漫画キングダムから学ぶ会社経営 #27:ブランディング
本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は27回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。
さて、前回からマーケティングに関するトピックでキングダムと照らし合わせて深堀しています。前回は市場理解に関して李牧の凄さについてまとめました、まだ読んでない方は「#26:市場を理解する」をお読みください。
今回は「ブランディング」をテーマに考察します。
「ブランディング」というと、マーケティングに携わる人にとっては最大のテーマになり、また、マーケティングにあまり関わらない人からすると、実体のない良くわからない考えに思えるかもしれません。「ブランディング」に関する書籍、考え方はたくさんあり、どれも間違ってはいないと思いますが、私が考える「ブランディング」とは、「ユーザーの潜在的ニーズを理解し、市場における商品、サービスのポジションを明確化する事」になります。大事なポイントは「潜在的ニーズ」になります。多くの場合、消費者はなんとなく商品を選んでいます。そのなんとなくが抽象的でわかりにくいのですが、なんとなくとは言え、理由はもちろんあるのです。多くの場合、消費者というのは、自分の考えを全てロジカルに説明できるわけではないので、特に一般消費財などは、消費者が求めているニーズを誤って認識してしまう企業が多くなります。その見えにくいニーズを消費者インサイトであったり、潜在的ニーズと言ったりします。そこをしっかりと理解し、潜在的な意識に訴えかけ、その商品又はサービスのポジションを明確にし、ターゲット市場において、○○と言えば、これ!という意識を根付かせることができれば立派なブランドが出来上がります。
例えば、スターバックスのブランディングでは、消費者にコーヒーを提供するのではなく(もちろん、物理的には提供してますが)、居心地の良い空間を提供します。スターバックスに求める潜在的なニーズは居心地の良いおしゃれな空間なのです。あの空間でノートパソコン(多くの場合Mac Book)を開いて仕事をしているだけで、彼らに自信を与えて、数百円のコーヒー以上の価値をもたらす事ができます。
さて、話をキングダムに移します。
キングダムにおいてブランディングが出来ているのはやはり、各国の大将軍になります。特に秦の六大将軍や趙の三大天は、実際に戦った事がなくても、名前を聞いただけで、相手を委縮させ、戦いを優位にします。戦争におけるブランディングとは、戦う前の心理的に与える影響の事を言うのが適切かと思います。もちろん、噂以上の強さを実践で見せつける事ができれば、より相手に脅威とダメージを与える事ができます。以下2人の大将軍、李牧と蒙驁を例にとってみましょう。
1) 李牧:様々な想定を強いる頭脳派将軍
李牧は言わずと知れた趙国三大天で、趙国歴代最強の将軍と言われています。それは、まさに李牧自身が作り上げた実績になります。どのように作り上げたかというと、あの怪鳥王騎を知略で葬り、また燕国の大将軍劇辛をいとも簡単に葬った実績によります。その結果、相手の大将が李牧と聞くだけで、相手は必要以上の様々な想定をしながら戦わなければならず、普通の戦以上に圧倒的に神経を使い、消耗し、戦う前に参ってしまう事さえあります。相手からすると武力だけでどうにかできる相手ではないという嫌な潜在意識が常にまとわりつく最も嫌な相手になります。
2) 蒙驁:凡庸という最大の武器
逆に蒙驁は自身が凡庸な将軍にも関わらず、秦国では生涯勝ち続ける事ができました。この理由は、ご存じの通り、2人の最強の副将、王翦将軍と桓騎将軍に支えられたからでした。ブランディングの観点からすると、蒙驁は自軍を敢えて普通に見せる事により、相手を油断させて戦っていました。正攻法ではありませんが、油断させてから刈り取る、最も効率的な戦いかもしれません。蒙驁蒙豪は「#8:実は最強のリーダー!?蒙驁将軍」でも挙げたように、化け物ぞろいの将軍の中では凡庸ながら勝ち続けた優れた大将軍でした。
このように、自身や軍をどのようにブランディングするのかと言うのは、現代社会における市場でのポジショニングと非常に似ている所があります。自身の強みを社会的潜在ニーズに当て込み、生き抜いていく力は、戦場でも市場でも同じだという事がわかります。
キングダム主人公の信が率いる飛信隊のブランディングもそろそろ確立されつつあります。飛信隊のブランド価値を最大限に発揮して大将軍達と戦っていく今後の展開に期待したいところです。
今回はマーケティングにおける重要なテーマであるブランディングをキングダム内に当てはめて考察しました。
それでは、また次回。
注)写真はすべて漫画キングダムより引用
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