『アートプレイスとパブリック・リレーションズ』学会賞ダブル受賞記念インタビュー
こんにちは、有斐閣書籍編集第二部です。
『アートプレイスとパブリック・リレーションズ――芸術支援から何を得るのか』により、著者の川北眞紀子先生、薗部靖史先生が、第18回(2023年度)日本広報学会賞(優秀研究奨励賞)と2023年日本広告学会賞(学術著書部門学会賞)を受賞しました。
今回はこれを記念して著者へのインタビューの模様をお届けします。
受賞を振り返って
———『アートプレイスとパブリック・リレーションズ(以下、APPRと表記)』の学会賞ダブル受賞、おめでとうございます。まずはご感想をうかがえますか。
薗部 そうですね、率直に申し上げて大変嬉しい気持ちです。直近にいただいた日本広告学会の授賞式では、学会長の石崎徹先生に声をかけていただいてお話を伺いました。どうやら応募者の数に関係なく「該当なし」が続いていたらしいんです。なので、今年は出てよかったですね、みたいなことも仰っていました。それに、審査員の先生方が本当にすごい方々で……
川北 薗部さんの話しぶりで、興奮が伝わるでしょう?(笑)
薗部 一人で空回りしているかもしれません(笑)。でも、本当にそうした先生方だったんです。私が学生の頃に授業を取っていた先生もおられて。ものすごく感慨深いです。個人的なことなんですけど、率直に嬉しいという気持ちが、まずはあります。
———ありがとうございます。私も嬉しくなりました。受賞にあたり、ここを評価されたとか、なにか具体的な実感はありましたか?
薗部 日本広告学会の授賞式は懇親会場で行われたんですけど、日本広報学会の学会賞の審査をしてくださった先生から、「あれだけの企業について時間をかけて調べ上げたのは本当にすごいと思った」と声をかけていただきました。いつもの悪い癖で「賞をいただきましたけど、まあそんなに評価していただけるとは……」とついネガティブなことが口を突いたのですが、即座に「いや、そんなことはない」って仰ってくださって。おかげでようやく実感をもつことができました。
川北 ちゃんと読んでくださったのが、まずは嬉しいですよね。
薗部 そうですね。日本広告学会で審査をしてくださった先生方からも「おもしろかった」と声をかけていただきました。まだご覧いただいていない方々からはお祝いの言葉や、「さっきAmazonでポチっておいた(注文した)」というありがたいお言葉もいただきました(笑)
———嬉しいですね。すばらしいことです。
薗部 日本広告学会には、定量調査に精通している先生方がたくさんいらっしゃいます。そうした先生方から、本書の定性的なアプローチを評価していただいたことが何よりも嬉しかったです。あくまでも憶測にすぎませんが、今回の研究では定量分析による実証が非常に困難、もっとはっきり言えば不可能だと考えていて、それが伝わったんだなと思いました。この本には数十年から100年続くような長期的な芸術支援を行っているケースで、組織間関係が生まれてきた過程を追ったものも入ってます。そうしたことについて数値的に捉えることはできないんです。だから、今回高評を頂けたのは、関係者へのインタビューという調査手法が適切だったと認めてくださったと思い、嬉しい気持ちになったのです。
APPRはどういう本?
