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ぼくのポエム

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自分で書いた詩をまとめました。 過去作も含みます。 下書き的な側面もあります。 最後の方にその詩を書いた経緯なども載っています
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2024年10月の記事一覧

【詩】 特別公演

小学生の頃
特別公演とかいって
壮年の女性歌手が僕の学校に訪れた

その人のことを僕は少しも知らなかったからいろんな先生に尋ねてみたが
どうやら、どの先生もその女性の正しい褒め方を知らなかったようで
朝礼で校長が語っていた言葉を器用に組み替えては
「要するに『すごい人』だよ。」と語った

普段は生徒に向けて
聖徳太子やら織田信長やら実在したかどうかも定かではない大昔の人について延々と語っている学年

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【詩】 僕がいないヨッ!

仲の良い4人組
から僕を除いた3人の
賑やかな会食の写真が送られてきた

『僕がいないヨッ!』
「お前はいつも予定が合わん」
「来月の休みはいつ?」
『まだわからない』
先週の話。

隣町珈琲での詩の教室は
土曜の19時
僕は仕事で 2度も欠席している
中延駅に向かう途中の電車で
僕を呼び戻す知らせを2度も受け取った
今回はどうか見逃してくれと
こっそり抜け出してきたわけだ

詩は僕のこころのため

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【詩】 整列

正しさというものが
人を豊かにするとは限らないのに
大人は「気をつけ」を強いる言葉を好む

ある日に時間をかけて整理した背の順の待機列は
休み明けにはすっかり塗り替えられていた
かつて自分の前後に立っていた同級生の姿を見つけても
そこに僕の居場所はない

周りを見渡して
自分と同じくらいの背丈の同級生を見つけるのが
この時僕たちに課せられた使命であり
まるで握手でもするかのように
互いの背筋を寄せ

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【詩】 煮っ転がし

鮮魚コーナーで 秋刀魚の値段に顔を顰めていると
野菜売り場の見切り棚に残された 里芋が目に入った

椰子の木
タワシ
満員電車の後頭部
平凡な連想の後 買い物かごに押し入れる

里芋といえば煮っ転がしか。

椎名町駅前の 立ち食い蕎麦屋と交番の間を通り抜けながら
「煮っ転がし」について考える。
ずいぶん可愛らしい言葉だな。
どうにか普段使いできないものか。

身体を 煮っ転がすのは難しい
風呂は身

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