチーズにバター。クリームチーズにバター・・・。いくら白いもの好きといえど、計算したくもないカロリー量に恐れ慄きながら、味見。美味。
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最後にズボラ癖が出て、クリームチーズを1パック丸ごと使った(レシピ比1.2倍)ので、クリーム自体の量が多くなってしまった。
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下にこぼれ落ちないように天空に向かってクリームを盛っていくのがポイント。
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最後にクルミを並べて、フィニッシュ。冷蔵庫で冷やしてクリームを落ち着かせたら、食べごろ。
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おかしいな、微妙に真ん中ズレてる
見よ、クリームの分厚さを。
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白いクリームの存在感たるや
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冷やしたら、カットするのもらっくらく。
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なぜ4つあったマフィン型が2つしかないのかって?味見で2つ食べたからだよ!
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これだけ大量に焼くのもアリかも
朝ごはんに一切れいただくことにしよう。
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にんじんの優しい甘みとスパイシーなシナモンの融合、さらにクルミのアクセントがいい。ケーキだけでも牛乳2杯はいける。さらに、基本ずっしりなケーキにこってりぽってりひんやり白クリームが合わさると、口のなかでえもいわれぬハーモニー。これはナイスバディだわ。
さらに、30秒ほどレンチンしてみたら、これがまたさらに美味しくなった。スパイス効果で心なしか体も温まる気がするし、これからの季節の朝ごはんによさそう。
ありし日のローズベーカリーで食べたキャロットケーキの記憶が蘇るほどには美味しかった。というか、今気づいたけど、パリのローズベーカリーで足しているのもフランスのにんじんを使ってますものね?美味しさの秘訣はやっぱりそこか?
なお食後、Otto氏に、「キャロットケーキ作ったよ🥕」と写真とともに送ったら、案の定な反応。彼にとって、キャロットケーキなるものはこれまた氏の嫌いなチーズケーキと同じ類らしい。「ガトー(cake)は砂糖!塩も使わないし野菜も使わない」んだそうです。知らんがな。
うちのジャポネーゼは、うちのフランス人以上にフランスのにんじんを愛しているんだもんね!
とにもかくにも、明日からの朝ごはんも楽しみでならない。
そんでもって、俺だってフランスのにんじん、大大大大好物なんだもんねー🥕
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