———定性研究にしかできない持ち味を活かして探究なさった、と。
川北 私なりにいうと、誰もやっていないことをとりあえず、ちょっと不十分だけど、提示してみた、というところじゃないかな、と思います。誰もパブリック・リレーションズとして、芸術支援のことを見ていなかったんですね。もちろん社会貢献としては見ているけれども、パブリック・リレーションズの場としては見てないし、広告研究者もメディアとしてはあまり見ていない。芸術ではなくスポーツの分野では、スポンサーシップの場をメディアとして見ているはずです。たとえば、ユニフォームにロゴを入れることとかもできますから。だけど芸術って、たとえばあのダンサーの衣装にロゴを入れる、というのはできないわけですよ。そういう意味で、芸術支援の場をあまりメディアとしては考えてこなかったと思うんですよね。
そんなわかりにくさもあって、スポーツと比べて芸術のほうが企業の広告部門から支援を受けにくかったんじゃないかなと思うんです。で、そこに、「いやいや、実は一緒だよね」って言ってみました。つまり、スポーツだってアートだって、スポンサーシップで考えたら、広告やメディアとしてもみられるよね、と。ただ学際的な対象というだけじゃなくて、あるいは、PR(パブリック・リレーションズ)の場として、リレーション構築の方法としてみられるよね、とか。この新しい視座をつなくことができたっていうところはうまくいったのかな、とは思うんだけれども。
———たしかに学際的な面もありつつ、着眼点はやはり広報・PR研究の専門家のお二人ならではのお仕事だった、と思います。
川北 ただ、やっぱりインタビューをどうやってまとめ上げていくかとか、ロジカルにまとめ上げていくところは、実際のことをいうと、とりあえず手当たり次第にインタビューをしていましたね。もちろん、そこで手当たり次第やったおかげで、そういうことが見えてきたわけで、つまり探索的にインタビューしたから結果的に「あ、これってこういうことなんじゃないかな」ってわかったので、それはすごくよかった。
でも、もっと厳密にいえば、インタビューについてどうやって分析したとか、方法論的な蓄積はまだまだ足りなくて。海外にこれをどうやって持っていこうとか、そこがいま悩みなんですけれども。やっぱり方法論としての不十分さは、自分たちでも感じています。
複数の視点からみることの重要性
薗部 川北先生が今おっしゃったように、私は広告とかメディア研究の観点からそうした「場」について考えています。今までの発想だと、企業が何かのスポンサーをするにあたって、広告が一番自分たちの製品を伝えやすいし、一人当たりのコストで見れば安い。その次にスポーツですね。自社のロゴを出せたり、企業のプレゼンスを高めたりできます。それで、芸術が一番後回しになるというか、そういうイメージがあったと思うんですね。「バブルの頃はまあお金があったからできたけど、今はね」って、そういう捉えられ方をしていたと思うんです。
ただ、いま川北先生がおっしゃったようにリレーションズ……企業間関係とか、組織間関係とか、ステークホルダーとの関係っていう点で捉えると、おそらく芸術支援には可能性がある。広告だと、たとえば消費者にどう伝えるかという発想に終始して、私自身もそうだったんですけど、効果測定をするわけです。ある刺激を与えると、消費者がどういうふうに反応して、モノを買ってもらえるのか……っていうロジックを前提にしてずっと研究してきたんです。もちろん、今でもそれが主流であることは間違いありません。
それが、今回の調査結果からは「いいえ、むしろアートプレイスでは、スポンサーシップをして仲間を作ることができるんです」っていう突飛な話ができた。企業間でつながりができて、そこからビジネスが生まれることもある……って。こうした発想の新しかったところが、評価されたと思っています。
———学界や分野をまたいで、別の文脈からみて、新しさを見つけられた。
薗部 まったく違う見方がそこにあったわけです。それは正直、私たちも予期してなかった。いや、川北先生は、もしかしたら最初から関係構築の重要性をおっしゃっていたんで、見えていたのかもしれないけれども、少なくとも私にはそういう発想がなかったんですよ。だから本当に驚きましたし、「これは何としても伝えなければ」っていう使命感に駆られました。
