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この世は因縁渦巻く万華鏡
人生はいいことばかりではない、むしろ辛いことのほうが多い。
苦しく辛い毎日、寂しく悲しい日々。
不幸、不運、不健康。
不誠実、不仲、離別、孤独。
「あなたは一体どうしてその現実を引き寄せたのですか?」
そう聞くとあなたは決まってこう答える。
「え、どういうこと?」って。
人生の四苦八苦の正体、それは自分が望んだ結果です。
いつかのあの日、もっと高く飛びたいと。
少しでも賢くなりたい、かっこよくなりたい、美しくなりたい、お金持ちになりたい。
大事な人を守るために強くなりたい、もっともっと偉くなりたい。
当時は夢にも思っていなかった、だって周りも含めてみんなが同意見だったから。例えば大きな会社で管理職になるとか、年収の高い仕事に就くとか、良い大学を卒業したりテストでいい点を取ることが正解だって。
例えばイケメンとか美人とか、踊りや歌が上手いとか、有名人の家系とか、それがステータスだって。
例えばいい人になって正しい行いをして、正義を重んじ、モラルを尊び、誰にも恥ずかしくない生き方ほど素晴らしいって。
誰もがそう信じて疑っていなかったから、自分も右へ倣えで生きてきた。
だからこそ、自分の信じている現実がその求めに応じて目の前に現れていたのです。そしてそのことを理解できるのは、実際に様々な困難に見舞われてからなのです。
困難を乗り越えた結果として、そのことをついに悟るのです。
「因」とは直接的な原因
「縁」とは間接的な原因
自分で起こした縁を起因といい、それに自ら右往左往する滑稽な生き物。
それならば、はじめから何もせずともよいものを、知ってか知らずか知らぬが仏。パズルのように簡単そうで実際に組もうとすると思いがけない苦楽を強いられる。
結局、生きるとはいったい何なのか、生きている間はわからぬ定めなのだ。
業と欲と因果
我々人間は、自らの意思で自由に人生を選択していると思っている。
‥‥‥が、それは驕り高ぶりである。
我々はすべてがあらかじめ決まった因果の中を生きている、というよりも、自らの自由な意思による選択によって、後からすべての因果が起因するという道理の中を生きる定め。
だからといって、何をしてもいいとか、何をしようとも無駄なのかといえばそうでもない。
起こるべきことは何をどうしようが起こるべき時に起こるし、何をしようが何もしなくても、結局は似たような結果が待つばかりである。
たとえ何が人生で起ころうとも、誰のせいでもなければ、まして自分のせいなどであろうはずもない。後悔はやらなかった際に起こる心の動き、それならば、やりたいときにやりたいことをすればいいだけ。こむつかしいことを抜きにして、ただありのままを生きればいい。
自分の人生に大きな期待を寄せなくていいし、悲観的になる必要もない。
誰もが今を変えることを恐れる。
だがしかし、今をさえ変えられれば過去さえも変えられる。
一体どういうわけかこの当然のことに気づけない。
人は今を変えようとする際にこそ、最も強く抵抗感が現れる。
ただ素直に言われた通りやってみればいいだけなのに、謎の抵抗が自分の中に沸き起こり、結局やろうとしないということだ。
訝しむことなく言われるがままに実践できればこそ、自分本来の流れに乗ることができ、結果的に過去も未来も思いもよらないことになるということなのである。
「いや、それはわかるけど、これまで色々やってみたけどそうでもなかったよ?」と多くの人がそう思っている。
それは誰もが大人ぶって子供のころのように純粋無垢な姿勢で何事にも取り組めなくなったから。
「こうすると、こういう仕組みで、こういう効果が得られるらしい」………とそんなふうに思考したうえで何事にも取り組む、それでは本末転倒、自分の望む以上の顛末が訪れようもない。
つまり我欲が少しでも自分の中にあると、思いもよらぬような体験は得られるはずもないのだ。
自分本来のありかたで本当の人生を生きたとき、良いも悪いも自分の想像の遥か斜め上の出来事がやってくる、しかも連続して。
いつだってはじまりは我欲、その行動の結果に業(カルマ)が形成され、やがて因縁が起こるのがこの世の因果律の基本構造だからだ。
自分の行いに応じた結果が目に見える世界の正体、くるくると回り続ける万華鏡のようなものといえるだろう。
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