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アイス界のツチノコ|日記
土曜日のお話です。
6時起床。
今日はクリニックへ行くので早起きだ。
わたしは出掛けるまでに最低2時間は確保したい。
最近は午前中をnote時間に充てているので、8時に家を出るなんて俺どうすりゃいいんだよ・・・と、自分で立てた予定に動揺するなど。
PCを持っていくということで早々に解決した。
そしてnoteがふたたび日常の一部に戻ってきていた。
外出する日のヘアメイクは楽しい。
これが毎日になると楽しめなくなるから、外出はたまにが丁度いい。
髪を短くしたのでメイクも変えてみた。
まつ毛パーマが取れかけているが、この状態でビューラーで軽く上げるくらいが自然だしマスカラも塗りやすいし、なにより似合うことに気付く。
新しい髪形のヘアセットに慣れていない。
ヘアアイロンの加減を見ながら滑らせるも、日村みたいになってしまった。
でも日村で過ごすのはつらいので今日はふかわりょうで行きます。
ふかわは電車に乗り込み、広尾へ向かう。
土曜朝の駅って、案外人が多いのはご存知だろうか。
わたしは知っていましたよ。(何)
朝も朝。平日なら通勤ラッシュピークの8時だ。
土曜が土曜として多くの人の週末となり得るべく土曜を動かす人々もまた多いことを感じてありがたがる。
そんなふかわの今日は土曜らしいのか分からない。
朝イチのクリニックでわたしはうっかり先生のアドバイスを先読みしてしまった。
先生「もしかしてわかっちゃいました?」
ふかわ「わかりやす過ぎました(お金払わなくていいですか?)」
土曜にもなると先生も疲れがたまっているのか、心なしか診察が雑になっている気がする。実に人間らしくてよい。
今日も心が軽やかになる物事の見方を伝授される。しっかり受け取る。
受診後は近くの都立中央図書館へ。
いまこうして日記を書いているのも図書館の中だ。
10時の開館と同時にピットインしたが、同じようなお客さんが結構居て、ここでまた土曜日を感じる。
日記もそこそこに、最新の直木賞受賞作や、自分ではなかなか手の届かない建築やインテリアなどの大判写真集をたくさん読む予定だ。
今日のふかわは土曜日らしいのかもしれない。
ここに毎日のように通っていた学生時代はPCの持ち込みなんて有り得なかったので、未だに机に広げると怒られないかドキドキしてしまう。
が、それ以上にドキドキするのがランチタイムだ。
中央図書館には最上階にカフェテリアがあり、六本木ヒルズから東京タワー、麻布台ヒルズ、元麻布ヒルズ、芝浦方面まで港区を一望しながら、如何にも昔ながらの食堂といったメニューを楽しめる。
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そのギャップに毎度軽いめまいを覚えるが、ローストビーフとか出されても困るからこれでよい。
昔から病院の食堂にあるような簡素なラーメンが好きで、今日も食べるぞと意気込んでいた。
土曜の食堂は初めてかもしれない。
昼時はそこそこ混雑するので、オープンの11時ピッタリに行こうと心構え。
時計を見ながらカウントダウンをし、券売機用の小銭の存在を確認。
貴重品を小脇に抱えて階段を上る。この時間がいちばん緊張する。
土日は定休日だった・・・・・・・・・・
定休日でもスペースは解放されており、同志と思しきランチの亡霊と化した人々からの寂しげな視線が頬に力なく当たる。
手には揃ってアイスクリームが握られている。
哀愁がすごい。哀愁というかもはや虚無。
動揺してキョロキョロするとなるほどセブンティーンアイスの自販機。
いまここにある唯一の食糧。
この状況下でアイスクリームだけが存在するのがまたすごい。
嗜好品しか選択肢がない、ある意味極限。ある意味港区。
一瞬で空気を読み、こんなにしょうがない気持ちでアイスを買うのは初めてだ。
セブンティーンアイスもそれは望んでいないんじゃなかろうか。
それにしてもセブンティーンアイスの自販機の存在は貴重だ。
ほんとうはもう無いんじゃないかというくらい、探すと無い。
探さなくてもぜんぜん居ない。まるでツチノコ。
それだのに街で遭遇しても妙に冷静に「居るな」と納得し、いつか食べたいときに思い出せるように記憶の”重要”フォルダに保存する。そしてなぜか絶対に買うには至らない。存在を認められないのかもしれない。
幻を見つけてしまって見えなかったふりをする。
それがいまこんなんだから今日は買わないと後悔しそうだ。
ラインナップは季節柄かクリーム系や最中だ。
いちばん好きなグレープ味は不在。
好きぴもグレープ味が最推しだと判明した話を思い出した。
子どもの頃スイミングスクールでいつも買ってもらっていたというエピソードまで一緒で、好きな人との共通点はいつだってなんだって嬉しい。
自販機のど真ん中にレーズンバターサンド味を確認する。
べつやくれいさんのバターファンクラブの記事を思い出し、レーズンバターは食べずに死ねないので今日食べる。まだ死にたくないけど食べる。
自販機の真ん中にあるということは買って欲しいし、人気もあると言うことだろう。
バター好きを豪語したのが急に恥ずかしくなってきた。
アイスはめちゃめちゃ美味しかった。
書きながら思い出しいままた食べたくなってくるくらいには美味し過ぎた。
もうこれから中央図書館はセブンティーンアイスを食べるための場所になりそうだ。
アイスで腹が満たされることなんてないが、noteを書き欲望のままに本を読み漁ると空腹も忘れあっという間に夕方。
満足して図書館を後にし、急に腹減りを覚えて前から気になっていたパン屋を覗いてから帰ることにする。
パン屋さんは昼過ぎには大抵売り切れてしまうことが多く、お目当てのお店もそんな感じだろうと期待せず、おやつだけ買えればいいくらいに考えていた。
お店は入ってすぐ小さなショーケースがあるだけのこじんまりとした北欧パンとお菓子のお店BRØDだ。
引き戸を開けて一歩目も踏み出せないくらい開けてすぐレジ!
みたいな構造なので勢いをつけるとショーケースに突っ込んでしまいそうだ。
ガラス戸越しに店員さんと目が合ってしまい、店内に吸い込まれるもやはり看板商品のプレーンのサワードゥ・ブレッドは品切れ。
よほどしょんぼりしているように見えたのか、それとも昼ご飯を逃したひもじさが溢れ出ていたのか、レジの奥から店主らしきお兄さんが出てきて、これどうぞ。美味しかったらまた来て今度は買ってくださいね。と、なんとホールのサワードゥを渡してくれた。
なんてこった。涙腺がゆるんだ。嬉しい。そしてかっこいい。
隣人にパンを、を地で行く人に出会ってしまったかもしれない。
帰り道、誰かが腹を空かせていたらわたしもこれをわけてあげよう。絶対にぜんぶはあげないけどな!
レジのお姉さんも可愛らしくて、パンの話を沢山してくれて素敵だった。
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ありがたく受け取り、他にも気になったスコーンを購入して帰路に就いた。
嬉しくてニッコニコだ。うれしいうれしいうれしい。
必ずまた行きます。
夜はいただいた黒パンを主役に、北欧らしくサーモンとクリームチーズ、ミルクシチューと合わせて美味しくいただいた。
アイス界のツチノコ17を食べたり、貴重な虚無の食堂の姿を見れたり、あろうことか大きなパンをもらったり。
今日はいったい何曜日っぽかったんだろう。
この充実感はやっぱり土曜日かな。