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特別ではない魅力・国木田独歩【運命】岩波文庫チャレンジ75/100冊目
チャレンジではなるべく違う作家の作品を読むことを念頭に置いている。
国木田独歩もそんな1人、独特な名前なのでテスト勉強で覚えた記憶が残っていた。案の定、初読み。
「運命」は9つの短編集。独歩自身も短編作家であったという。
先日読んだ樋口一葉と同時代の作家とは思えないほど読みやすい日本語、一葉の雅俗折衷体がいかに特殊だったかがよく分かった。
短編といえばの芥川と比較しても、特別なすごさは感じない。小説としては単純だけれど、それでも「求道心」(岩波表紙の言葉)が感じられる作品は好きだ。
あっと励まされる一文がある。
自分もそうなろう!と思える一文がある。
解説でもそんな光る一文が紹介されていたが、どれが光るかは人それぞれだろう。だが「岩石の中に埋もれた宝石のように輝いて」いるのは確かだと思った。
特別ではない魅力
自分好みの作品は「非凡なる凡人」と「日の出」、他にも作品によって光るところはあるので、少しだが順番に紹介する。
・非凡なる凡人
サミュエル・スマイルズが記した「自助論」(明治期に広く読まれたという、歴史上の人物300数名の立志伝)をバイブルとする少年の話。
とにかく真面目にコツコツと、目標に向かって計画を立て確実に進んでいく様子を、凡人なれど非凡と題した作品。
無人の地に居て、我を忘れ世界を忘れ、身も魂も、今その為しつつある仕事に打ち込んでいる
・日の出
学歴を問われて大島小学校と言えば、ハーヴァード大・オックスフォード大から冷ややかな目で見られる。それでも大島小学校を誇りに思う主人公が、その理由を語っていく。
僕が真の教育を受けたのはこの時、僕の一生の羅針盤を置かれたのは実にこの時
好きなのは下の部分。人生を辞めようとしていたその時、通りがかりの老人からかけられた言葉。辞めるのを辞め、人生をやり直す決意に変わった時。
朝日が波を踊出でるような元気を人はいつも持っていなければならぬ。人はいつも暗い中から起きて日の出を拝むように心がけなければならぬ
大島小学校の教訓
「為す有る人となれ、日の出を見ろ」
自分に光った言葉
・酒虫日記
人情は人の食物、1人では生きられない
・馬上の友
少年にとって大いなるもの、空想の翼を貸した
・悪魔
山を見、林を見、仰いで千古の月明に対し、限りなき大空を望むとき、人情と自然との幽かなれど絶えざる約束を感ぜざるを得ず、これを以て泣くなり
・空知川の岸辺
社会がどこにある。人間の誇り顔に伝承する歴史がどこにある。この場所において、この時において、人はただ『生存』そのものの、自然の1呼吸の中に託されておることを感じるばかり
今回は短いけれど以上です。
心が奮い立つ作品や自然を感じる作品が自分好みなよう。他に自然美で有名な作品に「武蔵野」があるようなのでこれも読んでみたい。
ちなみに「日の出」が今の自分に刺さったのは、最近「ミラクル・モーニング」を読んで、朝活を始める決心をしたところだったから。
「朝活を頑張る」よりも、
「日の出を見る」というアフォメーションの方が心地よい✨
岩波文庫100冊チャレンジ、残り25冊🌟