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🍀なんなる37【インクルーシブ教育に連なる文脈で想像してみる歴史学習】ゆおの空想①

もっと勉強したい子もゆっくりな子も
同じ場所で共に学び暮らす
私は想像できるよ。
あなたは?

【序章】はこちら🍀

大内氏のイタリアボローニャ滞在記のレポート第4回で紹介された、ボローニャ大学で開催された「支援教師」養成講座。2日目の講座の課題は、学校での実際の活動を想定して活動計画を立てて発表するものであった。
そこで、私も受講生になったつもりで、想像力を働かせることにした。とりあえず【日本史A(明治〜現代)】の授業で空想してみた。

【想定する学校】

ここで想定するのは、とある高等学校の第一学年で、男女20名で3クラス編成されている。支援対象となっている生徒が各クラスに1名いる。その高等学校は、偏差値というようなもので生徒を測ることはしていない。地域に密接し地域に愛され地域に還元することを大切にする校風である。保健室があり養護教諭や看護師が常駐しているように、作業療法室がありOTが常駐している。

※ゆおの空想です。

◌1年A組のまひろさん(架空事例)

まひろさん

小学3年生程度の漢字の読み書きができる。難しい漢字には手本を見ながら書くことにチャレンジしたり、ルビを振ることで読んだりすることができる。成長ホルモン分泌不全のため身体は小さく運動全般を苦手としているが、動物の世話が好きとのことで家で犬や猫を飼っており、友だちとは動物の話で盛り上がることが多いようだ。

◌1年B組のりおんさん(架空事例)

りおんさん

仮死にて出生、3週間にわたり人工呼吸器を装着、1か月後に人工呼吸器を外して退院。脳性まひと重度の知的障がいの認定。体調は安定しており現在受けている医療的ケアはないので看護師の加配はしていない。週1回のペースでPT/OTの訓練を受けている。PTとOTのアドバイスのもと、長時間車椅子や座位保持装置に座る際には姿勢の修正(骨盤の位置の修正や、リクライニングの角度の修正)をこまめに行うとともに、身体への負担を考慮し50分授業を10分早めに切り上げて横になって身体のケアを行う時間を作る。水分はとろみをつけて介助者がスプーンを口まで運んで摂取している。食事はミキサー食で、好きなもの(甘いものや味付けの濃いもの)は舌をよく動かしてごっくんしている。1.5m範囲は確実に見えている様子で、友だちの動きに気付いて注視することがある。聴覚はよく聞こえているようで、友だちの声掛けに気付いて笑顔になったり、「あー」「ふーん、ふーん」と声を出して応えたりしている。

◌1年C組のあおとさん(架空事例)

あおとさん

療育判定Aを受けている。固有感覚優位でくるくる回る動きを好む。聴覚過敏のためイヤーマフをつけている。授業中にふいに立ち上がってくるくる回って教室の隅っこに移動することがある。小学校から知っている友だちが「僕らの輪の中からはみだしたって、あおとはあおとだよ」「5~10分すればまた戻ってくるよ」と言っているように、しばらく待つと自分の席に戻ってくることが多い。いつものルーティンで穏やかに過ごす中で、ふいに自分の気持ちにそぐわないことがあると声を出して訴えたり、物を投げてしまうことがある。物投げについては、手探りになるかも。小学校から知っている友だちいわく「上手にキャッチしてやるよ」と。OTの「顔が『キーッ』となったら、リラックスしようという合図」というアドバイスも参考に、みんなで試行錯誤しながらそのときそのときの気持ちに寄り添ってみよう。友だちの輪の中に入ったり、時には一人になったりしながら過ごせるようにサポートしてみよう。

【学習の進め方(想定)】

高等学校日本史Aはペリー来航から始まる(中学校で人類誕生から近代までを既習していることが前提となる)。
年度始めに、第一学年の地理歴史科担当教師と、各クラスの支援教師、各クラスのアシスタントの事前打ち合わせで、まず学年全体として、年号や単語の暗記を求めず、歴史の流れや因果関係を写真やイラスト、映像資料、具体的な模型などの提示で視覚的に訴えかけ、大なり小なり心を震わせ、何か一つでも印象に残るような授業を工夫していくことにした。地域の人々と協働し、縁のある場所を訪れて肌で歴史を感じる機会も作りたい。ペリー来航に始まり、明治維新、第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、日本国憲法が作られたところで学習が終わる頃には、一人ひとりが「基本的人権」について実感を伴って理解してもらえると嬉しい。

地理歴史科担当教師が授業の始めに学習内容の大枠を提示した後、5人ほどのグループにわかれてワークシートのテーマにそって取り組む。
ワークシートは2種類を用意する。
学習の要点をシンプル化したワークシート➊は支援教師が用意して全員にひとしく配る。
時間内に書き終わった生徒、もっと掘り下げて学習したいと希望する生徒には発展学習ワークシート➋を教科教師が用意して配る。

※ゆおの空想です。

A組のまひろさんはおそらくワークシート➊に時間いっぱい取り組むだろう。友だちと相談したり一緒に調べたりすることができるように、少し離れて見守る。

※ゆおの空想です。

B組のりおんさんはワークシート➊を支援教師またはアシスタントと一緒に丸シールを貼って仕上げたら、教室内にある移動式ベッドに横向きになって支援教師またはアシスタントに身体をほぐしてもらいながら、友だちのやりとりを聞いたり、自分の発した声や表情の変化を友だちにも気づいてもらえるように工夫する。

※ゆおの空想です。

C組のあおとさんは、友だちの輪の中に入りつつ、必要に応じて個別支援にあたることができるよう、支援教師またはアシスタントがそばで見守る。歴史上の人物の写真やイラストを見たり、具体的な模型に触ったりして、ワークシート➊は薄くひいた字をなぞってみるか、難しければ写真を貼ってみるかして本人と相談しながら仕上げてみよう(みんなで手探りしながら)。

※ゆおの空想です。

机上の空論だと各方面からお叱りを受けるかもしれません…。まあこれはあくまで私の空想の世界…、そこはご愛敬。でも本当はこのことを、子どもを真ん中に、保護者も含めて多職種で語らい合ってみたいのです。
「ここはこうなんじゃない?」という具体的なアドバイスあれば、ぜひぜひお願いします💛

🍎この空想の続きはまた今度🍎


人はカラフルなのだ。
人の内面もまたカラフルなのだ。