有斐閣書籍編集第2部

老舗の学術出版社で「法律書以外」の分野を担当する書籍編集部です。

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マガジン

  • 有斐閣の編集者が新入生におすすめする本(随時更新)

    新入生の方を中心に、各分野でまず手に取りたい本を紹介しています。

  • 2020年代の社会運動論(座談会連載)

    2020年に刊行された『社会運動の現在』『問いからはじめる社会運動論』『ロビイングの政治社会学』の著者による座談会連載をまとめました。

最近の記事

『職場がうまくいかないときの心理学100』座談会④

本記事は、2024年2月に開催した著者による座談会の文字起こしです。 前回:座談会③ (初回:座談会①) 最近の研究上の興味・関心――ここからは本書に載っていないこととして、本書に関連して先生方が最近お考えになっていることなども伺えればと思います。 渡辺 本が出てから読者から言われたことが2つあります。  1つ目は、「私が職場で一番困っていることは、定時が過ぎて、上司から『もう帰っていいよ~』って言われるんだけれども、上司の顔色を見ると、本当に帰っていいのかわからない」と

    • 『職場がうまくいかないときの心理学100』座談会③

      本記事は、2024年に開催した著者による座談会の文字起こしです。 前回:座談会② (初回:座談会①) 執筆で心がけたこと――執筆時の思い出なども伺えればと思います。 渡辺 私は1つのトピックの分量が多くなってしまって、編集部からスリム化を何度も頼まれたのが印象に残っています(笑)。本ですから文字数が決まってるというなかで、わかりやすく、皆さんにご興味を持っていただけるようなことを伝えるということが大事です。けれども研究者としては、学術的なエビデンス、あるいはここまでは言え

      • 『職場がうまくいかないときの心理学100』座談会②

        本記事は、2024年に開催した著者による座談会の文字起こしです。 前回:座談会① 本書の「使い方」――本書冒頭のワークシートも目を引きますね。 芦高 経緯としては、100項目が出揃ってから、このワークシートを思いつきました。たくさんの素晴らしい内容が揃っていたので、もう読めば読むほど、頭からところてんのように抜けていくような感じで、このまま読んでいたら多分何も残らないのだろう、読み終わってもどうしたらいいんだっていうふうにまた止まってしまうのだろうと感じられたので。読者が

        • 『職場がうまくいかないときの心理学100』座談会①

          2023年12月発売の『職場がうまくいかないときの心理学100』の刊行を記念して、著者による座談会を開催しました(収録は2024年2月)。 「○○学」といった教科書の出版社というイメージを持たれる有斐閣が、そういった枠から抜け出して、もっと現場の人々に届けよう、現場に寄り添う学問の姿を示そうという思いから始動したのが本企画。 そうした「変わり種」企画を編集部から提案された当初の思い出や、完成に至るまでの経緯をざっくばらんに語っていただきました。 登壇者(=著者) 芦高

        マガジン

        • 有斐閣の編集者が新入生におすすめする本(随時更新)
          14本
        • 2020年代の社会運動論(座談会連載)
          13本

        記事

          電気通信普及財団賞(テレコム人文学・社会科学賞)受賞記念:『「政治の話」とデモクラシー――規範的効果の実証分析』著者インタビュー

          人々の間で日々行われる「政治の話」は、人々の政治態度や政治行動にどのような影響を与え、またそれは民主主義を機能させるうえでいかなる効果を持つのか。これらの問いを、世論調査データを用いた統計分析や、サーベイ実験によって明らかにした『「政治の話」とデモクラシー――規範的効果の実証分析』が、第39回電気通信普及財団賞(テレコム人文学・社会科学賞)を受賞しました。主権者教育や民主主義のあり方に関して1つの方向性を示すものとして評価されました。受賞を記念して、著者の横山智哉先生にインタ

          電気通信普及財団賞(テレコム人文学・社会科学賞)受賞記念:『「政治の話」とデモクラシー――規範的効果の実証分析』著者インタビュー

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す⑥

          (①はこちら、②はこちら、③はこちら、④はこちら、⑤はこちら) 史料の読み方が変わる金井 最後にお二人の研究の中で『フェミニスト経済学』を読んでのご自身への研究の展開や発展可能性についてお伺いできればと思います。 満薗 歴史学は史料が先にある学問なので、史料をどう読むかが大事ですね。その史料をどう読むかというときに今回のテキストは、私たちが無自覚に持っているジェンダーバイアスだったり、いろいろな社会規範を相対化しようという姿勢がすごくはっきりしているので、これを読むと史料

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す⑥

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す⑤

          (①はこちら、②はこちら、③はこちら、④はこちら) フェミニズムと親和的な経済学金井 岡野さんからはいかがですか。 岡野 私は経済の専門的な質問はできないんですが、自分が今まで関心を持ってフェミニスト経済学の勉強をさせていただいていて、一方でケアの勉強をしながら、政治学的には私がふとそうだよねと思ったのは、政治思想史的に私が研究しているケアの倫理が一番対決しないといけない相手はリベラルな正義論なんですよね。ロールズの正義といってもいい、配分的正義です。ざっくりですけれど。

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す⑤

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す④

          (①はこちら、②はこちら、③はこちら) プロヴィジョニングの効率性?金井 ありがとうございます。もし岡野さん、満薗さんから、今の私たちからの説明だけでなく、テキスト全体でもいいので、何か質問やコメントがあればお願いします。 満薗 本書を読んでいて、一番全体の基底にある概念がプロヴィジョニングという概念だと理解して、だから経済学なんだということがよくわかったんです。よくわかったんですけれど、一方で読み進めるなかでプロヴィジョニング概念そのものはちょっと抽象的だなと思って、つ

