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【モンゴル南部】ウムヌゴビへ

 このところ首都と南部の往復を繰り返している。
 今日からまた南へ。

 今回もバスで、今度は中国と国境を接するウムヌゴビ県に。



 昨日帰ったらアマルダくんがいなかった。
 チンギスに「弟にお土産を買って帰ろう」と言ってもいらないと言っていたのは、遠い郊外へ預けられたからだったのか…

 私のiPhoneケースを破壊したりソーダを振って炭酸を抜いてしまったり、手がつけられないイタズラ坊主だと思っていたし、いつもたくさんの新しいオモチャを買ってもらったり兄に甘えたりしている彼が郊外にいるなんて。
 想像できない!



 朝起きたら、香港のおじさんは気持ちが縮こまっているからか、広いソファなのに丸まるように寝ていた。

 そして7:30に出ると言われたが、7時に帰って来た母親に何度起こされてもチンギスはいつもの如く起きなかった。

 言葉がわからないのもあるけど、モンゴル人の感情は読みにくい。
 真顔かそれを超えて怒った顔をしていても、強い指示を出しているようでも、直後にニコニコ顔で談笑したりする。

 プーチェさん宅でも「風呂へ出かけるから急げ」と言われても遊び始めてなかなか出発しないし、今朝もヤンジッドルマさんはチンギスを急かす一方で朝食をとりながら、香港のおじさんが「手土産でなくお小遣いをくれた」と笑いながらゆっくりしていたり…
 謎に感じる事が多い。



 やっと家を出て、バス乗車前にコンビニへ寄った。
 手に取ったパックジュースにストローが付いておらず、チンギスに声をかけたら隣のジュースから引きちぎって渡された。

そんな解決法で良かったのか?



 バスが出発。
 シートカバーに漢字が連なってるから、今回のは中国製みたい。

 自分のデータ量を使い果たしたチンギスが、昨日からテザリングを要求してくる。
 しかしながら上手くいかず、試行錯誤している内にBluetoothでバスのオーディオを見つけた彼は、勝手に私のiPhoneをそれに接続してしまった。

 止める間もなくそのまま音楽を流そうとされたけど、ステレオの方が音を出す状態になっていなかったおかげで、彼のイタズラは防がれた。

南の果てへ行く長距離バス。とにかくひたすら時間を潰す
初のコンビニ飯。カトラリーなんて付いてこなかったから、持ってて良かった



 車窓からは照りつける太陽、どこまでも続く乾いた大地が見える。

こんなに明るいけど、時刻は17:30

 今夜は新月。農家民宿『ととのや』では美食倶楽部の開催日。
 "モンゴル料理で繋がろう"というコンセプトで、今月はアンチャイでの開催になっている!

『ととのや』の新月美食倶楽部については⬆️こちら

金沢のモンゴル料理店『Ann Chai』については⬇️こちら



 たまたまチンギスがかよさんにスタンプを送ったら、今撮った写真が返ってきた。

ストーリーで馴染みの顔も見れて、心が和んだ

 チンギスは国境を超えたリアルタイムの交流に大興奮。
 なぐちゃんとボイスメッセージのやりとり等してたらあっという間に時間が過ぎて、気づけば終点近くのランドマークが見えた。

何なのかは不明



 バスがターミナルに着いて、今晩の宿となるゲルの女将さんが迎えに来てくれた。

 車へと歩いていたら1人の女性が英語で話しかけてきて「ゲストハウスをやっているから」と名刺を手渡された。
 チンギスは私からそれを即座に奪い取り、車の中で「僕らには必要ない」とビリビリに引き裂いてしまった。

 そこまでする必要はなかろうに…

メインロードとの事だが、街頭の密度がすごい



 ゲルには4人の子どもと犬、モンゴルへ来て初めての猫がいて、国内のテレビ番組が流れていた。
 犬は入って来るたび怒られて追い出されるけど、猫は子どもに抱っこされてて、差別的な扱いに少し悲しくなった。

犬をてなづけようとするチンギス

 椅子に座るとホーショールとチョコレート、スーテーツァイを出してくれたのに、チンギスはさっきまでの興奮はどこへやらため息ばかり吐いている。



 20時を前に、ようやく日が傾いてきた。

全てが平家。そして塀で区切られた敷地にゲル

 外に出ると、日本にはない町並みで面白い!
 けどチンギスは、この町と家が好きじゃなかったみたい。
 どこで覚えてきたのか「ゴミの掃き溜めみたいな町で退屈だ」とかとんでもない口汚さで罵っている。



 私達が退屈そうに見えたのか、女将さんが「オートバイを貸そうか」と言ってくれた。

残念ながら故障していた

 結局乗れなかったので、代わりに「特別な場所へ連れてってあげる」と言って車を出してくれ、着いた場所は緑と水に囲まれた公園だった。

 このゴビの地域では意外な光景に、さっきまで悪態をついていたチンギスも「何が起こってるんだ!?信じられない!」と大興奮。

 どうやら町の向こうにある山脈から雪解け水が流れ込み、これらの緑を育んでいるようだ。

小さな丸い起伏が連なる、変わった地形

 女将さんによればこの場所は昔、湖だったらしい。
 徐々に干上がってしまい、公園として整備されたとの事。


 チンギスはテンションが上がるとわかりやすく、女子みたいにキャーキャー言って騒ぐ。
 面白い地形とオアシスのようなこの場所が気に入ったようで、宿の子ども達と追いかけっこしている。

 子ども達とすっかり馴染んだチンギスは「帰ったらすぐ寝ないといけない」と言いつつ帰宅後も遅くまでトランプで一緒に遊んでいた。



 町の民家では、トタンで囲われた穴トイレが主流みたい。
 ハエと臭いはものすごくて吐きそうになるけど、プライバシーがあって遠くまで歩かなくて済むのはメリットだなぁ。



 女将さんはダイエットに凝っているようで、外で遊ぶ子ども達を見守りながら、回すと重石的な物が一緒に回るフラフープをしていた。
 ゲルの中には物置と化したランニングマシンもある。



 チンギスによると、この宿は一晩$200もするらしい。
 ゲル内を見渡せば鏡台に高そうな化粧品が乗っているし、モンゴルで初めて子ども達が絵の具で遊んでいるのも見た。

 夕食も朝食も付いてないのにとんでもない値段!
 女将さんは広いベッドで寝て、私達は薄い布団で床というのも実にモンゴルらしい。

 「バスを降りた時に名刺もらったゲストハウス方が安かったんじゃないの?」って名刺を破ったチンギスに嫌味を言ったが、彼は涼しい顔をしていた。
 集客に来た彼女は英語も話せたし、ゲストハウスなら設備も整っていて便利だったのでは…?

 子どもなのにチンギスも同価格らしく「外で寝る」と言ってきたが、風邪をひくかもしれない。
 説得して中で寝てもらった。

 たしかに彼の冗談でなければ痛い出費だけど、子どもを外で寝かすなんて非人道的な節約はできないし、私も外で寝て風邪を悪化させない自信はない。

 モンゴル人のように先の事はあまり考えず、困った時に考えようと寝る事にした。

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