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50年100年続く伝統あるラーメンを作るには、材料一つ一つのうまみを引き立て、他にない武器を強みとし付加価値を見出していく必要があると考える。~part2 人材育成編~
【インタビュイー プロフィール】
名前:清水勇輝
出身地:兵庫県宝塚市
趣味:サッカー、読書
好きな食べ物:ラーメン、カレー
経歴:大学卒業後、会社員として営業・企画業務に携わる。
その後、2018年に豊開発株式会社に入社。営業を経験後、管理部の責任者に就任。入社した4年後の2022年に2代目アトツギとして豊開発の代表取締役に就任。2023年には「あそ部」を発足し、広報・ブランディング・採用・新規事業の立案など既存事業以外でも組織を強くするための新しい取り組みをあそ部メンバーを中心に行っている。
経営者という顔以外にも、3人の子どもを持つ父でもあり、大学院生でもある。大学院ではファミリービジネスの事業承継とアトツギによるイノベーションについての研究を行っている。
こんにちは!豊開発株式会社のあそ部が運営するnote【 YUTAKAの音色(おと) 】のライターを務めるかっぴーです!
今週は、先週アップした記事の続編となっています!まだ、前編を読んでいない方は、先にこちらの記事をぜひご覧ください。↓
2代目アトツギとして、豊開発の代表取締役に就任された清水さん。
建設や土木業界の知識や経験がまったくない僕が経営者になってできること。それは「経験がないからこそ気づけることや新しい発想、会社の足りていない部分を補うためにこれまでの経験を活かして、工事の部分とは違う角度からサポートしていくことが役目」だと言います。
目標である「50年100年続く会社を作ること」を実現するために、まず、会社の体制を整えること、会社というしっかりとした器を作ることが大事だと考えます。
そして、社員が前向きに働ける環境を作るために既存制度の見直しや新しい制度を導入するなど、社員にとって「お金を稼ぐだけの場」ではなく「自己成長・自己実現できる場」となることを目指してきました。
この業界で生き残っていくためには、豊開発ならではの武器(強み)を持ち、他にない付加価値を見出していくことが重要であると清水さんは考えます。
前編ではそんな、「豊開発のビジネスモデルについて」「これからの豊開発について」「この業界で生き残っていくために必要なことはなにか」など、経営者である清水さんの思考を深堀りしてきました。
後編では、会社の体制を整えることと並行して力を入れてきた、Human Capital(人材資本)という観点で、採用や人材育成・人材開発についてまとめた記事となっています。
この業界で豊開発ならではの付加価値を見出すために重要な要素。「自分で考えて自分で行動する」そんな人材を育てていくために意識していること、大切にしていることについて深堀りしていきます!
最後には、このpart1・part2の記事を振り返り「なぜラーメンに例えられるのか」を詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください!
前編の続き…
ー 豊開発の付加価値とは?
現場に関する豊開発の付加価値は、これまで信頼関係を築いてきた多数の協力業者との繋がりがあることで工法などの選択肢が多く、トラブル時には臨機応変に対応し改善・対策ができるところだと思います。その付加価値を当社の武器として強めていくためには、各自がある程度会社の方針ややってはいけないことを認識した上で現場でお客さんや関係者の方と協議して提案していくなど、自分で考えて動くということが求められる部分かなと思います。
・・・
目指すはクリティカルマス?
ー なるほど。そこから人材育成や人材開発に力を入れようと思ったのですか?
そうですね。僕が採用した社員さんが今で7名くらいいて、加えて僕の方針に賛同してくれているベテラン社員もいたり、大体僕の方針や考えにカルチャーフィットしてくれている社員が現時点で全体の30%くらいはいるかなと感じています。クリティカルマスという考え方があるのですが、組織の中である考え方や方針に対して賛成する人が全体の30%を超えると、そこが多数派になり主流になってくるという考え方があり、会社の中で僕はそこを目指していました。
今年になってあそ部メンバー中心ですが30%を超えてきたので、いろんな取り組みもスタートできたしアクセルをグッと踏めてスピードアップもできました。徐々に成果も出てきたと思います。
ただ、長年豊開発に在籍している方々からすれば新しいものにすぐフィットすることは当然難しいことなので、今後どのように全体を巻き込んで進めていくのか、あそ部としても僕としても課題だなと思っています。
ー まず30%を目標にされていた中で、採用する際に重要視していたことや見極めるポイントなど、どこに標準を当てて採用をしてきましたか?