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す④

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す③

          (①はこちら、②はこちら) フェミニスト経済学とは何か金井 わかりました。お二人のお話から、『フェミニスト経済学』に期待をしてくださったことがわかり、とても嬉しいです。ここで、『フェミニスト経済学』にどのようなことを書いたのかを簡単に私たちから説明をさせていただきます。 フェミニスト経済学は、フェミニズムの視点から経済学を捉える学問で、女性に限らず、男性、子ども、高齢者などの万人を差別や抑圧から解放し、一人ひとりの権利を保障することで、万人のウェルビーイングの向上を目指す

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す③

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す②

          (①はこちら) 金井 ありがとうございます。今のお話でもいろいろ質問したいことが出てきたのですが、あまりここで時間を取ると次にいけなくなるので、進めて行きたいと思います。お二人ともフェミニスト経済学に期待してくださっているということだったんですが、岡野さんは政治思想を研究されてきた中で、なぜフェミニスト経済学に注目されるようになったのでしょうか。 政治学が前提としてきた主体岡野 ケアの倫理をマルフェミ(マルクス主義フェミニズム)の論争、家父長制か資本制か等々の論争に位置づ

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す②

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す①

          2023年10月に弊社から発売された長田華子・金井郁・古沢希代子編『フェミニスト経済学――経済社会をジェンダーでとらえる』の刊行を記念して、2023年10月13日に座談会を開催しました。その模様をお伝えします。②以降は弊社PR誌『書斎の窓』でもお読みになれます。 〈座談会参加者〉 長田華子(茨城大学准教授)・金井郁(埼玉大学教授)・古沢希代子(東京女子大学教授)×岡野八代(同志社大学教授)・満薗勇(北海道大学准教授) 異分野の研究領域とフェミニスト経済学金井 はじめに、こ

          『フェミニスト経済学』から政治・経済・歴史を捉え直す①

          『アートプレイスとパブリック・リレーションズ』学会賞ダブル受賞記念インタビュー

          こんにちは、有斐閣書籍編集第二部です。   『アートプレイスとパブリック・リレーションズ――芸術支援から何を得るのか』により、著者の川北眞紀子先生、薗部靖史先生が、第18回(2023年度)日本広報学会賞(優秀研究奨励賞)と2023年日本広告学会賞(学術著書部門学会賞)を受賞しました。  今回はこれを記念して著者へのインタビューの模様をお届けします。 受賞を振り返って———『アートプレイスとパブリック・リレーションズ(以下、APPRと表記)』の学会賞ダブル受賞、おめでとうござ

          『アートプレイスとパブリック・リレーションズ』学会賞ダブル受賞記念インタビュー

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」④

          (①はこちら、②はこちら、③はこちら) なぜ、研究をするのか?四竈 最後に、私の方からもう一つ質問をしてもよいでしょうか。今回取り上げた2冊の主要なところは、ご家族に話を聞くというスタイルの調査がベースになっていますよね。研究者以外でもオーラルヒストリーに興味を持つ方はおられると思うんですが、たとえば私も自分の伯父に話を聞いて録音したことがあって、それってオーラルヒストリーとして分析できるのかなって思ったりしたことがあるんです。そのとき、どんな手順とか、何を参考にしたらオー

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」④

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」③

          (①はこちら、②はこちら) 生活史の読み方について四竈 この話、私の個人的な引っかかりかもしれないんですが、ちょっとお伺いしたいことがあって。『家(チベ)の歴史を書く』について、さっき、何度も感動したし、笑えるし、っていうふうに申し上げたんですけどね。たとえば文庫版の98ページで延奎(よんぎゅ)伯父さんに、「最後にもう一度人生をやり直せるなら何になりたいか」と聞く。すると伯父さんのほうが「やっぱりね、教育者になりたい。今度は、もう、そんな偉くなくていいから」って、なんとなく

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」③

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」②

          (①はこちら) 『家(チベ)の歴史を書く』とのつながり四竈 ここから前著の『家(チベ)の歴史を書く』(ちくま文庫)の話をしたいと思います。 朴沙羅さんは社会学者であり、歴史研究をされていて、その立場から本を書かれています。『家(チベ)』は、ご自身の家族の話ですよね。1人1章分ずつ、こってり話を聞いていって、最後にその話の中に出てくる済州島に、答え合わせじゃないですけれども、確かめに行くっていうような章で幕を閉じている。非常におもしろい本だし、読んでいくうちに、何回も感動し

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」②

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」①

          本連載は、2023年4月26日にジュンク堂書店池袋本店の主催で行なわれた、著者による刊行イベント「オーラルヒストリーの入口で」の内容を元に構成し、加筆しています(聞き手は編集部・四竈佑介)。抜粋版は有斐閣のPR誌『書斎の窓』でもご覧いただけます。 執筆の動機四竈 三月に『記憶を語る、歴史を書く』が刊行されました。執筆された動機から聞かせてください。 朴沙羅 そもそもは、オーラルヒストリーの方法論って、たくさんあるように見えて、いざ読んでいくとあんまりないなって思ったんです

          『記憶を語る,歴史を書く』刊行記念:「オーラルヒストリーの入口で」①