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二十四の瞳 壺井栄

この本を読むきっかけは、取引先のおじいちゃんがこの映画を知っているか?という何気ない世間話からなんと文庫本をプレゼントしていただいたことになる。
いまWikipediaをみてみたらびっくり。まず発表されたのは1952年終戦後の7年後となる。ちなみに僕の生まれた年は34年後の1986年。
さらにこの作品1954年と1987年に映画化。ドラマ化はなんと7回もされているという超がつくほどの名作のようだ。


正直なところ、普段あまり物語を読まないのに加えて半世紀も前の作品だとピンとくる部分が少なくあまり共感できない。
例えば「女」この字を「おなご」と当たり前のように読んだり、喜びの表現なのだが「わあと歓声があがる」といわれても光景が浮かばない。
ただ、作者がこの女教師(おなごきょうし)を通じて訴えたいことは何となく伝わってくる。


面白いのは作品が3部構成になっていて、若くエネルギッシュな新任教師時代→4年後少し大人になった子供たちとの再開を果たしたがまだ青臭い新婚時代→終戦後の戦争の傷が深く残るなか、代用教員として復帰し、再び一部の生徒との再開を果たすラスト
そしてこの教師は青臭いながら終始一貫して主張は同じで、現代では当たり前に言われている命を大切にしろということだった。
戦争に限らず、どの時代でも過剰な同調圧力や過大な責任感により自分の命でも他人の命でも粗末に扱ってしまうことがある。そんな時には戦争という極端な時代でも、強く己の主張を曲げずに貫くような勇気を持とうという大石先生からの熱いメッセージを貰ったような気がしました。


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