まず初めに言うと、僕が採用してきた人は業界未経験の人たちがほとんどです。建設業だからと言って専門職や経験ありだけで絞ってしまうと、母集団として成り立たないと思うので、採用してからいかに人材を育てていくかというところを考えています。
しかし、育ててるにもまずは、本人自身が頑張ろう・レベルアップしようと思ってもらうことが大前提で、そう思ってもらうには会社への愛着やカルチャーフィットというところがベースにないとしんどいのかなと思います。
あとは、僕自身、個人でなにかやるよりもチームとしてなにかをやるということに可能性や意味を大きく感じているので、いろんな世代の人と接点を持ってきたということも重要視しています。例えば、学校以外でアルバイトをしていたり、スポーツチームなどに所属していたり、そこで色んな世代の人と接点を持ってコミュニケーションを取ってきた経験があるのは大事かなと思います。
ーどこのポジション(専門職)というよりかはまず、コミュニケーション能力やチームのコンセプトを理解して、自分で行動してパフォーマンスを発揮できるというところに目線を置いていたということですね。
そうですね。特に現場に出ると、いろんな世代の人がいて年上の人が多いという中で、施工管理の担当者として指示していかないといけない、場合によっては注意もしないといけないし積極的にいろんな人と関わっていかなければいけない。最初は当然できないことの方が多いですけど、その中で人間関係をうまく築けるかというところですね。豊開発は知識やスキルはもちろんですが調整能力やコミュニケーション能力が大事だと思います。知識やスキルについてわからないことは勉強したり練習したりすればいいと思います!
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ー カルチャーフィットや人間関係、コミュニケーション能力がベースとしてある人材を採用してきたということですね。
基本的にはそうですね。しかし当然、人によってはそれが苦手な人もいれば全員がそこに完全フィットしているわけではありません。
そこに重点を置きながらも各個人としてなにができるのか、貢献できそうな部分を見ながら面談(面接)を行っています。
やったもん勝ち!
ー 人それぞれ得意不得意ありますし、求められていることも違ってきますしね。
代表取締役だからといって僕がなんでもできるわけではないし、誰だってなんでもできるわけじゃない。得意・不得意があり、それを補い合って、一個人では達成できない大きな成果をだすのが会社であって、一人で全部やらなくていい。チーム(組織)なので、その中で各自自分の貢献を感じられるところがあればいいなと思っています。
(僕はサッカーやってますけど…)野球でいうと、野手と野手の間に落ちそうなポテンヒットは捕りに行く人になってほしいと思っています。お見合いしたり最初から相手に任せるのではなくて、自分のエリア外かもしれないし重なり合っている部分かもしれないけど、そこを捕りに行く。お互いが捕りに行って最終的には直前の声かけとか、事前に確認していた得意不得意で捕ればいいと思っています。会社においても、自分の範疇ではないけどやってみるとか、誰かが困っていたら手を差し伸べて繋ぎをやるとか、フォローし合いながらある程度は自分で考えて動くということをしてほしいです。見守るだけとかお見合いで自分が引く立場にはなってほしくないと思います。
ー 自分のエリア外に踏み込むことは当然リスクがあることで、「やったもん負け」と捉えられてしまうことも場合によってはあると思うのですが、「やったもん勝ち」だとみんなが思ってくれるためにはどういうことを意識して何が必要だと考えますか?
ピンピンパツパツに糸を張った状態で、自分の容量100%MAXの状態でなにか+αのことをやれと言われても絶対にできないし、やったとて失敗するリスクがある。また、その失敗を責め非難するから「やったもん負け」という雰囲気になってしまうと思うんです。なのでまず物理的なところで言うと、人を増やすことでピンピンパツパツの状態を解消することが大事だと思います。
バックオフィスに関しては、今まで2人で担当していたところを、今は4.5人で業務を分担しています。業務が分散されてメンバーの仕事量はグッと減っているわけです。それこそ【あそび=余白・余裕】が生まれていますよね。
これを生み出すために、人を増やして物理的に時間も精神的な余裕も徐々に生み出してきているという段階です。
豊開発のあそび方
ー その【あそび=余白・余裕】をどう生かしてほしいですか?
