2024年6月の記事一覧
隔週警察【毎週ショートショートnote】
「きゃあーーーー。」夜の街に女の声が響く。
「やめろーーーーー。」男の声も響く、
「誰か助けてーーーーー。」
「じゃまをするなーーー。」
バタバタバタバタ。走り去る足音。
「バッグを盗られたわ。警察に通報しなくちゃ。今週は来てくれるの?」
隔週法という法律が制定された。・・・働き方改革を推進する法律である。警察や消防、市役所などは、隔週で休みと業務を交互に行うことになった。
「よかった。今
隔週警察【毎週ショートショートnote】
「きゃあーーーー」夜の町に女の声が響く。
「やめろーーーー。」男の声。
「助けてーーーー。強盗よーーーーー。」
「その手を放しやがれ。」
バタバタバタバタ。走り去る足音。
「警察に通報、、、、、、。あ、今日は第2週かーーーーー。」
隔週法・・・働き方改革を推進する法律が制定された。警察や消防署、市役所などは隔週で長期の休みをとるようになった。今週は警察が休みの週なのだ。
「大丈夫か。けががな
復習Tシャツ【毎週ショートショートnote】
やばい、この夏の試験を乗り越えなくては。留年が決まってしまう。
追い詰められたおれは、カンニングを実行することにした。
少し前にチャリティ番組で、不思議なアートが紹介されていたのを思い出す。写真をたくさん並べて、一つの絵をつくるというものだった。なるほど、その手法を使えば、書かれた文字も絵のように見えるはずだ。
試験官の目をごまかすことができるだろう。
おれは必死になってカンニングの道具を何
粒状の総料理長【毎週ショートショートnote】
気が付くと、夕方の海辺にたどり着いていた。
「もうお終いだ。」
そうつぶやいたとき、男が、そばに立っていた。
真っ青なエプロンに、白いコック帽、白い口ひげ。瞳は海の色。
「何か困りごとかね。」
おれは、王様に今日の夕食を作ること、気に入らなければ死刑になってしまうことを話した。
「私が手伝ってやろう。」
おれは、その男を連れて、お城の台所に向かった。
必死になって、考えていたレシピを完
友情の総重量【毎週ショートショートnote】
体が重い。重い足取りでとりあえず前に進む。
どうしてしまったんだろう。
よく思い出せない。
そう言えば、車が突っ込んできて、、、。
人の気配を感じて、見上げると、閻魔大王が目の前に座っていた。
「お前は、もうすぐ死ぬだろう。だから、ここに来たのだ。」
これから天国行きか地獄行かの裁きが始まるのだろう。
それにしても、体が重い。
地面がやわらかいのか、足がめりこみ始めた。あっと言う間に、ひざ
てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショート】
お日様へ
どうか、どうか、明日は「晴れ」にしてください。
わたしをつくってくれた絵美ちゃんの運動会なんです。
今日まで一生懸命にダンスの練習をしてきたんです。
はじめは、ステップが上手にできなくて、泣いていたんです。泣いても練習をやめずにがんばっていたんです。お友達の萌香ちゃんが一緒にれんしゅうしてくれました。
絵美ちゃんだけじゃなくて、たくさんのお友達も応援してくれました。
少しずつ少しずつ上
私の世界のつくり方【フォトギャラリー短編】
あと2時間。
まだ寝れる。
今日の予定は、何だっけな。ああ、そうだ。10時に井上下様に電話しなきゃ。発注数を確認しておかなきゃ。
いや、いや、あと2時間眠れるのに、仕事のことを考えるのは、もったいない。仕事のことは考えない、考えない。
ただ頭を無にして、眠ることだけ考えよう。いや、考えてもだめだ。
無、無、無、、、、。
体勢が悪いな。眠る姿勢をつくろう。ブランケットを頭までかぶって、世界
ワニに来てもらう【フォトギャラリー短編】
あーーーー、しんどい。
今日は、会社、休もうかな。
体が重い気がする。あ、熱もある気がする。のども痛くなってきた。
そう言えば、1週間前からこんな気分が続いている。
もう今日は休むしかない。
会社に電話しよう。
「すみません。橋本下です。体調が悪くて、今日は休ませてください。」
「あーーそうなの。大丈夫?無理しないようにね。お大事に。」
上司の町村さんは、それとなく私の変化に気づいているのだ
母とお好み焼き、または母とたこ焼き【フォトギャラリー短編】
今日は、母を病院に連れて行った。母は今年87だ。
3年前に自宅で転倒して、股関節と腰骨を骨折し、歩くことが不自由になった。家の中も歩行器で移動する。ゆっくりと、ゆっくりと。
「5日に病院に連れて行って。」
月に1度か2度、母を病院に連れていくことになる。
病院は母の家の近くにあるので、5分とかからない。
その間は、母の愚痴を聞かされる。主に、父の。
「あんなに意地悪だとは思わなかった。」
「