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好きな作家から始める、読書チャレンジ

岩波文庫100冊チャレンジを終えて、第二弾岩波文庫100作チャレンジへ突入✨

第一弾の最後、作数で数えたら73作目でした。合間に読んだモーム「世界の十大小説」も入れて、第二弾は75作目スタート

最初と最後は好きな作家に拘りたい。

100冊目に大好きな夏目漱石「吾輩は猫である」を読んだ。そんな訳で、第二弾の最初も漱石の「坊っちゃん」。ベタだけど、いいじゃない。好きなんだもの

読み直して思ったのは、当たり前だけど、教科書作品はどれも素晴らしいという事。学校で授業として読んで(読まされて)面白いと思ったことは一度もない。先生にはごめんだけれど、誰しもそんなものでしょう(きっと)。

だからこそ、
大人になって読み直すと、その良さが何倍にも分かる。なんとなく学校で覚えただけのタイトルはこれからも読んでいきたい。それだけ名作。

夏目漱石が大好きだとは言っても、全集を読んだ訳でもなく、全作知っている訳でもない。漱石の書く日本語が好き。だから全部好き。

「猫」や「坊っちゃん」、初期作品は元気があって良い。後期にある暗さはなく、明るく豪快、読めば快活、そういう雰囲気が断然好き。

坊っちゃん・・あのシーン

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている

有名すぎる冒頭

冒頭に記憶はあっても、内容はすっかり忘れて?いる。

きっと皆さんも同じだろうという(勝手な)思いから、有名な登場人物を紹介しましょう。

主人公は、四国へ赴任した数学教師。学校仲間は全てあだ名をつける。

たぬき(校長)
赤シャツ(教頭)と野だいこ(教頭の腰巾着)
山嵐(数学教師)とうらなり(英語教師)

世の中には野だみたように生意気な、出ないで済む所へ必ず顔を出す奴もいる。山嵐のようにおれがいなくっちゃ日本が困るだろうというような面を肩の上へ載せてる奴もいる。そうかと思うと赤シャツのようにコスメチックと色男の問屋を以て自ら任じているのもある。教育が生きてフロックコートを着ればおれになるんだと言わぬばかりのもいる。皆々それ相応に威張っている。

主人公による各人物紹介

一言で言えば、坊っちゃんが巻き起こす痛快学園物語、明治版。

赴任当初、生徒からは手荒な歓迎


天麩羅を4杯食べた翌日の黒板「天麩羅先生」
天麩羅を食っちゃ可笑しいかと聞くと、
4杯は過ぎるぞな、もし、と言う。
次の授業の黒板「天麩羅4杯也」。

赴任4日目には団子を食べた、その翌日の黒板「団子二皿七銭」
次の授業の黒板「遊郭の団子旨い旨い」。

この件を読んで思わず「ん?」
新任先生への黒板いじりは別作で読んだことがある。

物語を読み進めていると登場人物に「マドンナ」が出てきた。
ピーーン!
これは間違いなく綾瀬はるかだと確信。

万城目学氏「鹿男あをによし」に全く同じシチュエーションの先生いじりの描写がある。マドンナも出てくる。思い返せば、先生たちはあだ名で呼ばれている(こちらでは鹿、狐、鼠など)。

これは偶然ではないと思って調べてみると、
何人かの人が2作の共通点を挙げており、「鹿男あをによし」は「坊っちゃん」オマージュであると言う人もいた。

「鹿男」は奈良が舞台。物語は全く別物だが結構好きな作品。「坊っちゃん」をすっかり忘れて?いるので、「鹿男」を読んだ時には類似に気づかなかった。

「坊っちゃん」を改めて読んで、他にオマージュされている所がないかと、とても気になっている。色々な古典が頭に入っていれば、オマージュも分かって、より面白いんだろうな。

(綾瀬はるかさんは、ドラマでマドンナ役でした)

漱石の日本語

漱石の日本語が好き。
たくさん触れて、できるものならそれこそ脳にダウンロードしたい

「坊っちゃん」にある短く紹介しやすいのはこの2つ。

空の底が突き抜けたような天気
月が温泉の山の後ろからのっと顔を出した

のっと、顔を出す。忘れたくない表現であります。

他にも挙げればキリがない。勉強になる事もあり、とにかく好きで仕方ない。

①和歌

数学の先生が朝顔やに釣瓶をとられて堪るものか」というセリフ。

朝顔や つるべとられて もらい水

加賀千代女という人が読んだ和歌をもじったもの。「花の邪魔することをないように、水をもらうために隣人の元へ向かう」様子を表現したもの。和歌に興味が出てから気に入っていたのでこれは記憶にあった。

「坊っちゃん」の主人公は数学の先生。俳句には関わりないことをいうのに、こういう表現方法を使うのだと、そのオシャレな言い様が勉強になる。

②「史記」

天道是か非かだ

天道は善に味方するか否か疑わしい意、註によれば「史記」の引用。「天網恢々にして漏らさず」など「天」に関する故事は他にもいくつかあるように思うけれど、サラリと出てくる感じが好き。

天は善の味方と限らないという視点に触れたのは「カラマーゾフ」次男イワンが、無垢な子供が虐待されねばならない理由を問いただす所。強烈な描写でした。

さて、「史記」を著したのは司馬遷。彼を登場人物の一人に据えた、中島敦「李陵」を最近読んだ影響もあってかな、この言葉に引っかかった。

司馬遷は、李陵をかばった事が漢の武帝の逆鱗に触れて宮刑(男根切断)に。「李陵」では、この惨めさを捨てるため、一度自分をシんだものとして奮起、130巻52万6500字もの超大作「史記」を記したとなっている。凄まじい執念。

「生涯、安楽に暮らしたかったら3つの穴を掘れ」という言葉も「史記」にあるらしい。興味はあれど、とても全部は読めそうにない。

これが「史記」のおすすめ!という本があれば教えてください!

ちなみに3つの穴とは、1つ2つでは不安定なものが、3つあると安定することを言ったもの。三脚然り、得意分野を3つにしたり、財布を3つにしたり、3つあれば確かに強そうだ。

ついでに言えば、
教科書に出てくる「山月記」もやはり名作だと思いました(「李陵」も掲載)。


岩波文庫100作チャレンジ、残り25作🌟




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