今までパツパツで「仕事」ではなく「作業」になってしまっていたところをまずはできた余白の時間で頭を使って考える、行動する、そういう時間に使ってほしいと思います。そうして考えた中で、こんなことしたい・もっとこうした方がいいんじゃないかなど、新しいアイディアや提案が出たときには、そこに明確な背景や意図があれば僕は許容していきたいと思います。
実際に、あそ部メンバー以外にも今までにとらわれず、今のカルチャーを理解してくれる人や積極的に動いてくれる人も増えてきたと思います!
ー なるほど。では、生まれた余白をどう活用して新しいことに挑戦していくかというのは、今後社員一人ひとりの成長や可能性を広げる意味でもかなり重要なポイントになってくるということですね。
そうですね。本人がこんな資格取りたいとか、こんなことしたいとかもっと自主的に発言してやってほしいなと思っています!僕から言うことではないと思っているので、あまり言わないようにはしてて。言ってしまうこともありますが…
あくまで自主的に「あそび」の時間を有効に活用して自己成長や自己実現をしていってほしいなと思いますね!
人材育成は子育てと一緒
ー リーダーという立場の方は難しいところでもあると思いますが、自分がやったほうが早いという時に、自身の中でどのようにブレーキをかけていますか?
僕は人の可能性に大いに期待しています。
代表取締役だけど僕は現場の業務はできないし、他の業務もなんでもできるわけではありません。だから、人に期待してやってもらうしかないんですよね。やってくれる!という期待はするけど、失敗するかもしれないとも思っています。でもこれは諦めではないです。ただ、自分の中で心の余裕として持っているというだけで。当然、期待以上の成果をだしてくれたらそれは嬉しいです!
ー 社員に仕事を頼むシーンも当然あると思いますが、そういったアプローチをする時も成果にはあまり期待していないですか?
それが本人たちが成長できることであれば頑張ってほしいなと思いますし、成果も出してほしいと思っています。そういう期待はもちろんあります。
でも、本人のレベルアップとか能力アップに繋がることであったり、若干キツめのこととか、自分で考えてみてねというボールを投げたりはしてるので、できない部分があるのもしょうがないと思ってます。できないというのは結果でしかないので、それならできなくなる前に相談したり言って欲しいなとは思います。
ー そうですね。できないと初めから諦めるのではなく、1回自分でどうしたらできるのかは考えてみてねということは課したいですよね。ただ、締め切りになってできませんでしたはちょっとね(笑)
そうですね(笑)例えば、クレームがきたりこっちの不手際で怒られるとかは現場に関してはあります。しかし、起こってしまったことはしょうがないので、僕は「じゃあそっからどうする?」「どうやってリカバリーする?」というスタンスでいるようにしています。失敗したからこっちに丸投げするのではなく、リカバリー手段を自分なりに考えて「こんな考えがあるんですけどどうでしょうか」という会話ができたらいいなと思います。
ー豊開発が付加価値を見出すために必要な武器となる「自分で考えて動く」というのは、まさにそういった現場で起きたアクシデントに対して打開策を考えるとか打開策が見つからなければ、後のことも考えて余裕ヲもって事前に相談するとか。そういう部分でもあるんですね。
そうですね。ただ、相談しに来たときにこちらに答えを求めるのではなくて、アドバイスはこっちから出すけど、最終的には自分で答えを見つけてもらうようにアプローチはしていきたいですね。そこで答えが大筋からズレていなければ僕は基本オッケーなので。
ただ、普段コミュニケーションを取っていると答えを言ってしまったり、「どうしたいの?」「どう思ってるの?」というアプローチが僕自身最近足りていないなと少し反省しています。やっぱり、言ってしまったらずっと答えを欲しがる子ちゃんになってしまいますからね。
ー 人材育成って自分自身も鍛えられますよね。
そうなんですよね。僕も本当はやりたいしやってしまいたいんですけどね…それでいうと、人材育成って子育て相通じるものがあると僕は思っていて、子育ての本を読んでいてそう感じました。
自分の子どもにも「どう思う?」とか「なんでそう思ったん?」みたいな問いかけをするようにはしていて、それは仕事でも同じだなと。当然子どもを相手にするほうが、余計我慢しないといけないし、やってあげたいけど失敗も含めて見守らなあかんなと思いますけどね。
ー 「失敗」という言葉が出てきましたが、豊開発にとって「失敗」とはどこまで認められているのか、基準などはありますか?
