FITTの原則で考える効果的な運動時間の設定

運動プログラムを効果的に設計するための「FITTの原則」について、特に「時間(Time)」の要素に焦点を当ててお話しします。
FITTの原則は、Frequency(頻度)、Intensity(強度)、Time(時間)、Type(種類)の4要素から構成されています。
有酸素運動の時間について、世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、週に150〜300分の中強度の有酸素運動、または週に75〜150分の高強度の有酸素運動が推奨されています。これを1日あたりに換算すると、初心者は1回20〜30分、中級者は30〜60分、上級者は60分以上が目安となります。
筋力トレーニングに関しては、WHOのガイドラインでは週に少なくとも2日間、全身の主要な筋群を対象に行うことが推奨されています。一般的には、各エクササイズにつき1〜3セット、各セット8〜12回の反復を行い、1回のセッションは「もう1回反復するのが難しくなるところまで」続けるのが良いでしょう。
これらのガイドラインはあくまで目安であり、個々の体力や健康状態、生活スタイルに応じて調整が必要です。実践する際には、無理をせず、ウォームアップとクールダウンを行い、適切な水分補給と休息を取ることが重要です。
また、座りすぎのリスクにも注意が必要です。日本人の座位時間は20か国の中で最も長く、座りすぎは2型糖尿病の罹患リスクや寿命の短縮と関連があることが研究で示されています。定期的な運動に加えて、日常生活で座りすぎを避けることも健康維持に重要です。
運動プログラムを始める前に、特に持病がある場合は、医師に相談することをお勧めします。自分の体調や効果を観察しながら、適宜調整を行い、最新の情報も確認しつつ、継続的に運動を行うことが大切です。
出典:
World Health Organization. (2020). WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour.
厚生労働省. (2013). 健康づくりのための身体活動基準2013.
Owen, N., et al. (2010). Too Much Sitting: The Population-Health Science of Sedentary Behavior. Exercise and Sport Sciences Reviews, 38(3), 105-113.

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