人事評価を価値のある仕事にするために必要なこと
みなさまこんにちは、ログラスでシニアエンジニアリングマネージャーをしている飯田(@ysk_118)です。
本記事は 株式会社ログラス Productチーム Advent Calendar 2022 の16日目の記事です。
昨日は弊社エンジニア佐藤の ユーザーの価値と向き合う上でのBtoBとBtoCの違い でした!toB/toCの違いについては私も共感するところが大きかったです。
今回はマネージャーをしていると絶対に避けては通れない難しい業務のひとつである人事評価(以下、評価)について私の考え、そしてログラスで取り組んでいることをお伝えできればと思います。
形骸化した評価の悪
さて、会社で仕事をしていると評価というイベントがあり、本記事を読んでいる人も多くの人が評価を受けたことがあるかと思います。
みなさんは評価についてどんな印象を持っていますでしょうか?
結果を一方的に伝えられる時間?それとも良いフィードバックを得られる時間?いろんな意見がありそうです。
第一に主張したいこととしては、形骸化した評価システムは組織にとっての悪影響が大きいということを言いたいと思います。
評価は一般的には、
メンバーで自己評価を記載しマネージャーに提出し
自己評価に対してマネージャーが評価フィードバックや昇降給・昇降格の案を作り
人事による全体のキャリブレーションを経て
メンバー本人に最終結果が伝達される
というプロセスを踏みますが、メンバーとしてもマネージャーとしても多くの労力と時間がかかるものとなっています。
こうした評価プロセスが形骸化するにはいくつかの要因が考えられます。
かけた時間に対して得られるフィードバックや給与反映が小さい
フィードバックはあるが給与に反映されない
(他にもっとひどい理由もあるかもしれませんが割愛)
こうした先に発生することは評価にかかるコストを悪い意味で最小化しようとする力学です。
会社から言われているからやる。給与を維持するためにやる。そのためにテンション上がらないけど最低限のテキストを書いて提出する・・。
お互いに利益がないので、自己評価もてきとうに書くようになりますし、てきとうな自己評価からはてきとうなフィードバックしかできません。
結果として全社員を巻き込んだ大きな無駄になってしまいます。
また、これはマネージャー視点の悪影響ですが、マネージャーになると評価という負の仕事をやらなければいけなくなるというイメージになり、誰もマネージャーをやりたがらなくなります。結果としてその状況に妥協してしまう人しか残らず、組織はゆるやかに腐っていきます。
意味のある評価とは
評価の本質はフィードバックです。
給与や昇降格も大事ですが、それに意味を持たせるのがフィードバックなので、まずは何よりもフィードバックをメンバーにとって意味のあるものにすることが重要です。
では、意味のあるフィードバックとはなんでしょうか?
私は以下の要素が重要と考えています。
どういう成果や行動が評価されるのかわかる
どういう成果や行動は改善すべきなのかわかる
成果に対する期待とギャップがわかる
ギャップを埋めるためにどんなことを考えればいいかわかる
どんなことに取り組めばキャリアを伸ばしていけるのかわかる
まとめると、自身の状況について客観的な意見を得ることができ、その先の仕事において行動変容を起こしたり、行動変容を起こさなくても確信を持って取り組める状態を作り出せるような具体性のあるフィードバックに価値があると考えています。
ではそのようなフィードバックを生み出すためにはどのような取り組みが必要でしょうか。
以下ではログラスの取り組みの一部を紹介します。
価値ある評価フィードバックのための取り組み
以下は将来的には変化している可能性もありますが、現在取り組んでいるもののスナップショットとして紹介できればと思います。
ファクト収集
一つ前のセクションで客観的で具体性のあるフィードバックと書きましたが、これを支えるのがファクト収集です。
現在全社のマネージャー陣で月次でもくもく会を入れていますが、各メンバーのGoodポイントや改善ポイントを記録するというものです。
たとえばSlack上の発言だったり、ミーティングの資料だったりをメモとして残していきます。その際にどのバリューに関わるものか?成果なのか?行動なのか?などの観点も記録します。
改善点は記録するだけでなく次回の1on1等で伝達をしていきます。
この取り組みによって、メンバーは印象論ではなく「具体でこの行動が評価されるんだな」「この発言はよくなかったから直そう」など次のアクションにつなげやすいフィードバックを得ることができます。
また、マネージャーがきちんとみているという信頼関係の醸成にもつながります。
評価時の第三者意見の収集
これは評価フィードバックの正確性を高めるため、被評価者のチームメンバーにその人の業務上の貢献度などをヒアリングするものです。
ヒアリング内容は本人には開示せず、複数人にヒアリングするため1人の情報で結果が大きく変わるものでもありません。
しかしながら、マネージャーがみている範囲というのも現実問題として限定的なので、参考情報としての価値はあると考えています。
マネージャーが評価内容にしっかりと責任を持つという観点では、できる限りで情報を集め、広い視点から判断していくことが重要です。
1on1での軌道修正
これは評価時の話ではなく、期中の細かいフィードバックになります。
評価は四半期や半期といった長いスパンでのフィードバックサイクルになるため、そのタイミングでしか改善ポイントを伝えられないというのは非常にアジリティの低い状態です。
メンバーの感情としても、結果に対して「じゃあどうすればよかったですか?」「それを期中に言ってもらえたら改善できた」という感情になると思います。(実際にこういう反応をもらったこともあります)
この点はマネージャーの腕の見せ所と思いますが、期中にしっかりと伝えた結果としての最終評価がこうだったという着地にすることが重要です。これも評価の納得度を上げる上で大事な積み重ねとなります。
評価自体へのフィードバック
これは評価システム自体へのフィードバックです。
評価結果自体には後から変えるということは絶対にしてはいけませんが、評価の運用についてはメンバーからフィードバックを受けることでよりよいものに改善していけると考えています。
マネージャーの体制としても1人の人間が永久に評価のオペレーションをするのであればそこに知見が溜まっていきますが、実際にはマネージャーが増えたり、経験値についてもばらつきが出てきます。
そうした際にマネジメント組織として評価の質に向き合うことが評価システム自体を価値あるものにしていくために重要と考えています。
まとめ
シンプルにまとめると、
評価の本質はフィードバック
評価の価値を高める努力がマネージャー自身のためにもなる
の2点です。
マネージャーのROIもしっかり意識して価値ある仕事をしていきたいですね!
明日は @mssknd によるレトロスペクティブを改善した話です!引き続き 株式会社ログラス Productチーム Advent Calendar 2022 をお楽しみください!
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