こうしたパブリック・リレーションズの観点は、スポーツとかのスポンサーシップもそうですし、なんなら広告、そのテレビとか大体の広告でも入る余地があるだろうなと思うようになってきました。近年でいうと、たとえばB to B 広告が目立ってきていて、特にテレビの話ですけど。それって高い関心を持って見てくれる人は限られるし、マスで広告を出すことはもしかしたら無駄が多いんじゃないかと思えるんですよ。通常考えると。
———たしかに、そうだと思います。
薗部 そう、何だか効率が悪いように見えるんです。それなのに、どうして出稿量が減らないのかというと、おそらくそこでの関係構築に使えるからだと思うんです。たとえば、広告を出すことによって社会的なプレゼンスが上がるとか、テレビ局と関係を持てばスポンサーシップ、つまりスポンサー同士で関係ができやすいとか。でも、これまでそうした発想があまりなかった、注目される機会がなかったなって思ったんですね。もしかしたら、私たちが本書で伝えたかった芸術支援による関係構築の話は、一般的なマスメディアにも当てはまるんじゃないかな、と。あくまで考え中の段階で、まだ確証は得ていないんですけど。
APPRの面白さ① スポンサーシップと関係構築
薗部 だから、そうした議論を私のこれまでやってきたことにも「逆方向の援用」ができるんじゃないかな、と。
川北 ちょっとごめん、今の話、わかってない。
薗部 つまり、ある企業がテレビ局にお金を出すとします。そうすると、テレビ局と関係ができるし、スポンサー同士でもつながることもある。そうすると構図としては、アードプレイスへの出資と似た話が出てくるんじゃないかって思って。
川北 テレビ局がアートプレイスの代わりになっている、みたいな感じね。
薗部 そうです。
川北 それはそうだよね。
薗部 一緒なんです。アートプレイスで考えていた空間(メディア)的な議論を、いわゆるマスメディアに適用しても、同じように議論できるんじゃないかって。そうした方向へ展開していくことも可能だと思ったんですよ。
川北 なるほどね。
薗部 もちろん大半は消費者向けの広告なんですけど、B to B広告がたしかに目立ってきているんですよ。企業向けの広告で、芸能人を起用して会社名を言ってもらうとか。データで確認したわけではありませんが、かつて夜のニュースの時間などに集中していたものが、流れる時間帯の幅が広がっている印象を受けます 。こうした広告をマスメディアに出資することで、まだ推測の域を出ていないのですが、企業同士の関係が作られてきたんじゃないかって。
———たしかに、広告を出す企業が横のつながりをつくったり、強めたりする機能が、じつはB to B広告を出す背景にもあるのだとすれば、おもしろい論点になりそうですね。
川北 まあ、でもたとえば銀行も、昔から地域企業の経営者同士をつなげる役割とか、やっぱりあったよね。
薗部 そうしたお金の部分は、企業の根幹に関わる話じゃないですか。そこまで話が発展するかもしれない内容であるはずが、今まで研究としてあまり目を向けられてこなかったんですよね。おそらく世界的に見ても少ないと思います。
APPRの面白さ② キー概念としての「メディア」
薗部 話をすこし戻しますけど、アートプレイスのポジティブな点として、「(他のステークホルダーとの)関係が作れるんだったら、じゃあ出資しよう」という企業があってもおかしくないなっていう話です。
———いまの話題は「探索型」で進められた成果を一冊にまとめて、やっと辿り着いた先のお話として、ある種のAPPRの「応用編」じゃありませんけども、とてもおもしろいですね。
川北 私もいまの話は初めて聞きました。
薗部 長いことずっと同じことを考えていると、違うと思っていたもの同士に共通点があるとか、構造が同じだったとか、気がつくことがあるんです。じつはこの本を出した後に発表した論文で、アートプレイスを「(空間)メディア」と位置づけています。
あの本にあるそれぞれのケースに書かれている内容は、アートプレイスがメディアであることを物語っているんですよ。メディアって言葉で当てはめて読んでもしっくりきますし。そうすると、じゃあそれを、一般のマスメディアっていえば電波や文字であって、アートプレイスのような空間と形態は違うけど、本質的な構造は同じなのかなっていうところまでは、今の見立てとしてあります。
