シェア
yoyo
2015年12月1日 10:19
1・《星くず拾い》が家の中で傘をさした話 コツ、ぱちん。 コツ、コツン、ぱち、ぱちん。 コツン、ぱちん。 何か小さな音がして、コズミキ・コニスは目を覚ましました。薄暗い部屋の中、時計の針は、夜が明けきる少し前を指しています。 コツ、ぱちん。 また音がしました。どうやら窓に何か当たっているようです。うとうとと、再び眠りに落ちそうになったコニスは、ハッと目を開いて、細長い体を
2015年12月3日 21:54
2・丘の上に星くずを買いに来た男の話 こっくりとした落ち葉の香りの秋風が吹き過ぎて、だんだんと透き通った冬の空気になりはじめた頃のことです。 コニスは相変わらず、《星くず拾い》としてせっせと星くずの加工をしていました。形を整えて、みがきをかけて、特別な技をほどこして……。そうすれば、星や星くずは、誰の手でも扱えるものになるのです。 自分の手の中で、星くずがどんどん美しくなっていくこと
2015年12月11日 18:40
3・森の奥に落ちたからっぽの星くずの話 次の星降りの日、やっぱりコニスは一歩出遅れてしまいました。いつものように、みんないなくなった星降りヶ原でひとり、星くずを拾っていた時のことです。「コニスさん、コニスさん」 かぼそい、笛の音のような声が聞こえました。「ん?」 かごを抱えたまま、声がした方を振り向いてみても誰もいません。星降りヶ原の草はコニスの足首ほどの高さしかないので、
2015年12月13日 22:41
4・《星くず拾い》が知らず知らず世界を救った話 もうすぐ年越しの日という頃、コニスはマントをつけて森を散歩していました。 冬の森の中は日に日に空気が冷たくなってきています。薄絹をピンと張ったような、耳がじんじんしびれるような、そんな森が、コニスは大好きでした。ひやりとする空気を吸っていると、どこまでも歩けるような気がします。 だからでしょうか。コニスは気付かないうちに道を外れて、森の奥