失敗ってなんなんですかね…
まあ、会社に大きな損害を与えなければ、お金のことも含めて失敗してもいいと僕は思っています。そこで心が折れてしまって辞めちゃったりする人も中にはいるかもしれないけれど、それを乗り越えた人はまた一つ成長するだろうし、今後同じようなことが起きても耐えられるんだろうなと思います!会社としての方向性や最低ライン、ベースの認識を理解した上で自分で考えて行動してくれれば、大きく逸脱することはないと思うんですよね。そこを逸脱すれば、多分大損害や大クレーム、大被害にあってしまうけど、超えてはいけない一線みたいなものさえみんなが守っておけばその中で起こった失敗というのはかすり傷で済むんだろうなと思います。
ー そうですね。失敗はマイナスというより自分への投資という表現もできるかなと思います。それが「失敗」と聞くと悪いように聞こえてしまいますが、それはいい意味でなにかを得たということにもなりますよね。
そうですね。なにか失敗して叱責するのではなく、そこでフィードバックというかフォローをしてあげればその失敗は失敗じゃなくなると思います。叱責したり、今さらどうしようもないことを責めるからそこが失敗になって関係も悪化してしまうのだろうと思います。
失敗なんてみんなするものなんで。僕も今の立場になってからもいろいろやらかしてしまったことのありますしね。
ー ちなみに最近で面白おかしく言えそうな「失敗」ってあったりしますか?(笑)
失敗かぁ・・・。
清水さんの最近の「失敗」気になると思いますが、続きを書いてしまうと長くなってしまいそうなので…
次回「おまけ」という形でpart3を投稿したいと思います!
続きの失敗談の話や、インタビューで出たちょっとした雑談話を対話式でまとめてみようかなと思っています。今、急にこの記事を書きながら思いついたことなので、全く手を付けていない状態ですが、うまくまとめられるように頑張ります!
ぜひ、また【 YUTAKAの音色(おと) 】に遊びに来てください!
なぜラーメンに例えられたのか
そして最後に「なぜラーメンに例えられるのか」についてタイトルを用いてひとつずつ解説していきます!
【記事タイトル】
50年100年続く伝統あるラーメンを作るには、材料一つ一つのうまみを引き立て、他にない武器を強みとし付加価値を見出していく必要があると考える。
まず、「50年100年続く伝統あるラーメン」というのは、「50年100年続く会社にすることを目標としている豊開発」とイコールで結び付けています。
そして、そんな伝統ある会社(=ラーメン)を作るには、まず会社としての体制、基盤(=ラーメンの器)を整える(こだわる)ことに注力します。
また、これからも建設業界(=ラーメン業界)で生き残っていくためには、豊開発ならではの付加価値を見出す必要があると清水さんは考えます。その付加価値を見出すために鍵となるのが、人材(=ラーメンのだしや麺、トッピングも含めた一杯に使用されている材料・具材全てのこと)です。会社の方向性やベース(初めに味の基本となるだしを決め、そのうまみ)を理解した上で「自分で考えて自分で行動する」人材が増えれば、豊開発の強みでもある、最適な施工プランを計画できることや選択肢が多く急なトラブルにも臨機応変に対応し、改善・対策ができる(=麺の硬さ、スープの濃さ・油の量など様々なバリエーションでカスタマイズできる)ことがさらに強い武器となります。
このように、自分で頭を使って考え新しいことに挑戦していくような人材を増やしながら、他にない武器を磨きさらに強みをアピールしていくことで豊開発の付加価値は生まれてくると清水さんは考えています。
・・・・。
いかがでしょうか。
ラーメンに例えたこと、納得していただけましたか?(笑)
逆に、「それならこっちの例えのほうが分かりやすい!」とか「ここはラーメンのこんなところに例えられるんちゃう?」など、みなさんの斬新な例えもぜひ教えてください!
では今回はこのへんで…
最後まで読んでいただきありがとうございました!
よーし。おまけ記事のpart3もぼちぼち書き始めよう。
深掘りはつづく…