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インフレーションをお金なしで考えてみた

最近は世界的なインフレーションで物が手に入りにくいということがよく話題になっている。インフレーションはお金の価値が物よりも相対的に下がるということである。そこで、いつもの物々交換の例えのようにお金がなかった場合、どういう説明になるのか考えてみた。

自分がりんごを生産するものとして、他者がみかんを生産するものがいたとする。通常、みかん1個と交換してもらうために、りんご1個が必要だったとする。そこで、インフレのような事態が起きて、みかんの価値が上がりみかん1個と交換してもらうためにりんごが2個必要になったとする。みかん1個を手に入れるためにりんご2個を生産しないといけなくなったからその分労力が増してしまう。これがインフレのようなことであると考えるが、このケースではみかんのみの価値が上がり、りんごはそのままということになるので、部分的なインフレである。

現実のインフレでも、全ての物の価値が上がるわけではないから、こういった解釈は当てはまると考える。ただ、全ての物の価値が上がるということはどういうことなのか。このケースでは、りんごの価値も上がると考えてみる。りんごの価値が上がるということは、りんごの生産に労力がよりかかるということがまず思いつく。そうすると、みかんの生産者もりんごを手に入れるのは難しいと考え、価値が上がったみかん1個を今度はりんご1個と交換してもらえるかもしれない。

そう考えると、全ての物の価値が同じ分上がればインフレは存在しないと考えられるがそういったことはほぼ現実にはない。しかも、労力がよりかかる、それが生産効率の低下から起これば、全体の生産物は結果的に減り、人々はより貧しくなったと言える。

しかし、景気浮上のためにはインフレは必要だと言われる。どういったインフレがいいのだろうか。それは、生産効率が上がったにも関わらず、ある物の価値、ここでは自分の生産するりんごの価値が上がる時ではないか。唯一の要因は、物に対する需要が上がり、その物が希少になりその物の価値が上がる時である。

需要がないという時は労働して生産せずに今までの蓄えを消費するか消費を我慢するかということだと考えている。逆に需要がある時は、生産してもその物と交換して欲しいという人が多いから無駄づくりのリスクが小さく、労働して生産しようとする。自分で生産した物を自分一人で消費できるのであれば、無駄な労働のリスクはゼロであるが、現実的には全ての生産物を自分一人で生産することは不可能で他者との交換が必要だからそのリスクは消えない。

今のインフレーションはスタグフレーションであると言われる。スタグフレーションは不景気の中のインフレであるとされ、需要が小さい中で物が価値が上がると言い換えることができる。今は特に原料の価格が上がっているのが主な原因と言われる。今は原料への需要が大きいと言えば大きいが、どちらかというと、コロナの影響で輸送の停滞によるコストが上がっているなど環境の要因が大きいとされる。上の説明で言うと、りんご1個を生産するのに労力が多くかかっている。輸送コストが上がっているということは、りんご1個生産するのに他者に助けてもらったとして、いつもならりんごの1/4を助けた人に渡せば自分がりんご3/4が手に入るが、1/2を渡して、1/2しか手に入らないといったようなことと考える。結果的にりんごは全体で1個しか生産していないが、労力はより多くかかって物の価値が上がったと解釈する。助けた人は1/4から1/2へとより多くりんごを手に入れたが、その人も低下した環境での不効率な生産を強いられより多く労力をかけていることになっているから、得したとは言えない。このケースでは生産効率がただ下がって物の価値が上がったと言えよう。

だから、景気がよくなるには、物が増えれば幸せになるわけではないというような議論は抜きにして、その物が無駄にならないリスクが減るよう他者からの交換需要を支えとして、既存の豊かさに満足せずに、皆が生産物を増やして、より働こうとすることが必要であるのでないだろうか。働けば金持ちになる、ということである。

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