【百年ニュース】1920(大正9)7月28日(水)第43議会終了。八八艦隊予算(7億6,000万円)成立。所得税増税等が財源。衆議院では大多数を占める与党政友会が高飛車な議会運営。対する野党憲政会は連日院外団も巻き込み稚拙な乱闘騒ぎを仕掛ける。議会政治への国民の失望広がる。
両院はともに本日をもって終了せしが夜11時に至れり。今回の議会は去る15日衆議院において予算通過したるあとは同院に重要案件なく,而して憲政党員はあらゆる術策を弄し,人身攻撃騒擾いたらざるなく,近来になき不体裁なる議場なりしなり。
また開会の初めにおいて貴族院にも相応の提案をなし,衆議院において予算その他を貴族院に送る頃には,貴族院より法案その他を衆議院に送付するよう注意をもって提出せしも,貴族院において手間取ることついに15日,のちには一時に貴族院において審議する事情となりたり。
右様の次第にて15日後は衆議院においてただ騒擾のみに日を送りたる次第なり。貴族院において議了に至らざりしものは裁判所構成法改正案,少年法案矯正法案,鉄道水力電気などにて,否決は朝鮮開墾助成案の予算のみなれば,短期議会としては相当の成績を挙げたるものにして,殊に国防問題はここに全く解決を見たり。
原奎一郎編『原敬日記 第五巻 首相時代』福村出版,1981
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