毎日超短話369「空色のリボン」 #恋祭り
八百屋なんじゃないかと思うほど、その花屋の呼び込みは威勢がいい。らっしゃい、らっしゃい、お花はいかが! 思わず立ち止まってしまって、呼び止められる。
「おにいちゃん、失恋かい? 失恋には花がいいよ! どれでも持っていきな!」
どうして失恋だとわかったんだろうかと聞いてみると、適当に言っただけだよ、らっしゃい! と店員は答えた。花屋のポスターには、《その恋が終わった記念に花束を》と書いてある。
誰かにあげる花束はない。でも、自分にあげよう、恋が終わった記念に。適当に見繕った花束は、空色のリボンが結ばれている。
まいどあり!
歩き出してふと振り返ると、空色のリボンが解けていて、ぼくに手を振っていた。
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