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「オンライン時代」とかけて「芸術論」ととく。

今回は、新型コロナウイルス流行で拍車がかかった「オンライン化」について少し書こうと思ってます。
現在は、オンライン会議、オンライン面接、オンライン飲み会、オンライン営業など、
様々なものがオンライン上で行われていますね。

恐らく誰もが感じているとは思いますが、「なんか、実際に会ってコミュニケーションをするのと違って違和感あるなぁ」という思いって、少なからずあると思うんです。


でも、私は、とある本を読んでいるとき、「これと似たようなことってけっこう昔にも起こってるんじゃないか?」と思ったので、今回は過去と現在を対比しながら、考察していきます。

1.ヴァルター・ベンヤミン/複製技術時代の芸術作品 

結論から言うと、私は1935年にヴァルター・ベンヤミンが著した「複製技術時代の芸術作品」という本を見て、現在に通ずるところがあるなと思いました。
それは、「舞台」→「映画」への変遷の記述です。

内容を簡単にまとめると、
「技術の進歩で映画が生まれ、それにより、※アウラが消滅してしまった。」という感じです。
※ アウラ(Aura):「いま」「ここ」にのみ存在するもの。

(まあ、現実感や、人間らしい感情のようなニュアンスでいいとは思います)


2. ベンヤミンの指摘(具体化)

何を言っているのか具体化すると、

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図のように、舞台俳優→観客に演技を届ける。当たり前ですが、舞台俳優のナマの声は観客に直接届きます。


しかし、20世紀に映画が登場しました。
↓をご覧ください。

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当たり前といえば当たり前なのですが、俳優は撮影機材に向かって演じ、編集された後、それが作品として完成します。
そして、今度はまた別の機械を通して、私たちは映画を見ることができます。
もちろん、私たちは俳優のナマの声は聞くことはできません。

この舞台→映画へのシフトで何が変わったかを2つ観点で説明すると、

舞台俳優:これまでは観客に向かって、魂(アウラ)を直接訴えかけるような演技をする

これに対し、

映画俳優:収録の際はもちろん観客はおらず、撮影機材に向かって役を演じる

こういう構造の変化がおこっています。
ベンヤミンは、「この過程で真のアウラが消滅した」と指摘しているのは、何も俳優のやる気が無くなったからじゃなくて、技術が産んでしまった空虚さだと言っています。

まあ、当然と言えば当然で、もちろん俳優の熱意なんかには変わりはないと思いますが、対象が観客から撮影機材になればもちろん虚しさは出てくるだろうし、少なくとも役を演じる際の心の持ちようも変わってくるでしょう。

本の内容(一部)はこんな感じです。

3.現在との共通点

この話から何が言いたいかと言うと、
上記1.2で説明したことって、ここ最近のオンライン化で、至る所で起こっているんです。

つまり前述の話でいうと、今まで私たちは「舞台俳優」だったのに、「映画俳優」になってちょっと寂しいよねみたいな現象です。

たとえば、面接がオンラインになると、面接官に向かって直接思いを伝えきれないこともありますし、
オンライン飲み会で、「なんか実際にカンパイしてるのと違うなぁ」と思うこともあります。

(例)

画像3

最近で言うとこのような感じです。
見事に間に「技術」が媒体として入ることで、「空虚」が生まれています。

この原因は何かっていうと、
「伝える側」と「伝えられる側」の間にデバイスがあるからですよね?
当たり前ですが、オンラインコミュニケーションはPCやスマホを使います。
ってことは、パソコンってさっきの映画の話で言うと、「映画の撮影技術」と同じ立場を取りますよね。個人的には、ここに過去と現在に類似性を感じました。

4.これからのコミュニケーションの在り方

まあ、だからどうだってこともないんですけど、もちろん映画は徐々に大衆化していくわけで、少しずつ受け入れられていきます。
「まあ、映画ってそういうもんだから、しかも見てて楽しいからこれはこれでいい娯楽だし」
みたいな感じですね


じゃあ、オンライン会議も同じで、「まあ、オンラインのコミュニケーションってそんなもんだから」って割り切って受け入れていくしかないのかと言うと、私はそうは思いません。
この、言ってみれば「古い」問題が復活したのに対し、「新しい」技術がそれを解決してくれるんじゃないかな、なんて思ってます。

可能性の一つとしては、AR(拡張現実)がそれを解決してくれる日が来るんじゃないのかなと思ってます。
少し大雑把に言うと「リアルに話してるみたいな感じ」の実現です。


実際にもARという技術は存在しています。
じゃあ、なんで今すぐその技術を使わないのかっていうと、理由は大きく2つで、
①通信基盤(5Gの環境)などの整備が追いついていない
②導入コストが高い
この壁が大きいのかなと勝手に考えてます。
なのでこれが解決されるのも時間の問題でしょう。

ちょっと寂しいような最近の日々ですが、寂しいままでは終わらないだろうと、個人的な小さな希望を持っています。


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