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【日本一周 北関東編19】 あらゐけいいちの御朱印帳を求めて

・メンバー

明石、尾道、釧路、宮島

・夢にまで見た御朱印帳  筆者:明石


 暴力的な陽の光に張り手を喰らわされ、気づくと朝になっていた。


 寝ぼけた体を引きずりつつ宿をチェックアウトすると、本日最初の目的地の石尊山観音寺に向かった。


 高速道路を半時間ほど流して、最寄りのインターを降りるとすぐさま道幅の狭い山道に入る。ナビに指示されるがままに入り組んだ集落をこえて、急斜面をどしどし登っていくと観音寺にたどりついた。


 山の斜面には、仁王像、観音菩薩、地蔵菩薩、不動明王などの石像が見境なく並んでいた。年季の入り具合からして、比較的新しいものが多いらしい。


 一際目についたのは、頬にアヴァンギャルドな傷をつけた童心観音菩薩像である。気になって由来を見てみると、東日本大震災の際、津波に揉まれて負ったとのことだ。



 石造りの恰幅のよい菩薩でさえなす術のない波なら、人間が太刀打ちできるわけがない。人々に身をもってこのような実感をもたらし、それでもなお慈しみを絶やさない姿は、お堂のなかで過ごしてきた仏像にはない輝きを放っていた。


 さて、このような県を跨いでやってくるにはこじんまりした観音寺にやってきたのには訳がある。ここ観音寺は、「日常」や「CITY」で知られる漫画家のあらゐけいいち先生が、群馬県出身という縁でデザインした御朱印帳が販売されている唯一の場所なのだ。


 地方の祖父の家(想像)のような空気のたゆたうお堂のなかには、東雲なのに似た巫女さんが表紙を飾るなんとも可愛らしい御朱印帳がならんでいた。


なんてかわいらしい


 写真でしか会ったことのないモノが実際に存在している姿にひとしきり感動し終えると、ほくほく顔で購入した。これはとてもよい買い物をしたぞ。


・いまさら御朱印集めはできない  筆者:尾道


 広すぎる部屋に一瞥を送り、旅の2日目を迎える。


 これから向かう「石尊山観音寺」は、るるぶに載るような有名スポットではないのだが、明石の熱意で旅程に組み込まれた。その熱意の矛先は、そこでしか売られていない限定御朱印帳に向けられている。


 というのも、観音寺には、アニメ『日常』の作者・あらゐけいいちさんがデザインを手掛けた御朱印帳が販売されており、ファンである明石には垂涎の的なのだった。


 アニメ『日常』を鑑賞した愉快な旅の夜についての記事はこちら!


 アクセスはなかなかに厳しく、路地から伸びる傾斜のきつい坂道を進んだ先に観音寺は建立されている。山間の開けた空間に境内が広がっており、いたるところにお地蔵さんが鎮座していた。


 このほかにも、不動明王、薬師如来、観音像などが斜面に沿って鎮座しており、視界いっぱいに仏像が立ち並ぶ光景は圧巻の一言に尽きる。また、石材店の軒先で見る仏像くらいきれいな御影が多くを占めていたことも印象的だ。


先生のサインも置いてある


 本堂にはお目当ての御朱印帳のほかにも、デザイン性に富んだものがたくさん陳列されていた。お目当ての御朱印帳は、3,500円とやや高めであったが、明石は迷う素振りも見せずレジに運んでいった。


 でもたしかに、3,500円出してもいいくらい魅力的なデザインではある。「東雲なの」似の子が竹ぼうきを手に、本堂の前に立ち、そのまわりにはぐっすり眠る動物たちが描かれている。


 あらゐけいいちワールドに仕上がったほのぼのデザインは、厳かなものが多い御朱印帳業界に風穴を開けているように思った。ちなみに、数量限定販売とのこと。


 運よく在庫があるのもなにかの縁と捉えて、自分も御朱印集めに乗り出そうか悩んだが、これまで逃してきた魚を思うと、そんな考えは風に吹かれて一瞬で飛んでいった。



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