切り干し大根とweb限定ワンピースの本質は同じ
インターネット上で買い物を初めてしたのはいつだったろうか。
おそらくは10代のあの頃らへん。ZOZOTOWNでセールの割引率に胸躍り、店頭よりも安いじゃん!?と興奮気味に服を買った時な気がする。住所とか書いて大丈夫かな、とか、クレジットカードこれでちゃんと使えるかな、とか、もうなんか記憶を薄く辿るだけで我がことながら涙ぐましい思ひ出よ…!となる。
注文したものが段ボール箱で届いた時、開けた時、びっくりして嬉しかったな。近くのお店にないブランドの、どこの店頭でも見たことないワンピ。可愛かったな。今でも好きなデザインかもしれない。皆さんの初・インターネッツお買い物はいつ、何でしたか…!
そんな私が最近オンラインで買ったものですが、大量の切り干し大根です。訳アリ!お徳用切り干し大根です。
これは…私にとっての豊かさの象徴、なのですよ(?)
食べ物で遊ぶというと非常にアレな言い方だけど、食べ物(素材)の食べ方を新しく試し美味しくてもそこそこでも食べることを遊びと言って差し支えないなら、私は食べ物で遊ぶことが大好きだ。その筆頭にあるのが切り干し大根という素材なのである。
マイファースト切り干し大根は祖母が作ってくれていた切り干し大根の煮物で、油揚げと一緒に和風に煮付けたやつである。優しい味が大好きで、お決まりの青い柄の深皿に盛られて夕食に出されると嬉しくなっていた。(余談だが不思議なもので、私はおばあちゃんじゃないのに目分量で切り干し大根を煮ると必ずその味になる。切り干し大根を煮る時そばに祖母がいてくれてるのかもしれない)
なので、切り干し大根といえば煮付けがなんとなくお決まりでそれ以外の調理法を知らなかった。
話は変わって、私の食文化に大いに影響を与えてくれた漫画がハチミツとクローバーという作品なのだが、一コマだけ切り干し大根が出てくる。それが、主人公の竹本くんが修行中に同僚にご飯を振る舞う際に作る「切り干し大根入りの卵焼き」なのだが
切り干し大根を、卵焼きに!?
とかなりその当時驚いたことを今でも覚えている。切り干し大根は煮付けじゃないのか!?
ところで知らないが故にルール化してしまうこと、ないだろうか。もっと砕けた言い方をすると、○○には××に限る!である。目玉焼きには醤油に限る!疲れた時は甘いものに限る!カレーには白米に限る!勝たん!
私の場合、限りませんでした。知らなかっただけで、ナンプラーをかけた目玉焼きは異国情緒の美味しさがあるし、疲れた時は酸っぱいものも響き渡るほど美味しいし、カレーには雑穀米を合わせると大層香ばしい。勝つる。
同じく切り干し大根も、油揚げ以外と煮ても美味しければ卵焼きに入れたって美味しい。なんならもう煮ずに水に戻してから胡麻油で炒めても美味しいし、油揚げではなくいろんなキノコやにんじんと合わせても美味しいのだった。
いちばん美味しい食べ方で切り干し大根を作ってくれた祖母に心から感謝している。その愛情に逞しく育てられて無事大人になった私がすべきことは、この肉体と好奇心を以て探究に努め新たな喜びに出会うことなのだ。
しかしそれには心身ともにパワーがいる。擦り切れるほど残業してる日々において切り干し大根の新規味バリエを試すことは私はできない。なんなら食べ物を、食材ではなく栄養素として認識してしまうことさえある。私はその時はっと寂しくなるのだ。自分を、車のように動かそうとしてしまった!燃費の良い栄養効率だけを考えてしまった!悪いことではないが好きなタイプの豊かさとは離れてしまった…
そう豊かさ!メインとしては食べないものである切り干し大根に探究を見出すことは私にとっての豊かさだ。というわけでネット限定訳ありお得用切り干し大根をどっさり買ったのは未来の豊かさ健やかさを願った結果に他ならぬ。託しましたよ、豊かな食卓と、心を。
お買い物は祈りだ。買ったものを伴ったより良い未来を願って私は喜んでお金を払う。限定のワンピースも訳ありお徳用切り干し大根も、私は未来に捧げるつもりでポチったのである。
切り干し大根、大好き。