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塩の話あれこれ 2
塩の話の続きです。
前回の記事では、本当に減塩すべきは「精製塩」ではないかということを書きました。
「精製塩」がつくられるようになったのは戦後からです。
1972年「塩田法(正確には「塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法)」が施行され、日本各地にあった塩田が姿を消し、それ以後の採鹹(さいかん : 濃い塩水を採取する作業)工程が「イオン交換膜法」に限定されることになりました。 (イオン交換膜法とは:http://www.tokyosalt.co.jp/archives/1445)
そして、この「イオン交換膜法」で作られた塩がいわゆる「精製塩」と呼ばれるものです。
「塩田法」は1997年まで続くこととなり、その時期、一般企業が日本で塩の製造を行ったり自由に輸入することも禁止されました。専売公社が塩の販売を独占し、7社の製塩業者が生産を握ったのです。
塩が自由化になっても、依然として日本で流通する塩の多くが「精製塩」です。
イオン交換膜法は極めて安価で効率の良い製塩方法ですが、精製塩の問題は塩化ナトリウム以外のミネラルをほとんど含まないことです。
自然海塩には海のミネラルが凝集されており、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、塩素、セレン、銅、亜鉛、コバルト、鉄などの人が健康に生きていくために必要とするミネラルがすべて含まれていると言われています。
しかし、ほぼ塩化ナトリウムしか含まれていない塩ばかり摂取し続けたらどうなるか。
戦後、アトピーや花粉症の人、また生活習慣病を患う人が増えた背景に、ミネラルバランスの崩れは考えられないでしょうか。
ルネ・カントンの実験
フランスの生物学者でルネ・カントン(1866年〜1925年)という人物がおりました。
彼は病気の原因はすべてミネラルのバランスが崩れていることによるのではないかという仮説をたて、生物の血液と海水のミネラル構造が似ていることから、ある実験をしました。
病気を患っている自分の飼っている犬の血管に、海水を注入してみたのです。
腎臓機能が弱り体重が激減し衰弱していたその犬は、なんと海水を注入した後すぐに体調を回復し、5日後には体重ももとに戻りすっかり回復したというのです。
更にカントンは実験を続けます。
今度は別の体重10キロある犬の血液を極限まで抜き、輸血の代わりに海水を注入しました。 するとその犬の白血球は増え、感染に対する免疫が強まり、赤血球が増加したといいます。 拒否反応もおこらず造血作用が認められました。
そしてカントンはこの実験を人間にまで応用しました。腸チフスを患い余命わずかという人に、薄めた海水を注射したら、その人は回復し元気になったそうです。そしてその他様々な余命幾ばくもない人に同様の治療を施して治したそうです。そして多くの人に支持されました。
彼は「海洋療法(タラソテラピー)の父」などと呼ばれているそうですが、カントンの存在とこの治療を快く思わなかった当時の医療業界から猛反発が起き、今ではなかったことのようにされているそうです。
※参考
以上のことを鑑みても、人間にとっていかに海のミネラルが大切かわかると思います。
なので、本来の海水からとれた自然塩であれば、減塩などする必要はなく、むしろしっかり摂るべきではないのか。
そもそも、人類は塩の重要性を知っていたのです。
ローマでは塩を運搬するために、道を作り帝国を広げましたし。 日本でも海辺の塩田から内陸に塩を運ぶための「塩の道」ができていきました。
古今東西の様々な国が、人間の必需品である塩を専売にしたり塩税をかけたりして、国家の財源としたり民衆の統治に利用したりしました。
インドでもガンジーが、当時のイギリス植民地政府の塩専売制に対して抗議し、「塩の行進」という不服従運動を繰り広げて、塩の自由のみならず、国家としても自由を取り返しました。
塩の自由な生産、販売、摂取は大事なことなのです。
塩が安価に作られるようになってから、私達は塩の大切さを忘れてしまったのだと思います。
参考文献