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退屈はなんのためにあるのか、に関する退屈な論考 #Bore Ⅰ | 進化心理マガジン「HUMATRIX」
" 毎日がなんだか退屈に思えても
毎朝、僕の横にいて "
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#01 退屈な存在
退屈を好む人はいない。
「退屈な作品だった」という批評は、映画を見た感想としては最悪の部類に入る。"退屈な人生"というのもそれと同じくらいひどい言い方で、誰かの一生がそうやって評されるたびに、そんな人生なんて絶対に送りたくないとオレたちは決意する。
それでも、毎日は退屈だ。
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今日もスーパーで日用品の買い物をし、コンビニエンスストアのあの弁当を食べる。昨日も見たような景色、昨日も聞いたようなメロディを今日も繰り返しながら退屈な日々は巡る。次の季節を待ちながら────。
────おいおい、毎日この動画を見てるからって別に好きなわけじゃないんだ。このMVの再生回数が多いのは惰性のクリックだ。YouTubeはリコメンドをやめてくれ!
退屈は、オレたちにつきまとう。
退屈は、退屈なオレたちを襲う不快感だ。
退屈に襲われるのは、オレたちが退屈な人間だからだ。
幼児を見てみよう。この世界で出くわすあらゆるモノにワクワクしているじゃないか!その瞳はつねに輝き、ボーッとくすんだ目をしているオレたちとは正反対だ。
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退屈。それはきっとある種の<罰>なのだろう。
もっと面白い人間になれなかった、世界に対してワクワクしていられる人間になれなかった、つまらない自分という存在に神様から下される<罰>なのだろう。
退屈な存在でごめんなさい────。
#02 退屈の機能
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───ちょっと待って!
退屈というものに関して、勝手に人文学的な方向に考えを走らせる前に、このマガジンの基本に立ち戻ろう。
あらゆる感情/情動は進化によって生物学的な目的(機能)をもってデザインされている。
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