「無能」ではなく「可能性」。そう捉えることで自信が生まれる
新年度がはじまり早2か月半、上司になって意気揚々と取り組んでいたはずが、できない部下を見るとついイライラしまう。
今回は、イライラ上司が、どうやって部下の自信の芽を伸ばしていくかお伝えします。
◆イライラするのは自分ができてしまうから
できない部下がいると、どうしてもイライラしてしまいます。
「なんでこんなにもたもたするの?もっと、早くできるでしょう!」
「なんでこんなに雑なの?もっと、きれいにできるでしょう!」
このように「もっと、もっと」と思ってしまいます。
私もその一人だったので十分のその気持ちがわかります。
現場責任者だった頃の私は
「なんで部下は私と同じようにできなんだ」
といつもイライラしていました。
「仕事が遅い」「仕事が雑」「真剣さが足りない」
などなどイライラした数をあげてたらきりがありません。
ただ「もっと、早くできるでしょう!」
「もっと、きれいにできるでしょう!」
の「もっと」は、誰と比較しているのでしょうか。
実は、私を含め上司の自分と部下を比較してしまっているのです。
新入社員のときの自分をすっかり忘れて、
上司になった今の自分と比べて
「もっと」できるだろうとイライラしてしまっているのです。
◆上司のイライラは部下にとって恐怖でしかない
上司がイライラしていると部下はどうなるでしょうか。
イライラ上司のイライラエネルギーは、部下にとって恐怖です。
「違うでしょう」「なんでできないんだ」「すべきでしょ」
これらの言葉は、部下の自己防衛本能を働かせます。
人は、恐怖を感じたら安心安全を守る本能があるからです。
上司の言葉に恐怖を感じた部下は、
その言葉を耳に入らないようにシャットアウトします。
心も閉ざしてしまいます。
それが「言い訳」「受け流し」「無関心」「反発心」
という自分を守る自己防衛本能です。
これでは、部下の成長しようとする自信の芽を育てることはできません。
◆思い出して欲しい二つのこと
ここで思い出して欲しいことが二つあります。
一つ目は、上司のあなたは他の人より仕事ができるから、
さらには優秀だから上司になったことです。
だから、部下はあなたより仕事ができなくて当たり前です。
「もっと、もっと」は自分を基準とした『自分の考え方』に過ぎないわけです。
自分を基準とした自己中心的な考えで、
イライラしても不安や恐怖を生み出すだけで、
何も生み出しません。
部下は委縮するばかりで部下の自信を引き出すどころではありません。
二つ目は、上司のあなたの仕事は、
部下を動かし組織のゴールを達成することです。
そのために、部下が自分に自信を持って仕事をやり遂げることが必要になります。
そのとき、上司のあなたは何をすれば良いでしょうか。
イライラして部下を恐怖で怯えさせることではないはずです。
そうです。部下を安心させることです。
◆違いは神様が与えれてくれた宝物
考えてみてください。
世界の人口は約80億人、それぞれ違った個性を持っています。
歴史を遡れば、人類は大昔から個々が違うことで生き延びてきました。
災害級の大自然の中で生き延びてきたのです。
暑さに強いアフリカの人たち、
寒さに強いイヌイットの人たち、
酸素が薄い場所に適応した山の人たち、
住処(すみか)に合わせて様々な個性を持っています。
決して、どの人が優れているというわけでなく、
どんな状況でも人類の誰かが生き延びるために、
それぞれの個性、違いを神様が与えてくれたのだと私は信じています。
だから、人は、顔つき、体格、能力、そして考え方(価値観、信念)が違うのだと。
それは、目の前にいる部下も同じこと。それぞれが自分と違うのです。
◆「もっと」ではなく「違い」に気づけば、イライラは関心に変わる
上司のあなたが、部下に「もっと」ではなく、
部下との「違い」に気づいたとき、
「イライラ」は部下への「関心」に変わっていきます。
このとき部下は
「あ、この上司は私のことに関心を持ってくれているな」
とはじめて安心できるのです。
なぜなら、部下本来の姿を受け止めているからです。
同時に、上司のあなたも部下に対する気持ちが
「もっと(できるだろう!)」という否定から
「(ここが違うのかという)関心」という受容に変わることで、
心が軽くなります。
このとき上司のあなたは、ニコニコ上司になっています。
さらに、「この部下は、こんな個性がなるんだと」と気づくことができます。
できない部下という思い込みもなくなり、
部下の可能性(自信の芽)も見つけ出すことができます。
同時に上司のイライラエネルギーがなくなるので、
部下も自己防衛本能を解除することができます。
自分の可能性を発揮して自信を付けていくことができるのです。
◆今回の質問
【上司のあなたと部下とどんな違いがありますか?】