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XはYなのか

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真偽確率100%の渾身の命題を探す、ぶらり探訪記。
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世界と時空

世界と時空

世界の世とは、時間的な広がりを意味する。
世界の界は、空間的な広がりを意味する。

つまり、世界を言い換えると、時空、である。

しかし、世界と時空は、どうも意味合いが違う。

前者は「どこかで閉じるもの、終わるもの」
後者は「無限に広がっているもの」という感じがする。

おそらく、だからこそ、世界観、とは言うが、時空観、とは言わないのだろう。

「とは」と「いかに」

「とは」と「いかに」

 新しい価値というやつは、「とはなにか」と「いかにして」を同時に問い、同時に解くことである。

 卑近な話でいえば。
 DXとはなにかを知ったから、DXを実現できるわけではない。
 DXを実現した人が、DXとはなにかを理解できたとも限らない。

 どちらの人も、DXという「単なる言葉」に踊らされ、踊ったにすぎない。

 世の中には、いろんな「単なる言葉」がある。民主主義。自由。イノベーション。正義

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意味と価値

意味と価値

 意味がわかるとはどういうことか。
 あるいは、意味があるとはどういうことか。

 意味を還元的に理解しようとする行為は、最終的にはトートロジーに到達する。

 そんな難しい話ではない。例えば、「あらそい」とはなにかを辞書で引くと、その結果には「いさかい」のことだと表示され、今度は「いさかい」を調べると「あらそい」が出てくる。そんな話だ。もちろん両者は異なる概念であり、さればこそ異なる言葉が与えら

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XはYなのか

XはYなのか

 「XはYだ」式の命題について前回書いたわけだけど、これは実に妙な命題であって、Xは本来どこまでいってもXだし、YはどこまでいってもYであるはずだ。
 「あれはりんごだ」とか「その花はマーガレットだ」とか、そういう表現であれば、未知なる対象の属性を言い当てるという運動がこの命題には含まれるわけだが、「芸術は爆発だ」は、この命題そのものが、世界の秘密を解き明かさんとする意気込みに満ちている。

 あ

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「XはYだ」式命題に隠された謎を解く方法

「XはYだ」式命題に隠された謎を解く方法

 XはYだ、という命題の提示について考えると、思ったより奥が深いことに気付かされる。

 この構文の元祖は、「吾輩は猫である」であるという。明治維新前は「時は金なり」みたいな言い方をしていた。「で・ある」という助詞の組み合わせは「is」の訳語として編み出されたのだ。
 夏目漱石は、その違和感をタイトルにあえて活かすというテクニックを駆使したわけだが、これは考えてみたら極めて村上春樹と通底するアプロ

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