『君の膵臓を食べたい』に救われた話。
私の中で自己紹介の次に大切な本の話をしようと思う。
出会いは、高校一年生の春。
正直、ジャケ買いだった。
小説が好きな私は、地元のTSUTAYAに平積みにされているその本を手にとって
1枚ページをめくった。
........。
気づいたらレジにいて、その日のうちに読み終わっていた。
そして、次の日の学校で一番仲のいい友達にこう言っていた。
__________「この本読んで。」
あれから、5年の月日が流れていて
出会う人はある程度、自分の好きなジャンルや好きなものが確立している人達だ。
そんな中でも私の本好きを知って、おすすめの本を聞かれる。
その回答はいつも決まっている。
__________「住野よるさんの『君の膵臓を食べたい』を読んで。」
出会ってからずっと、私のおすすめの本ナンバーワンを守りぬいている
この『君の膵臓を食べたい』の魅力は止まることを知らない。
いつの間にか、実写映画にもアニメ映画にもなっていて、
高校の読書感想文の受賞欄には、2つもこの作品の感想があった。
それほど人気のこの作品は、
ある高校生がおりなす青春ストーリーだ。
物語の主人公は、他人に無関心な小説好きな男の子。
主人公はある日、病院で文庫本のカバーがついた落とし物の文庫本を興味本位で開いた。それは文庫本ではなく、誰かが書いた”共病文庫”という日記だった。
その持ち主は、主人公のクラスで人気の桜良という女の子で、内緒を共有した2人は日々を過ごしていくが...。
この物語の面白いところは、主人公の名前が最後まで出ないこと。
誰かが彼の名前を呼ぶときは、”その人が自分をどう評価しているか”で名前が表記される。これは、映像ではなかなか表せない、文章ならではの見せ方で
それが繊細で、移り変わる主人公の他人への興味にも注目してほしい部分である。
ヒロインの人間性もすごく好きだ。
生きることを、周りの人との関わりの中にあるという。その上で主人公のように
誰にも評価されずに生きる生き方にも惹かれながら自分の病気と戦っている。
そして、人生は選択の連続だと教えてくれた。
何も決めてないように思えることや小さなことでも全て選択して今があること。
たとえばすごく小さいことで言えば、今日は道の左側を歩こう。と、無意識に近いものでも選択をして、今の出会いや生活につながっていると、彼女はいう。
彼女にはその考えがあるから、膵臓の病と戦えていて出会いや決め事を大事にできる。自分の生き方に少しの自信をくれたのが彼女だ。
明日死ぬかもしれない、ということは膵臓の病気を患った彼女も他人に興味がない彼にも平等だということも彼女は教えてくれた。
だから彼女の明日への価値も彼や自分の明日への価値も変わらないこと。
もうすぐ死ぬから特別なことをしたい、なんて考える暇はないなと思う。
命の終わりは平等なんだから。
私の文章では、何も伝わらない。
この本の良さもここに出てくる人達も。
1割さえも伝わらない。
でも、私はこの本に救われたんだ。
桜良に、主人公に、物語に、
全部から、大丈夫だと言われた気がした。
今でもしんどくなったときに読み返す大切な一冊だ。
そして、読むたびに見方や考え方が変わっていく。
今を生きるどんな自分にも当てはまってすっと馴染んでくれるそんな本だ。
ぜひ、映画を見る前に原作を読んでほしい。
原作を読んだ後に、映像をみてほしい。
100倍楽しめることをここに保証する。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだ読んだことないという人は、本の情報を載せておくので、気になった方は書店で手に取ってみてくださいね。
『君の膵臓を食べたい』
著者:住野よる
出版社:双葉社
他作品:『また、同じ夢をみていた』『よるのばけもの』他