APPRの面白さ③ 「場」とスポンサーシップ
薗部 応用といえば、メディアに関する議論は少し学術寄りの話かもしれないんですけれども。実務の方には、場とかコミュニケーション・プラットフォームという考え方に置き換えていただくと、理解や応用がしやすくなるかもしれません。たとえば「テレビ離れ」など、マスメディアへの接触時間が減っていると言われています。ですが、スポンサーを集める点で考えれば、いっそのことそうしたメディアを「場」と捉えなおしてしまえばいいんです。スポンサー企業同士が集まる場を作るという発想に切り変えて、そこにあるネットワーク外部性(製品やサービスの利用者数の増加とともにその価値が高まる現象)を利用してスポンサーを増やしていけば、おのずとさらに新しいスポンサー企業を惹きつけると思うんです。
そのためには、そうした場や提供するコンテンツを魅力的にすることが重要になってきます。そうした方向への舵取りも可能なのかなと思いました。もちろん多くのスポンサーにとって、消費者への訴求は今でも非常に重要な目的であることは間違いありません。ですが、こうした別の評価軸があるとすれば、マスメディアは必ずしも視聴率にこだわらず、より質を重視した番組を作ってスポンサーに入ってもらうことだってありえると思うんです。
———なるほど。
薗部 だって芸術のことを振り返ってみても、見に行く人の実数でいえばテレビに比べればはるかに少ないです。それなのに、企業の経営者が「私の一枚」っていうのを美術館で言いたくなるのは(APPR, p.145参照)、やっぱりそこが非常に高い評価を受けている場だからなんです。そうすれば、来客者数はある程度必要だとしても、テレビ視聴率のようにとにかく数字を求めるということではないのかもしれないと思います。その点でいえば、アートプレイスの価値を来た人数で測っているのは、ちょっと違うかもしれなくて。場として魅力的だったら、いいじゃないかっていう発想もあって。
———芸術支援は、必ずしも企業にとって直接的な利益とか、目先の利潤を増やすことにはならないんだけれども、やるわけですよね。だから、そこで「なぜ?」という問いになる。
薗部 実は利潤にも結びついていて、企業間でつながればビジネスがそこで生まれるわけですよね。ここもおもしろいんですよ。私もたしかに最初は、今おっしゃったように利益につながらないのになんで企業がやるのかって、長年モヤモヤしてきたんです。でも、色々と事例を調べていくと結構つながっていることもある。必ずしもすべてのケースでそこまで見えていないかもしれないですけど、ただ、そういう場もあったのは大きな発見でしたね。
———広い意味では利益につながっているってことですよね。
薗部 そうですね。新しいステークホルダーとつながることで、関係ができるわけですから。何もないところよりも、何らかの形で関係ができた企業同士のほうが「一緒に商売をしませんか」となりやすい。そういう部分が大きいのかなって思いますね。
川北 どうしても「企業が利益を出すために」と支援されると、うさんくさい。そうではなくて、社会によいことのひとつとして芸術を支援することで、関係者を巻き込めることが良いのです。いろんなところに、いつの間にか企業の味方ができてくるのです。
薗部 そうですね。まず先に仲良くなる。仲良くなると、取引をしたくなるっていう順序ですね。これを最初から取引の方に頭を置いてしまうと、下心が伝わってしまい、かえって関係を作ることが難しくなる。
APPRの面白さ④ コミュニティのつくりかた
川北 実は今やろうとしてる研究がそのあたりがテーマです。地域貢献をしている企業って、結構あるんですよね。小さいけど、地域のためにいろんなことをやっている会社がある。別に、その人たちはそこからお客さんを作ろうと思ってやっているわけじゃないんだけど、いいこといっぱいやっているうちに、そのうち周りの人が寄ってくる。だから、企業が本当に差別化をしたかったら、地域貢献、社会貢献、あるいは従業員にすごく優しくするとか、地域のためになるとか、そういうことが重要になる。コミュニティリレーションズが、会社を強くするっていうような文脈で研究をやりたい。お互いにソロ活動をやろうと言っているところです。最近一緒に研究しているから。薗部さんはスポーツのほうに興味ありますよね。
———そうなんですか!?
