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「差別訴訟係争中のセールスフォース人事本部長が障害者雇用イベント登壇」コメントが寄せられています

先日、ダイバーシティインクルージョンがテーマのイベントに、差別訴訟が係争中の企業の人事本部長が障害者などの雇用をテーマにした「SAMURAI 125」トークセッションに登壇したという記事を出しました。このタイミングでの登壇は引っかかります。

リンクトインではこの投稿に、今日までに2800件を超えるインプレッション数があり、数々のコメントがありました。「言行不一致」「SDGsウォッシュ」「イベントがブラックユーモア」という反応も。

言行不一致なんですね。。。
こういうお話をお聞きすると、日本のSDGSは中身がないまま進められていることを強く感じます。
SDGSウォッシュだらけになりますね。。。

リンクトインコメント欄より

でしょうね…誰かが警鐘を鳴らさないとSDGsは本当におかしくなる。

以下は、発達障害当事者からのコメントです。

(筆者注・人事本部長の発言は)難しい専門用語ばかりが目立ちますが、簡単な事(隠蔽体質、発達障がい者声の無視)をできないことが、難しい問題も解決できるはずもないです。基礎から学んだ方が良いと思います。

リンクトインコメント欄より

難しいことを学んできた、立派な経歴の人がなぜ…。

トップの方は、当然お立場を加味し抽象的に話すスキルが求められています。
これは、実際に問題が起こっていても、当事者/当該懸案事項には触れずに、会社としての立場を強調・誠意を見せるというのが基本姿勢であることが前提にあるからだと思いますが・・・。

実際に問題が起こっているのであれば、そのことについて言及して欲しいと一般の方は感じる、はがゆいところだと思います。
また、多面から情報を収集されている方は少ないので、良い印象を与えたもの勝ちという風習はリアルでもSNSでも強いですね。
(そして資金を用いそのように実行できるのが企業の強みでもあります。)

一般人の個々の声、経験がより尊重される時代が来ることを願います。

リンクトインコメント欄より

ですね…。情報の非対称性にのっかって「良い印象を与えたもの勝ち」というのがありますね…。SNSが登場し誰もが情報発信できるようになったいま、資金力を背景に立派な広告で印象操作というのが通用しにくくなったはずですが…。

SDGsがおかしくみえるのは、広告やイベントのようなムード先行のブランディングが盛り上がるところからだといえます。

だけど、ひとつの企業や団体の取り組みにしても、もっと多方面からみていくと、全く異なる側面がみえてくることがあります。

受け手との情報の非対称性にのっかって、資金力を背景に「良い印象を与えたもの勝ち」がまかり通るいま。情報の非対称性には「相手側が何を隠しているか、受け手側が知らない」という場合もあります。

ダイバーシティやサステナビリティなどSDGs的なものについて、日本企業はどちらかといえば、「まださほど大した取り組みはしていないのに、過剰なPRは気が引ける」ということが多かったです。それが意図しないところで「情報開示不十分」とみられることもありました。そうしたなか、人的資本開示が上場企業に義務付けられるようになりました。

人的資本開示は欧米が先行しています。欧米企業をみていると、ダイバーシティやサステナビリティに取り組んでいるように見せるブランディングが非常にうまい。日本企業のような「気が引ける」という感覚の真逆を行っています。だけど従業員、環境・人権団体、ジャーナリスト、投資家から「ウォッシュがひどい」という声が起きる、それが度々ニュースになります。欧米企業でも、日本法人やアジアでの取り組みは…、ということもあります。

海外ニュースで、グローバル企業の株主総会の会場前で環境団体や人権団体がデモ活動を行っているのを時々みかけます。問題を周知させるホイッスルブローワーとしての役割をしているといえます。そこから一般人からも疑問の声が広がることは多くありました。日本ではこうした行動は「怖い」「過激」とみられタブー視されがちです。

一方で、グローバル企業が、これらを無視できなくなり、環境や人権への取り組みを改善した歴史もあります。ここで、正そうとする人・企業とそうでない人・企業の差は確実に現れます。

そのようなイベントに、そのような企業のトップが登壇して話しても、法律には触れません。

しかし、そのような企業のトップと、参加者・運営者・他の登壇者との間には、情報の非対称性、情報量に格差があります。参加者・運営者・他の登壇者は、ひとりの登壇者の企業で起きている問題をほとんど知らない、知りえない状態にあります。

係争中であるので、仮に質問しても答えてもらえないでしょうし。

リンクトインコメント欄より

ですよね…。実際に私はYoutubeのチャット欄に質問を書き込みました。どのアカウントからも反応はありませんでしたが。
これでは企業の人事本部長が「ハラスメントを隠ぺいし、日本で最も障害者やマイノリティに寛容な職場づくりをやっているようにPRしている」ように見えてしまう、というのが問題です。

そして「PRは上手いが実態は…(そもそも具体的な情報開示がされていない)」という企業に限って大々的に称賛されるという現象が起きることになります。

以下は、障害当事者や雇用企業向けに支援されている方のコメントです。

講演内容だけは耳触りの良い内容だと思います。しかし、今抱えている問題を蔑ろにして良く出て来たなというのが感想です。
一番の問題に対して、誠意とスピードを持って向き合わなければならないのではないかと思います。本当に会社として大丈夫かなと思います。
今の世の中情報が直ぐに拡散されます。
ネガティブな情報が先に出ているのに対応が出来ないのは社会的信用を失う非常に重要な問題だと思うんですかねぇ。

フェイスブックコメント欄より

実際に関わってみないと分からないですが、企業として取り組みを新たにしようとされているのであれば、過去になにかあってもそこは支援したいと思いますが、この場合はどうなんでしょうかね…?
(中略)言うことだけ立派であれば、支援が中途半端でも"優良"に見えるんだなと思います。(中略)もちろん、きちんとされてる企業もありますが。

リンクトインコメント欄より

私はかつて、厚労省に障害者雇用義務違反で公表されてしまったある企業の雇用支援に携わった人から話を聞いたことがあります。その企業も採用しては退職が続き、厳しい状況になり、公表に至ってしまった。その後、就労支援会社と連携して採用を進め、なんとか雇用率達成したということですが。

そのような企業であっても2.3%雇用し続けられるようにしないといけない現実があり、支援者も支援対象にする。しかし時に、複雑な気持ちになることもお察しします。

企業がダイバーシティやサステナビリティについて本質を理解しているように発信する方法は非常に高度になっています。専門のジャーナリストや団体が、多面から情報を収集するようにしていかないと、なかなか警鐘を鳴らすというのは難しい。一人ひとりで調べられることには限界があるので、それぞれの立場で知見を共有しチェックすることですね。


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長谷川祐子(長谷ゆう)/ライター・翻訳者・ジャーナリスト/「ノルマル17歳。」神戸自主上映会企画中
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