薗部 いまB.LEAGUE(Bリーグ)を取材しているんですけど、やはり構造がアートプレイスと一緒なんですよ。
川北 そのうえで、どこが違うとかね、話はできるし。
———そうですね。比較研究されたらおもしろそうです。そういえば、APPRの刊行直後ぐらいにもそういう話をなさっていましたね。
薗部 私は「たくさんいればいるほどいい」っていうのが引っかかっていたんですよ。広告の観点でいえば、スポンサーが多ければ多いほど、観客に対する訴求力は落ちるんですね。
———うんうんうん。
薗部 スポーツチームのスポンサーって、毎年200社、場合によっては1試合分のスポンサーなどを含めると、数百社以上になることもあるそうなんですよ。正直、いったい何をしてるんだろうと思っていたんです。小口でもいいからって言うけど、それでスポンサーが増えれば、各ブランドの訴求力が落ちちゃうじゃないかと。そしたら「ああ、違うんだ。そこのコミュニティに加入する権利が手に入るんだ。それって、企業にとってより重要なことなんじゃないか」っていうことに気がついて。アートプレイスと同じじゃないかと。実際にB. LEAGUEのチームで実践しているところがあるんですよね。こうした他方面に展開できるところが本書の面白さです。
川北 それって、本当は芸術の世界がもっと学ばなきゃいけないことです。やっているようで意外とやってなくて。
薗部 (芸術のほうが)進んでいる可能性もありますけどね。
川北 そう、だからもう、そのアーティストとスポンサーとその自治体の首長とかがこうコンサートの度に全員集まってね、みんなでお茶を一杯飲んでから聴くといったことをすればよい。そこに同じ興味関心がある人たちが集まるって、やっぱり全然仲良くなり方が違うでしょう。それが定期的に行われるとコミュニティにもなる。コミュニティ形成の要因としては、定期的に集まること、同じ興味関心があることっていうのはすごく大事だと言われているのです。
薗部 おそらくそうした場で挨拶や何らかのコミュニケーションは生まれますよね。そこから、関係ができたり強化されたりもして。そうして「場」の価値が上がっていくんです。
川北 下心なく最初はつながっていくから、味方とか仲間の感じがするんですよね。社長には、下心があって近寄ってくる人が、多くいそうですけど、そうじゃないのがいい。
薗部 ネットワークって、数が多いほど価値が高まるんですね。観客に訴求するという観点でいうと、スポンサー企業が増えれば増えるほど訴求力は落ちるんですよ。だけど、参加する企業が多ければ多いほど取引相手が増えるので、むしろ場の価値は上がるんですよ。理にかなってるんです。
川北 あの、でもこれ全然本の話になっていないよね?
薗部 本の話ですよ。
川北 本の先の先の話になっちゃっていない?
薗部 だって、それこそ(第7章で取り上げた)トヨタ・コミュニティ・コンサートは、40年以上かけて日本全国に輪を広げてったわけです。一つの県に複数のディーラーがあって、普段各社はライバル関係にもなりえるわけです。だけど、ディーラーだけではなく、演奏者や地元自治体・鑑賞者が協力しあうことで、ステークホルダーの垣根を越えた強固なコミュニティを作っていました。(第8章の)大原美術館もそうです。それこそスポンサー企業は100社くらいあったと思うんですけど、やっぱり一堂に会する場を設けているとおっしゃっていました。だから、直接尋ねたわけではありませんが、そういう「場」の価値に気がついている企業はあると考えています。
―――ありがとうございます。本書の読み方や面白さについて、議論を敷衍しながらご紹介いただけたと思います。
最後に、あたらめて、本書を読んでほしい、これから手に取ってほしい方々へメッセージをいただけますか。
川北 文化施設の担当者、自治体の方々、アート組織のマネジメント層、各方面のアーティスト、こうした方々がどのように「場」をつくっていけばよいのかという点で、本書で取り上げた事例は、非常に示唆に富む内容になっていると思います。さらに、広告や広報、マーケティング関係の方々など、企業や組織が周囲にいかにして受け入れられるかに関心がある方々には、ぜひ読んでいただきたいと思っています。
薗部 ビジネスにおける関係づくりを始めるきっかけが作れるという点では、規模を問わず企業経営者や起業家のみなさんにもぜひともお薦めしたいです。
―――これから芸術支援に携わりたいという企業の方はもちろん、スポーツや別の分野でのPRやスポンサーシップに関心がある方にも、ぜひ手に取っていただきたいと今回お話をうかがいながら、あらためて思いました。アートの世界を少し離れた目線から考えてみたいという方にもオススメできそうですね。本日はありがとうございました。
(2023年12月のインタビューを元に構成・加筆)